第12話―カモイなげし8―

分かりきっていたが遅刻。

幸いなことに担任の教諭から廊下に立っていなさい!と怒鳴られるような事はなく軽く注意された程度で済んだ。

そんな一世代か2世代では当たり前のように懲罰されていたのは過去の産物で時代錯誤じゃないか。

名作とされる昔の作品を動画サービスで視聴していたからなのか、そんな

風に怒られるのか少しひやひやとワクワクしていた。

もし常習犯であるなら別かもしれないが、その場合は単位が減るという現実的なことがあるので現実的にそんな無謀なことするなんてありえない

からな。

自席に着くと、そのまま頬杖をついて窓越しからの外にある風景を眺める。


(あの二人は怒られていないか

心配だな。

とくに無表情な鬼川には誰よりも先に助けたんだから理解してもらいたいが…難しいだろうな)


俺には体裁など気にも止めない。

だからこそ遅刻しても構わないと慌ておののく無く、のんびりと歩いて通学した。

しかし、それが原因で吟と鬼川が遅刻させたのなら?走って間に合うかもしれないと促してけば良かったかもしれない。

うまく言い訳するか誠意を見せて許せしてもらえる可能性が高い吟。

その一方で鬼川はそんな器用な手段を取れるような奴じゃないだろう。

たったの数週間の間で知り合った仲であるが性格や不器用なのは顕著だ。

間違いなく叱責されるはず。

どうにか解決方法はないかと思考を巡らすが答えが出ずに時間だけが経過していった。

気づけば時計の針が示すのは正午、

昼メシの時間が訪れる。

ウルフは机をやや乱暴ぶつけるようにして向かいの席とする。


「おまえが遅刻とは珍しいことがあるものだな。

もしかして喧嘩か?」


「あのなぁ…白昼堂々とケンカする方がおかしいし、そんな発想をするウルフおかしい。

ちょっと遅刻したんだよ」


「そんな時もあるか」


これで関心を失ったみたいに、小さなため息をこぼして売店で買ったであろうカレーパンの袋を開ける。


「そうだよ。

だから遅刻なんて珍しくない。

んっ?その前に聞きたいこと一つあるんだが……

ウルフ妹とケンカしたのか?」


「……どうして、そう思うんだよ」


バツが悪そうに目を細め、嫌なことを聞くなぁと嫌そうだった。


「どうしてかなんてカレーパン。

それこそ、いつもなら最愛の妹お手製であるお弁当を食べているのに何故か今日は、そうじゃない。

珍しいと思っても不思議じゃないはずだろ」


この一匹狼は重度のシスコンと俺はそう見ている。こんな怖い兄のために

作った料理を美味しいと舌鼓を打っている。


「ああ、そうだよ!

怒らせてしまった。でも当然の結果だって受け止めているからいいんだよ。

ストーカーにつけられているの気配で気づいたから、ぶん殴った。

同級生だったみたいで俺が一方的に暴力を振るったと

勘違いさせられたんだよ」


「そこまで言っていなかったんだが。

そうか、あの桜がねぇ。

で事情を説明をしたのか?ちゃんと」


疑問を問いかけただけだったがウルフは遠回しに関係が悪化したんだろうと聞こえたのだろうか。

ウルフの妹である牧野桜は怒った?

勝手に語ってくれた内容に、俺はだからかと納得が半分と残りは驚いた。

血の気が多いウルフであるが理不尽な暴力というものは嫌っている倫理観は持っている。


「したに決まっているだろ!

でも信じてもらねぇかったんだ。

どうにもソイツが優等生みてぇーで」


食事を楽しんでいた他の生徒がビクッと肩を上下させて何事だとウルフの方へ視線を向ける。

吠えるように吐いたことによる恐慌によるもので教室の談話とゆるやかな空間は崩れていた。

ここにいてもお互い居心地が悪い。


「なぁ場所を変えないか?」


「あぁ?……チッ、分かったよ」


ウルフも周囲の反応に気づいて俺の提案に肯定した。

ウルフを知る俺は、この場で人物評を改めてほしいと訴えようにも俺の言葉では真に値しないと胡乱な眼差しを向けられるだろう。

一応ウルフの変わりに食事の迷惑をかけてしまったことに謝罪してから

教室を出て、ひとけの少ない校内のベンチに座る。


「情報が足りないから憶測になるが

要するに桜は、その優踏生が清廉潔白過ぎた。

長年の培った兄妹の絆からの信頼よりも校内とかの模範的な行いが信じてじった。それで当たっているか?」


「そうだよ!

全部、当たっている。鋭くて助かるよ相変わらず」


どこか立てた内容に違いがあるのか思ったが口にしよつとした内容を考察した解釈で正解らしい。

苦々しく吐くウルフは、そのあと桜か怒ったのを思い出したのか脱力して

目伏せるのだった。

どこか牙を抜けた弱々しく震える狼を彷彿とさせて哀愁感が漂っている。


「あー、それなら大丈夫だと思うぞ」


「なにが大丈夫なんだよ!?

気軽に言うなよ。あれよりも信頼性があると衝撃を受けたことないから

言えるんだよ!」


顔を上げると凄まじい眼力で睨まれ

激高したウルフに俺は襟をつかまれると怒号を浴びせられた。

気休めの励ましであるなら、ここまで激高しなかったであろう。


「受けた傷は別種類だから分からない。けど信じていいはずだ。

ウルフと桜の強い絆を」


「おまえ、そんな中身の無いキレイ事を並べる奴だったのか?」


俺はその怒りから侮蔑と変化をする問いに対して、ついニヒルと微笑を浮かべてしまう。


「 安心しろ。俺も中身のないキレイ事は嫌いだから」


空虚で真剣味のない言葉を好まないのは俺も一緒。一度ゆっくり息を吸うと言葉を継げる。


「その優踏生だけど今頃なにかアクションしているじゃないか?

じゃなくとも桜が自主的に情報収集とかしているとか周囲が危険人物だって報せてくれたりとかあるはずだ。

早くても今日の夕方ぐらいには

桜から謝っていると思っているはずじゃないか?」


「なにっ!?」


襟をつかんでいた力が抜けられて解放される。苛立っているウルフを刺激すると粗暴なことをしてしまう危うさがある。

怪我や殴られてもいないから傷害罪に抵触にならないとはいえ立派な暴行罪に触れている。

まったく俺じゃなかったら問題だったぞ。ストーカーにすぐ暴力を振るったことが心配だけど。


「確信はしていないけど半分ほど自信があるだけで憶測で言っているだけ。

それと友人から忠告させてもらうと

暴力をあまりするなよ」


「あ、ああ」


どう返事をしたものかとウルフは困惑気味に曖昧と答える。


「わりぃ……いや。ごめん、なさい」


両足を揃えて姿勢を整えると頭を下げて謝るのであった。

ごめんなさいという言葉に違和感を感じずにいられないがそこにツッコミをしないでおくことにした。

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