第6話 残酷な選択
アオイは内心から来た恐怖と不安をトウコに訴えたことに後悔のしていた。今居る部屋から動かないまま、体育座りをしている。
戦闘している影響か部屋にあるコップや陶器が揺れる音が聞こえている。トウコたちがドラゴンに挑んでいるのだろう。
彼はずっと悩んでいる。嘘ついて行くと言うべきだったのか、それとも逃げても良かったのだろうか。ずっと心の中で自問自答していると「ガチャ」とドアの開く音がする。
アオイの前に現れたのがジュン。なぜ彼がここに来たかは少しは察している。
「あ、アオイ。お願いあってきた」
「ちっ·····。言わなくてもわかってる。戦えだろ?」
少し反抗的な態度で拒否をした。だが、本心は葛藤しているため、考える時間だけが欲しかった。
もちろん。戦力がないため手を貸したいのは山々だった。まだ気持ちの整理ができてない。
「わかってたか·····。その·····」
ジュンはクールな顔付きにも関わらず、唇を噛んでいた。明らかに何かがおかしいと思っていた。
「た、頼む! ニホンにいる娘を守ってくれ!」
「は? ちょっ·····」
泣き崩れるかのようにアオイの前で土下座をしてきた。見知らぬ人にも関わらず、なぜ懇願してくるか。
「お、おい。頭を下げても、わからねぇよ。いきなりあんたの娘を守れって·····」
「わかってるさ·····。でも、今のままだと、ニホンにいる人々が巻き込まれてしまう!」
「·····。待て。その意味はどういうことだ!」
その理由を聞いたアオイは勢いよく立ち上がる。その一言に嫌な予感が走るほど、心臓が締め付けられた。
「さっきの意味の通り·····。ニホン·····。いや世界中で世界を1つになろうとしている」
「1つにか·····? なぜ?」
「イデア·····。さっき話したが、オレたちの世界で言えばネットみたいな存在と話した」
「あ、あぁ。そうだけど、ネットとは何かと違うのか?」
アオイはイデアはネットと言うイメージで考えていた。しかし。ジュンの話を聞くと予想にも遥かに超えるほど、重大なことがあるとわかる。
「イデアは人間の脳をテレパシーで仮想空間に向かったり、通信をしたり、疑似体験をする·····。ここまで聞くとネットと似ているだろ?」
「そ、そうだけど」
「だが、この世界は仮想であるものが、具現化することがある·····。つまり·····」
その一言でアオイは気づいた。
「ま、まさか。創造したものが実現するというのか?!」
「あ、ああ。性質上·····。イデアは創造にも限らず、実際にある世界線を引っ張ることもできる·····。もしこの世界とオレたちの世界が繋がってしまえば·····」
「侵略が起きてしまうのか?」
今の話を聞いて他人事でないほど重大に見舞われた。もし。アオイたちの世界がこの世界に繋がってしまえば、弟に危険が及んでしまう。
「目的は明確ではないが間違いない。円卓の騎士達は世界を1つにすると言っていた·····」
その一言が不安を余計に掻き立てられた。まだ彼らに話せてなかったが、ほとんど記憶なくしたこと。そして唯一覚えている弟のことを思い出すとほっとく事ができなかった。
『クソ·····。オレはオレは·····』
心の中で戦うことに対する恐怖と勇気がぶつかり合うほど、迷いが生じていた。
強く目蓋を閉じていると弟と絵本を読む姿を思い出した。その本は『青い騎士と黄色い王』というものだった。
内容は忘れていたが、ある言葉がフッの脳裏によぎる。
『にぃに? 王様はなんで謝ったの?』
『ん? えーと。王様は間違えたことに対して謝ったんだ』
10歳くらい離れている弟はアオイの膝の上に座っている。きょとんとして顔つきで目を合わせていた。
しかし。顔は黒いモヤに覆われている。
『そうなんだぁ。にぃにが間違えたら、ボクが止めるの〜』
『はは! そうか。だったら。青い騎士は○○か』
団らんしている会話を思い出すと心が締め付けられるように拳を握る。このまま逃げてる訳に行かない。弟が巻き込まれてしまうのなら、ロボットであっても戦うとそう決めた·····。
「·····。やっぱ行くわ·····」
「 お、おい!」
順に呼び止められる前にアオイは急いで
「どこに行けばいいんだ·····」
「青い線に行け!
迷っているとジュンがテレパシーを通じて、道を教えてくれた。背中には確かにプラグ線のように繋がれているため、それを道標のように進む。
そして青い球体の元に着くと───
「システム正常 通り名を」
プログラムのようなものが入口を塞いでいたため、本来は通り名は覚えていない。だが、無意識に手をかざすと───
「通り名はランスロット。システムをオンライン!」
「了解 ブレインに人工神経の接続開始」
アオイは球体に吸い込まれるとコックピットのようなところに着く。そして身体に黄色い光の線が身体中に差し込まれる。
「人工神経のシンクロ率───70%───」
「カメラの接続開始。操作権限はオレがやる」
「了解─── 操作権限はランスロット───
カメラの接続開始────」
視野がノイズが走ったあと、視界が広がった。目の前に大きな門が塞がれており、1度周りを見渡したあと、刃渡りが13mのバスターブレードが立て掛けられていた。
それを手にすると背中の方に背負う。
「よ、よし·····。死なないよな·····」
恐怖のあまりか足が強ばっていたが、恐怖を抑えるために『これは弟を守るためだ』と何度も心の中で言い聞かせている。
すると目の前の門が開きはじめた。
「アオイ。今開いた! いつでも行けるか?」
ジュンは門をレバーを引いていた。彼は急いでアロンダイトの格納庫に向かって走っていたようだ。必死に走ったのか汗が滝のように流れていた。
「大丈夫だ! ジュン。ありがとう!」
深呼吸をしたあと、アオイは修復が完全でないアロンダイトを格納庫から走り出した。
「
勢いよく走り出したあと、かなりの高さから落ちる。
格納庫はどうやら山のような所から建てられているため、敵から攻めにくい作りになっているようだ。
そして街に向かって降りているとホログラム状のドラゴンが炎を吹いている。その相手としてトウコ達の3機の
ただただ「間に合って欲しい」と願うばかりに、急いで戦場へと向かった·····
BRAIN of IDEA~ブレインズ オブ イデア〜 四季巡 @shikisyuichi
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