第14話 別れ、そして……

「えっ?十夜、向こうに戻ちゃうの?」


「うん。父さんも向こうに戻るみたいだし母さんの所に一緒に帰るよ」


「…そうか…」


「淋しくなるね。友羽」

「…それは…」

「遊びにおいで」

「…うん…でも…私…英語得意じゃないから…」「大丈夫だよ」

「大丈夫じゃないよ~~」




そして、十夜は海外へ父親と共に母親の元へ戻ってしまった。


その後、十夜と手紙のやり取りをしていたものの、お互い忙しくなり、話し合った上で手紙のやり取りは辞めた。


だけど一人の時間があると十夜の事を考える事が増える。



「…十夜に…逢いたい…」





ある日の放課後。


体育館がやけに騒々しく賑わう。



「あれ?アイツ前にここに通っていた奴じゃね?」


「あー、いたいた。相変わらずだよなぁ~」




そういう会話が聞こえてくる。




《誰だろう?》



「ねえ、試合じゃないの?」



私は隣にいる女子生徒に尋ねた。



「うん、試合じゃないよ。前に通っていた生徒らしいけど」


「そうなんだ。ありがとう」



私は気にはしていたものの野次馬を掻き分けて前に移動しようという気にならず辞めた。


ふと、十夜の事を思い出し私は体育館を後に帰る事にした。




「…十夜…」



私はぼんやりと帰り裏門を通り過ぎた後の事だった。



グイッと腕を掴まれた。




ビクッ

驚くと同時に背後から抱きしめられた。



「友羽、見ぃ付けた♪」


「えっ!?」



振り返ると同時にキスされた。



唇が離れ、至近距離にある顔に驚く視線の先には




「…十…夜…?」

「ただいま♪友羽」

「えっ!?本当に…十夜?」

「うん♪」



私は十夜に抱き付く。




「おかえりっ!えっ?どうして?」



抱き付いた体を離す。

私達は肩を並べて帰る。



「向こうに戻ってからしばらくは良かったんだけど、連絡しなくなって友羽の存在が大きかったみたいで…」


「うん…えっ!?」

「友羽、俺の永遠の彼女になって♪」

「えっ?…十…夜…」

「俺、友羽が好きみたい。だから、付き合おう友羽」



「えっ?…十…夜…」





突然の事で頭が追い付いていかない。


目の前には大好きな十夜がいて、今、その十夜に告白されてる?



「十夜…色々と突然の出来事がたて続けに起き過ぎて…頭が付いていけてなくて…」


「うん。ゆっくりで良いから」




私達は、色々話をしながらも私は状況を把握していく。


少しずつ理解してきた私の頭は嬉しさと変わる。




足を止める私。



「友羽?どうか…」



私は十夜の胸に飛び込む。



「十夜…改めて宜しくね」

「友羽…うん。こちらこそ」



私達はキスをした。



「だけど、友羽、結婚前提だよ」

「…そう…だよね…」

「うん。大丈夫。無理しなくて良いから」

「十夜…」

「俺達の想いが一つになった時、改めて友羽にはプロポーズするよ」

「…十夜…うん…」






~ Fin ~



















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帰国子女 ハル @haru4649

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