作業場
ラスー達を連れて来たのは
子供1人が入れそうな小さなテントだった
「ここは?」
「ここは村の女の人達が縫い物やパンを焼いたりする場所です、どうぞ」
ポルクはキャルから降り
中へと入っていった
ラスー達は中を覗くと
女性達が楽しそうに作業をしている様子が見えた
ポルクは1人の女性に近付き
「お母さん」
「あらポルクじゃないの?どうしたの?」
ポルクはラスー達の方を見ながら
「今日はラスーさん達が来る日でしょ?村を案内してるんだ♪」
「あら、そうなのね」
ポルクの母親はラスー達に近付き
「初めましてポルクの母のスルハと言います」
スルハは頭をペコリと下げた
「初めまして俺はラスーリーガンです、ラスーと呼んでください」
「俺はシャラです」
「ラスーさんとシャラさんですね、なにもない場所ですがごゆっくりどうぞ」
ポルクの方を向き
「ちゃんと案内するのよ、お母さんは戻るからね」
そう言うとスルハはラスー達に一礼すると戻っていった
「もう、わかってるよ」
ラスーがふと上を見てみると
クモの巣が張っているのを見つけ
「ポルク、クモの巣があるけど取ろうか?」
「あぁとらなくても大丈夫ですよ、あの子達も家族なんで」
「家族?」
「はい、よかったら紹介しましょうか?」
「あぁ、頼む」
「わかりました」
ポルクは肩から掛けている鞄から笛を取り出し吹くと
一匹の白い蜘蛛が糸を使って降りてくると
ポルクの横に並んだ蜘蛛は腰ぐらいの大きさだった
「この子は蜘蛛のリュクです」
ポルクがそう言うとリュクは頭をペコリと下げた
「リュクってもしかして〈シルクスパイダー〉か?」
ポルクは笛を鞄に入れながら
「そうですよ」
「ラスーさん、シルクスパイダーってなんですか?」
「あぁ、シルクスパイダーは見ての通り蜘蛛型の魔物で糸に特徴があるんだ」
「特徴?」
ラスーは垂れ下がっている糸を指差し
「この糸は100㎏以上の重さに耐えれて、しかも純白で美しいから紡いで作った布は金貨100枚は最低でもするんだ」
「それはすごいですね」
「あぁだから金儲けをしようとする人間が沢山居て、乱獲をされ過ぎて絶滅の危機に陥った位だ」
「絶滅っすか?」
「それをいけないと思った国王はシルクスパイダーの飼育、布の製造を国が認めた店でしかさせないようにしたんだ」
「へぇーそんなことがあったんだ」
「そして、その布を買えるのは王族か一部の貴族のみだからシャラが知らなくても無理はない」
「そうなんすか」
ポルクはリュクの頭を撫で
「リュクはそんなに凄かったんだ」
リュクが嬉しそうにポルクを見ていると
鞄から布に包まれた物を取り出し
「降りてきてありがとう」
包みを開けると
水色の木の実が数個入っていて
その内の一つをリュクに食べさせると
お尻から出ている糸が木の実と同じ色に染まっていった
「染まった?」
「どうかしたんすか?ラスーさん」
「さっき言っただろ?シルクスパイダーの糸は純白だって」
「そういえば言ってましたね」
「シルクスパイダーの糸は染めることができないから純白なんだ、もちろん汚れることもない」
「でも、染まってますよ」
「そうなんだよ、染まってるんだよ、ポルク」
包みを鞄に入れているポルクは
「なんですか?ラスーさん」
「さっきあげてた木の実ってなんだ?」
「あぁあれは精霊の実ですよ」
「精霊の実?ってなんだ」
「精霊の実っていうのは精霊が時々くれる実でリュク達の好物だということしかわかってないんですけどね」
「そうなのか」
「はい、リュク戻っていいよ」
リュクは糸を伝って巣へと戻ると
染まった糸が上から落ちてきた
ポルクは糸を束ねて
「ラスーさん要りますか?」
ラスーへと差し出した
「いや、いいよ、ありがとう」
「そうですか?シャラさんは要りますか?」
「えっじゃあっ痛い」
ラスーはシャラの足をおもいっきり踏んでいた
「シャラもいらないみたいだから」
ポルクは不思議そうな顔をしながら
「そうですか」
糸を鞄へと入れてると
シャラは小声で
「なにするんですか?ラスーさん」
「あのなぁ、俺の話を聞いてたか?」
「聞いてましたよ、シルクスパイダーの糸は王族御用達で普通の人には買えないんでしょ?」
「そうだ、つまりそんな糸を持っていたらどこで手に入れたか聞かれる、それにあの糸は染めることができない筈なのに染められているから確実に王族へと話がいく」
「はい」
「そうなれば、この村の事を話さないといけなくなる」
「話さなければいいんじゃ?」
「馬鹿なのかお前は話さなければ不敬罪に問われて最悪死刑だぞ」
「それは嫌です」
「だったら、今後は考えて喋るように」
「わかりました」
「お話終わりましたか?」
キャルに乗ったポルクが目の前で待っていた
「あぁ、待たせて悪い」
「いえ大丈夫です、次の場所へと案内しますね」
小人のポルク けんはる @kenharu
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