太陽の友人

私の友人は とても強い人だ


傷つくことをいわれても

不遜な態度をとられても


いつもニコニコ受け流している


私の友人は とても優しい人だ


私が誰かを恨んだり

妬み嫉みを口にすると


同調せずにたしなめてくれる

ときにはピリッと


そんな友人は休日になると


知らない街をブラブラしたり

美味しいご飯を食べたり

美しい絵や音楽に触れてるのだそうだ


楽しんでるだけ と友人はいうけれど


私には自分に向けられた穢れを

勝手に押し付けられた不条理を


自分の中で浄化しているんじゃないかと

浄化できる人なんじゃないかと

そう思う


私の友人は そばにいると

とても暖かい人だ


穏やかな陽射しにほっこりすると

友人のことを思い出す


眩しく輝く太陽の友人は

きっと自分自身で輝いてるに違いない


幼いころに何年も

入院してたことがあるらしい


今は何ともないけどね と友人はいうけれど

本当にあっさりと


人とは違った思春期を

運よくあたえられたその命を


その尊さをありがたみを慈しみながら

自分の思いを燃やすようにして生きてるのだと

そう思う

ときには辺りを照らしながら


それに比べて私はどうだ


借りてきた言葉に

借りてきたポリシー


偉そうに言うことは 振る舞いは

いつしか誰かに聞いたことの鏡写しだ


綺麗にキラキラと反射できるように

傷がないかと そればかり

気にしている


月明りが眩しいのは

夜の闇にいるからだというのに


どんなに月が輝いても

寂しさの影を隠すことなどできないのに


ときどき

ただ黙々と歩くことがある


そんなときはいつも

プレイバックした分岐点で

もし違った道を歩んでいたら

そんなifの世界ばかり妄想している


私の友人は とても明るい人だ


休日になると ときどき

何キロも走ることがあるそうだ


走りながら何を考えているの? 

と聞いたことがある


あのときは楽しかったなぁ

あのときは美味かったなぁ

あのときは嬉しかったなぁ


まぁそんなとこ と友人はいうけれど


私には

”心の核融合”

そんなキーワードが 頭に浮かんだ

だって私の友人は 太陽のような人だから


澄みきった夜空に幾つもの星が瞬いている

あれは何億光年も遠くから 昔から

届いてくる自分自身の輝きだ


どんなに離れていても どんなに時間がかかっても

こんなにたくさんの輝きが

確かにあるのだと 確かに届くのだと

星空は教えてくれる


明日は少し歩いてみようか


今まで自分が生きていて

一番幸せだと思ったのはいつだったか


たまにはそんなことを考えながら


===================================


それはひょっとすると


雪解け道のおだやかな陽だまりで

まだ肌寒くも 少し柔らかい

吹き抜けた風を胸に吸い込んだ

ありふれた あのときかもしれない

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