俺が萌え声の女の子の財布になった話 PART4

「「バイバイ」」 と互いに手を振って去る。


僕は名残惜しくて何度か振り返ったけれど、彼女が振り返ることは無かった。

ちょっぴりショックだった。 僕は地下鉄に乗り込んで家へと向かった。


--ピコン とスマホの通知が。

「今日は楽しかったよ'٩꒰。•◡•。꒱۶' また遊ぼうねっ!」 ミクちゃんからのチャットだった。

これを見た瞬間、嬉しくてチャットを10度見した。

やはりミクちゃんは天使だは!!

そう勝手に決めつけた俺はスカイプのミクちゃんの名前を「♡大天使ミク♡」に変えて、さっさと返信を打って電車を降りた。


帰り道は天国だった。 サイサイの「八月の夜」を聞きながらチャットを見まくって、今度のデートはどこ行くんだろ!? 原宿行きたいって言ってたっけ。 とか、何故か彼氏面して、作ってもいない「また次を」死ぬほど妄想していた。

その日はイケボと通話(ほぼ僕の自慢話)をして、気持ち良くなった僕は気分は最高調で眠りについた。

・・・けど、だけど、そんな嬉しみはこれで最後だった。



翌朝、「♡大天使ミク♡」のチャットを見たら僕はブロックされていた。 理解が追いつかなかった。 また遊ぼうって言ったじゃんか......。

けど、すぐに自覚した。

だって、薄々気づいていたから。

「楽しかった」なんて彼女の優しさでしか無いってことに。 優しさどころかその気すら無くて適当に言ってた可能性もあるけれど、どっちにしろ原因は1つだった。


僕がゴミみたいな奴だったってこと。それだけだった。

ブスでコミュ障で自らATMになるような奴誰が好き好むだろうか。

女子は基本、自分と対等かそれ以上の相手じゃないと好まない。

当たり前のことだった。 今なら分かるけど、俺が女だったら「キメェから死ね」と言ってるレベルだったと思う。

僕の心は破砕した。 破砕というより研磨されて俺のメンタルは生半可なことじゃ傷つかなくなった。強靭・無敵・最強!になった。 "あの時"に比べれば大したことないな。って前提で行動できるからクソほど無駄な行動力もついた。 後悔は一切してない。 だって楽しかったから。


けど、時々思う。 レベルアップした今の俺なら彼女に届くんじゃないかって。 届かないとしても届かせる機会くらいあってもいいんじゃないかって。

「冷凍保存した記憶溶かして、また君に会える理由探してるんだ」ってね。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺が萌え声の女の子の財布になった話 みうく @kuumiuk_

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ