第2話

 数日間泊まることになって訪問して来た美羽と玄関で挨拶を交わし、数十分が経過。

 私はカーペットの上で女の子座りをしながら、サトリで買った小さい机の上にノーパソを置いて、好きなVチューバーであるティアちゃんの無断転載された切り抜き動画をヘッドフォンを付けて閲覧していた。

 そんな時、急に首筋辺りに唐突な刺激を受け、私は体を小刻みに震わせながら自分の首を守るように手で隠して背後を見た。

 後ろには短めのスカートを履いた美羽が小悪魔的な表情で私を見下ろしていた。


 「あっ、ごめんなさい。首に息を吹きかけるの嫌でした?」


 本当に悪い事した、という感じは一切なく、右手の人差し指で自身の桜色に煌めく唇を触れながら軽く笑う美羽ちゃん。

 私はヘッドフォンを外し、あと少し屈めば下着が見えそうな美羽ちゃんを見上げながら言った。


 「は、入るんだったら、ちゃんとノックくらいしてほしいかなー…」

 

 ぎこちない笑顔を作って言うと、美羽ちゃんは返答した。


 「んー、ちゃんとしましたよ?ノック。佐奈さん、ヘッドフォン付けていたから聞こえなかったのでは?」


 自分の手の中にあるヘッドフォン(税込20000円)を見る。

 確かにさっきまでティアちゃんの絶叫系のゲーム実況を見ていた。これは完全に自分の落ち度だと反省する。

 気を取り直しつつ、再び美羽を見上げた。


 「そそれで……な、何の用かな?」

 「用って言うより、私もここで佐奈さんと過ごす部屋なんですよね?」


 ここで忘れていた事に気付く。

 そうだ……今日から美羽ちゃんと同部屋で数日間過ごす事になるんだった……。

 感情が顔に出ていたようで。


 「そんな顔しないでくださいよー、佐奈さん!今日からよろしくお願いしますねー♡」


 そう言って、美羽は素早く屈んで、佐奈の腋から手を通過させ、胸元の大きな二つの果実を揉むような形で抱きつく。

 

 「ちょ、美羽ちゃん!離れて!」


 前方から襲われる甘い刺激を耐えながら、抱きついてきた美羽ちゃんを強引に引き剥がす。

 あまりにも乱暴に引き剥がしてしまったせいで、美羽は勢いよく後ろへと倒れながら尻餅をついた。


 「痛ッ!」

 「あ、ご、ごめんなさいっ!怪我しなかった!?」


 美羽の苦痛の言葉を聞いた佐奈は、四つん這いで美羽に近づく。

 尻餅をついた美羽ちゃんは不本意でM字開脚になってしまい、私に見せつける形で自身の大事なところを保護する「紐」を露わにする。


 ん?紐?

 思考が停止する。

 私の目は紐しか見れなかった。

 10秒程、紐を凝視していると、美羽ちゃんが動いた。


 「そんなに気になりますか?下着が?」


 え?下着?この紐が?下着って自分の大切なところを保護するとこだよね?

 脳内Sanapediaオン。

 【下着-したぎ-】

 1 肌に直接着る衣類。肌着。

2 和服を重ね着したときに上着の下に着るもの。

 いやいやいやいやいやいやいや。

 下着やないやん。紐やん。着てないやん。巻いてるやん。

 私の脳が混乱している中、美羽ちゃんはさらにスカートを捲り、紐に触った。

 

 「それともー、【中】が気になるんですか?」


 ここで我に返り、少し離れた壁に激突する。


 「ダメ!消される!カクヨムに消される!!!」

 「?か、カクヨムって何ですか?」

 「とりあえずダメだから!消される前に足閉じて!早く!」

 「わ、分かりました」


 美羽ちゃんは私の勢いに負けて、足を閉じて女の子座りになった。

 私はふぅ……と、胸を撫で下ろす。

 

 「佐奈!美羽ちゃーん!お昼ご飯用意したわよー!」


 お母さんが下から叫ぶ声が部屋まで届いた。

 

 「下に行こっか」

 「はい!」

 

 美羽ちゃんは元気に返事をし、二人で一階に降りた。

 

 

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