魔法薬

ohne Warum|

第1話

漢字というのは堅いので、溶かそうと願えば、誰にでも解かすことができる。ひらがなであれば、それは歌の好きな君たちなら頑張れば解かすことができる。見えているものの解けた先に見える姿はなくても、そこには必ず真の姿を感じ取ることくらいはできる。溶けることが重要だ。僕らがグミだと思っているものや、夢や現実だと思い込んでいるものを解かせ。すると君の生きたい世界をそこに生むことは、もう堪えることなど出来はしない。多くのものがナタデココに味付けしようと試みることで、そのグラスに注がれる水は魔法の色や味を生み出される。だがそれは夢に過ぎない。グラスが空になろうと、どんなにそれを求めたとしても、そこに残されたグミにまでは届くことはなく、置き捨てられたカップの中には、人々の叶えられなかった世界を含んだそのグミが取り残されたまま、溶けるまえに滅びる運命にある。それを救おうとしても、僕らにできることはない。僕らがすべきは自分の飲みたいものを飲むだけ。

見えたものがそこに漂い、なかなか味わうことができなくとも、グミは溶けることはないから、必ず味わうことはできるはず。夢の魔法水が空になったとしても、そこには必ず残ったままでいる。魔法にかまけてる余裕はない。必ず見たものを生きること。明日にはもう掴むことはできない。見たいものを見て。

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魔法薬 ohne Warum| @mir_ewig

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