第2話

 ――十年後。


「社長、一大事です!!」

「騒ぐな、寝起きに悪い・・・どうしたというのだ」

「テレビをご覧下さい!」


 スラグ炭鉱、社長室。朝のワイドショー、大型の液晶画面に映されたのは。


『今まで俺たちは、声を上げられずにきた!だが、それも今日で終わりだ!!』

『今まで集め温めてきた証拠と、俺達の惨状を以て、スラグ炭鉱を訴える!!』


『――つまりスラグ炭鉱は今まで、労働基準法及びその他の法律に違反して、操業を続けていた訳ですね』

『それだけではありません。いくら大企業とはいえ、これ程の規模の不正及び違法、単独で為せると思いますか?』

『・・・まさか』

『その通りです。今回の事件に当たって、スラグ炭鉱と複数の関係省庁及び国家間との、長期間に及ぶ癒着の事実が浮き彫りになりました。VTRをご覧下さい』


「情報漏洩です!更に炭鉱全域でストライキが発生!!炭鉱の機能が完全に停止し・・・」

「・・・っ!!それがどうした、鉱員共を連れ戻せ!!それしきのこと、何を手間取っている!」


 一瞬、茫然自失に陥る社長であったが、即座に指示を飛ばす。


「・・・至急関係省庁とマスコミに連絡を取れ!!根源を突き止めろ!!実働部隊の運用も許可する、手段は選ぶな!!兎に角火の手が広がらん内に、迅速な事態の収拾に努めろ!!」

「はっ!!」


(・・・何が起きたというのだ)

 

 心の中では若干焦りつつも、見てくれは極めて冷静な男であった。

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ある男 猫町大五 @zack0913

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