第2話「昼ご飯」

 下駄箱で靴を取り出し外靴に履き替える。


 隣にある友人の下駄箱を見ると手紙で溢れていた。



「相変わらず下駄箱の中が郵便ポストかよって程の手紙の量だな。それ全部読むのかよ?」



 前から疑問に思っていたことを聞いてみる。



「うーんそうだな。一応全部には目通してるぞ。大方は告白の呼び出しだけどな。読むだけで呼び出しには応じたことないけどな」



 ケラケラとゲス笑いをする。こいつ律儀なんだかクズなんだか。



「そんなことはいいから、早くうどん食いに行こうぜ。腹減って死にそう」



「はいはい」と返事をし、急いで後を追う。









 10分ほど歩くとぽつんと建っているうどん屋が見えてきた。



 今はちょうど昼ご飯時であるため、社会人や家族連れのお客さんで混みあっていた。



「うへぇ~かなり混んでるな」


「そうだね。でもあのカウンターの席空いてるからあそこに座るか」


 そう言い奥のカウンター席を指さす。


 二人で席の間を通り抜け席に座る。


 海斗はメニューを手に取り、


「どのうどんにする?僕はざるうどんにするけど」


 と素早く決める。



友人はメニューとにらめっこしながら「う~ん」と唸っている。



「やっぱり釜玉うどんにしようかな。熱々なうどんを食べたい気分だわ」



メニューが決まると、「すいませーん」と店員を大きな声で呼ぶ。



友人は店員がやって来るといつもの胡散臭い笑顔をし、



「ざるうどんと釜玉うどんを下さい」



周りにきらきらオーラ(幻覚)を纏いながら注文をする。

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香る夏 香川 香薫 @usatako07015

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