幼馴染のイケナイ気持ちに火をつけてしまったようです…
はるみん
イケナイ気持ち
それは先週の金曜日のこと
「ゆき、おはよう!」
「うん、おはようかいり」
いつもと同じ朝、かいりと喋りながら普通の1日が始まったんだけど…
「ゆき!昨日のとぅいったーでバズってたおねショ漫画見た?
あれめちゃくちゃ良くなかった?!特にあの男の子がはぐれちゃった時お姉ちゃんだと思ってきゅってした瞬間おねぇちゃんになりてぇ!いやお母さんでも良い、ショタかわ…って鼻血止まらんかったわ…」
わかる
「いやわかる、僕は寧ろお姉ちゃんにきゅってしたままあわよくば埋もれたい、何処にかはあえて言わないけども取り敢えず男の子と替わりたかったね」
あの漫画はよかった、作者のお姉ちゃん愛もショタ愛も伝わってくる良い作品だった…
「ゆきも大概極まってるよね…
顔だけで見たら割と儚げで可愛いとこあってそこそこ人気あるのに。そんなに周りの女子には興味出ないの?彼氏欲しい娘紹介するよ?」
そうは言ってもねぇ、クラスの女子なんて漫画のお姉ちゃん達に比べたらメル○で買った金みたいな感じだよね、外だけ18金です。
それに。
「お姉ちゃんの包容力には勝てん」
「あっははー、バカ正直だねー。
そっかそっか、クラスの女子もゆきくんのお眼鏡にはかないませんか。
あ、学校着いちゃったね、今日は帰り部活あるから先帰ってて良いよ、また月曜ね!」
「ん、じゃあね」
それに、僕は昔から見た目だけなら理想のお姉ちゃんを体現しているこの幼馴染以外には、中々目が向かないのだ。
中身も包容力抜群のお姉ちゃんなら言うことはないんだけどなぁ、まぁ本人は度がつくショタコンだし、残念な性格だし、少なくとも幼馴染の僕を意識する事は無さそうだ。
そう、だからこの距離感でいいんだ。
かいりとは、おねショタの同志。
それで充分。
♦
放課後、一人で帰り道を歩いていると見慣れない店を見かけた。
いつもあまり通らない道だから新しい店ができたらしいね。ふふん。
カランカラーン
店に入ると不思議な香りがした。
なんだろ…
「アロマですよ、ホワイトムスク。
ちょっとえっちな大人の香り、です」
おとこの人…店員さんだよ…ね?
アロハシャツの前ボタン3つくらい開いてるんだけど…
「ッすみません、ちょっと見慣れないお店だったので気になってしまって、少し見ていっても平気、ですか?」
「これはこれは、可愛いお兄さん。
どうぞごゆっくり、気の向くまま、気がすむまで」
暫く店内を見ていると、先程の店員さんが声をかけてくる。
「何か気になる物はありましたか?」
「色々と見かけないものが沢山あって面白いです!
おじさんのマトリョーシカとか4枚羽根の竹とんぼとかめちゃめちゃ強そうな水鉄砲?なのかな、不思議です!
折角来たから何か買って帰ろうかと思うんですけど、何かおすすめとかはありますか?」
「楽しんで頂けてるようで何よりです。
そのマトリョーシカもどきは良く役に立ってくれますし、水鉄砲はでっかい化け物の吹き飛ばせるんですよ…なんて。
さて、お買い上げありがとうございます、と言いたいところですが、
私は本来あなたの様な方との商売はしてないんです…
しかしそうですね、今日の出会いも何かの縁かと。
そうだ、お兄さん。
入って来た時のアロマの香り、覚えていますか?」
いやいやどう見てもおじさんな人形だし、水鉄砲にしか見えないし、
でっかい化け物ってどういうことかな?
やっぱ揶揄われてるのかなぁ
「あの不思議な香りですよね、ホワイトムンク?」
「そうそう、あの香りです。
ふふ、叫びませんよ?ふっくく、失礼。
ホワイトムスク、といいます。
あれね、実はお客さんの求めているものに合わせて香りが変わるんですよ」
だんだん胡散臭さが増してきちゃった…
てかすごい笑うじゃん、ツボじゃん恥ずかしい。
香水なんて全然わかんないですもん。
「あの香りは自分に不満があるとか今の状況に満足していない、変えたい人に対して出てきます。おや?信じていない顔ですね。」
「僕これでも高校生なんですからね
揶揄うのはほどほどにして下さいよ!」
まったく。
「まぁまぁそう怒らないで、
さっきのホワイトムスクの香水です。
お試しとして小瓶ですがサービスしておきますよ、また機会があえばお越し下さいね」
「いや別に香水とかはつけないし…
あ、ちょっと!」
店員さんは僕の肩を押しながら外へ出てしまった。
「ではそろそろ次のお客さんが来てしまいそうなので、
また今度、ご来店ありがとうございました。
…とても素直な良い子ですね、応援したくなる」
そういうとさっさと店内へ戻ってしまう。
最後何か言ったような気がしたけど聴こえなかった。
なんかちょーっと釈然としない感じだけども、まぁ良いや、家に帰ろう。
すっかり日も暮れてしまっていた。
「今何時…げっもう6時半過ぎてるじゃん」
早く帰らないとご飯食べそびれてしまう。
うちの両親は共働きで朝も早く夜はその分色々早いのだ、夕食時に居なかったら好きにしてくれパターン。
「さっさと帰ろ」
ギリギリ夕食には間に合った。
お風呂も済ませて自室に戻ると、鞄から袋に入ってる小瓶が見える。
キュッ
蓋を開けてみると、確かに怪しい様な香りがする。
「んっ」
なんだろ、なんかむずむずする様な気がする?
最近してないし、えっちな香りとか聞いたせいかな…
まぁ良いや、もう寝ちゃおう。
♦
んむぅ
気が付いたらお昼前だった、麦茶を飲みに下に降りると
今日も両親は早かったみたい、誰も居ないや。
「外は雨かぁ」
なんだか雨のせいか気圧のせいか体が重い気がする…
いや、軽いのかな?変な感じ。
まだ眠いしもうちょい寝よ、休みだし良いよね。
ほら、ココとかイイんじゃない?
……ちゃんもっと甘え……いいよ?
何?こわいの?大丈夫だよ。
お姉ちゃんが優しくしてあげるから。
「んっはぁ…は…ぁ?」
ううわああぁぁ
なんかやばい夢見ちゃった!
絶対これアロマとかの所為だよぉ!
なんか体もぞわぞわするしなんであんな夢見ちゃってるのさ僕!
あんなお姉ちゃんに後ろからぎゅってされながら…なんて…
「……んあっ…っ」
体がアツい…変だよこれぇ
思わず体を抱きしめてしまった。
「ん、えっ、あれ?ん?
うそ、嘘でしょ?」
さわ…
「んっやっ…」
無いよ、無くなっちゃったよ?
僕のおちん…
なんか多分胸もあるし…どゆこと?
てか自分で触っただけなのに、なにこの感度…
胸も…お股も…
「んぁっ…これっ…ダメかも」
やばい、止まんない
♦
捗った。
凄く捗った。
なにがとは言わないけども。
兎に角、じっくり確認してわかったのは、僕は今10歳くらいの女の子になってしまったという事。
まあもちろん色々捗ったことからわかるんだけど、
見た目だけは10歳なんだと思う。
体は正直だった、めっちゃびんかん。
さっき疲れ果てて時計見たらもう5時だった…
起きたのは2時過ぎだったし3時間近くも…
「はぁ…
汗やば、お風呂入ろう。
まだパパママ帰って来てないしこのままでいいかぁ」
♦
ちょっと色々捗ったからいつもよりお風呂が長引いちゃった…
シャワーって凄いね。
頭を拭きながら部屋に戻ると、かいりと目があう
なんか凄いびっくりな顔してるね、久々に見たかも。
ちょっと笑っちゃう、まぁいいや。
「どうしたの?」
「あなた誰?」
「いや誰って」
そんな間にかいりは窓から乗り込んでくる。
「ちゃんと答えなさいよ、ゆきの部屋でなにしてるの?」
「何してるって…あっ!」
今僕は外見年齢10才の女の子…
つまり
いや、犯罪だよぉおお!
「貴女みたいな子がなんでゆきの部屋にいるの?
お父さんお母さんは?
というかゆきはどこにいるのよ!」
「わ、わたしはゆうき…雨宿りし、してたら風邪ひくからって、傘無くしちゃって…お家の鍵も無いから…
お兄ちゃんはわたしの替えの服買いに行ってくれたの」
僕、超ファインプレー
冴えてる僕の頭脳!
演技力は自信ないけど大丈夫、僕はゆうき僕はゆうき僕はゆうきちゃん。
ヨシッ!
「まぁいいわ、帰ってきたら詳しく聞くから。
ひとまずタオル貸しなさい、ちゃんと拭かないと風邪ひいちゃうわ」
「あっ、ありがとうございます」
ふと僕の頭に閃きが降りた。
後々思い返すとなんて取り返しのつかないことを思うが、この時の僕はそれが試してみたくて仕方なかったのだ。
いまなら、いまならかいりをからかえるんじゃないかな?
実はゆきお兄ちゃん好きになっちゃったかも?なんて。
あ、いいこと思いついた、今ならかいりに好きな人が居るのかとか、僕に脈はあるのかきけるかも?
ヨシッ!(2度目)
「ね、ねぇお姉ちゃん…お姉ちゃんってゆきさんの彼女さん、なの?」
バタバタしながらも髪を拭いてくれ始めた幼馴染の膝の上で聞いてみる。
ぴたりと手が止まった。
「お姉ちゃん…?」
「彼女ねぇ、どうなのかしら。考えた事なかったわ」
デスヨネー。
そうだろうと思ってた、全く意識もされてないし、多分異性同士とか全然考えもしてないんだろうな。
はぁ、今は最後のチャンスかな、ごめんねかいり。
「そしたら…そしたらわたしが好きになってもいいですか。」
これでダメなら、諦める。
幼馴染のイケナイ気持ちに火をつけてしまったようです… はるみん @-ZZZ-
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