2月12日
かなたのクラスには、可愛らしい男の子がいる。(ちなみにかなたはそういう女子である)その1人の名前は久野(くの)くん。彼はかなたの前の席に座るかつ丼くんととても仲が良く、りんちゃんとはよくそういう話で盛り上がる。この日、文法の授業があったが、安定のつまらなさだった。この時点でかなたが失礼なのはモロバレである☆
文法ドリルを各自で解く時間が多かったため、早く解き終わったかなたは、髪をいじったり、落書きしたり、かつ丼くんやみはるを見つめていたりした。かつ丼くんは文法が苦手だからまだ終わってないし、みはるは終わった瞬間机に突っ伏してぐうすか眠りこけている。
(つまんないなあ…)
私は頬杖をついて、寝こけているみはるを眺めていた。先生にバレても知らないぞー…?
がたっ
「なあなあ、これ、どっち…?」
かつ丼が振り返り、小さな囁きで聞いてくる。指されたページは選択問題のところだった。
「あーとね、それは…」
ちまちまとしくみを解き、答えを導かせる。
「あっ、じゃあこっちか〜!!」
「そうそう!がんばれ!」
あ〜、人と喋るの楽しいなあ…。
みはるを起こしてでもしゃべろうかと思い、みはるの方をみやると。
じいっ、と、みはるの前の席に座る久野くんがこっちを、正確にはかつ丼を見つめていた。
(え〜、なになに?かつ丼が終わるの待ってるのこの子〜!?かわいい〜!!!)
久野くんは確かにかつ丼ととても仲が良い。休み時間は大抵一緒にいるし、給食を取りに行くときも一緒だ。
(うわあ、今日もめっちゃ髪さらさら、そしてかわいい…)
女子にも劣らぬさらさら、ツヤツヤの髪。くりりとした猫っぽい目、そして何よりも、ブレザーの隙間から見える手首の細さ。細すぎず、太すぎずで、眼福すぎる。
みはるを起こすのも忘れて見入っていたが、彼もかつ丼に見入っているから全く気づかない。いや好きすぎかよ。
「はーい、じゃあそろそろまる付けするから、ペン持って〜」
先生が声をかける。ハッと前を向く。久野くんも前を向いて座り直す。あ〜、なんやかんや目の保養になったなあ。ぼんやりしながらまる付けをしたドリルはほとんど合っていた。三日後には忘れていないことを祈るばかりであった。(復習しろよ…)
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