第5話
イケメン藤島は父親が大会社の社長だとかで
金持ちのお坊ちゃんだった。
だからこそ、髪の毛だってカリスマ美容師が切ってるだとかでお洒落だったし、高い学習塾通わせてもらっててクラシックバレエの習い事とかもしてて運動に勉強にできてスクールカーストの頂点に入れたんだ。
「マヒロにやらしいことして金で揉み消す、だと!?」
「ふざけんじゃねぇ...!」
マヒロのクラスにマヒロの姿はなかった。
教室に残っていた女子の一人に聞いた。
「お、おい、マヒロがどこに行ったか知らないか?」
「あー、真島マヒロなら、藤島くんに
呼ばれて、体育館裏に行ったみたいだよ」
俺らは大急ぎ体育館裏に向かった。
階下に降り、山下カナコは職員室、俺は
体育館裏へと向かった。
息せき切って走った。
向かうと今、まさにヤバイ状況だった。
俺が時間稼ぎしてる間に
先生を呼んでくるね、とクラスメイトのカナコは言ったが、俺、空手も柔道もやってないのに、藤島を含めた男三人に立ち向かわなきゃならなかった。
「やめろぉ!!」
藤島が、スカートに手をかけてる、その瞬間に
俺は藤島の上半身に頭突きを喰らわした。
思いの外、うまく当たり、
藤島は吹っ飛んでくれた。
「せ、先生、こっちです!!」
山下カナコの声。
すんでのところで助かった。
藤島達は、逃げようとしたところ、
俺らの担任で柔道部顧問の鬼の山田なるあだ名を持つ先生に首根っこを掴まれて身動きが
取れなくなってた。
そのまま、職員室へと連行された。
カナコが気を遣ってなのか、
「良かった!私、もう帰るね!
これから習い事あるからさ!」と
俺を幼馴染とふたりだけにしてくれた。
このあと。
俺は泣いている幼馴染を叱った。
「おまえ、そんなカッコしてるから勘違いされるんだぞ」と。
そのあと直ぐに思い直して
優しい言葉をかけた。
「ま、良かった。無事で」
「ごめんなさい」と幼馴染。
俺は幼馴染の手を取り、尻もちをついていた
彼女を起き上がらせた。
「私、地味とか、陰気くさい、とか、からかわれるのとにかく嫌で。あと、シンジにも振り向いてほしくて、、あの、、
背伸びして金髪ギャルやってたの...」
俺はハッキリ言った。
「俺は清楚系のおとなしい女のほうがいい!」
「いまのおまえ、超絶可愛いけど、変な虫がつきそうでいやだ!!現に、ついさっきつきそうになったじゃないか!!」
こんなことがあった翌朝。
幼馴染は地味になってた。
本来の幼馴染が、俺の前に帰ってきた。
マヒロに関しての、超絶ビッチなる噂は
一瞬にして立ち消えになった。
そして、ありがたいことに、
マヒロの元金髪ギャルの姿を知ってる周囲のみんなは、地味になったマヒロに対して、
「あの子、地味だよね」なんて
揶揄うことは一切なかったのでした。
そして。
藤島達は。
金の力で事件を揉み消すつもりでいたみたいだけど、正義感溢れる鬼の山田Tに見つかったために、金で揉み消すなんてこと、全くできなくて。
今、停学処分を食らって自宅謹慎中なのでした。
さて。
俺は地味に戻った幼馴染と晴れてカレカノしてる。
地味男と地味女が仲良く歩いている姿は
風景に馴染み、周囲からみたら、とくに
おかしいということもないらしく、
一緒に手を繋いで帰っていても、誰も何も、
文句のひとつも言わないのでした。
超絶ビッチだと周囲から思われてる巨乳な金髪ギャルの幼馴染が実は処女だということを陰キャの俺だけが何故か知っている件について。 雲川はるさめ @yukibounokeitai
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