第4話

付き合うようになったからといって私達の関係は普通の男女が通る道を何一つとして通りはしなかった。

身体の関係を持つことは出来ないことを彼女は知っているし、その部分についてお互いの関係を深めようとはお互いにしなかった。

居酒屋での話を少しは彼女も理解しようとしているのだろう。

それに彼女なりに元旦那との関係性について傷ついていたようで、私にどうしろこうしろ言うことはなかった。

お互いにただ、日常生活を楽しく過ごせればいいのだと考えるようになっていった。


だからだろう。同棲するまでは早かった。

私も彼女を"愛する"ようになったのだ。


しかし、その日は突然やってきた。

その日も新月で、薄暗かったのをよく覚えている。


家に帰るといつもと違う、静けさの中に鼻息だけが響いている不思議な空気…

そう、よく文章で書かれる"ピンと張り詰めた空気"というものを感じた。


愛した女が目の前で男に何度も刺されて倒れている。


"ドクン"


"ドクッドクッ"


"ドドドドドドドドドドドド"


死んでいる彼女をみて、私はあの時の異常なまでの興奮を、いやそれ以上の興奮を押さえることは不可能であった。

男がこちらに向かって何か叫んでいる。


"あ、あ、この男が、彼女の元旦那か"


なんとなくだけ理解した。

ちょうど彼女が料理中だったのだろう、

運が悪かった。


置いていた包丁を手にとって、こう考えたのである。



愛した女を殺した男でも興奮することができるのかと。



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異常者のあれやこれや 三木 和 @miiiiih

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