永遠の願いごと

こたろうくん

永遠の願いごと

 朽ちることのない体を持つ、永遠に続く命を持った女の子は他の人と生きてゆくことができませんでした。

 女の子は奇跡を起こす不思議な力を持っていて、人々は女の子と女の子が叶える奇跡に感謝こそしても幸せは願っていませんでした。

 ある時、そんな女の子のもとに大きな機械がやって来ました。その機械は言いました。


「ぼくを人間にしてほしい」


 それはなんでもない、女の子のもとにいつもやって来る人々がする願いごとでした。機械も女の子の奇跡を起こす力に願いを叶えてもらおうとやって来たのでした。

 けれど女の子は機械のその願いごとを叶えられないと断ってしまいました。

 自分の願いごとが叶わないと知った機械は落ち込みました。女の子はそんな機械にごめんなさいとあやまりながら、けれど言いました。


「今は叶えられないかもしれないけれど、いつか叶えてあげられるかもしれない。あなたがこれからもわたしの力を信じてお祈りに来てくれれば、もしかしたら」


 女の子の言葉に機械は手を叩いてそれは大喜び。

 これでお願いが叶う。毎日欠かさずにお祈りに来ると機械は女の子と約束をして、それから機械は毎日毎日、雨の日も雪の日も、風の強い日も嵐の日だって毎日毎日、女の子のもとに通っては女の子にお祈りをしました。

 そうして、どれほどの時間がたったでしょうか。女の子のもとには今も変わらず機械がお祈りにやって来ます。小さな子供だったものが大人になって、そして老人になって旅立って、そしてその子供だったものも大人になり老人になり……


「どうかぼくのお願いを叶えてください。どうかぼくを人間にしてください」


 今日もやって来ては女の子にお祈りをする機械に、女の子はたずねました。


「どうして人間になりたいの?」


 すると機械は嬉しそうにして女の子を見ながら答えます。


「はい、好きな人がいるから」


 それからも機械は女の子のもとに通いました。

 毎日毎日。雨の日も雪の日も、風の強い日も嵐の日も。毎日女の子のもとにやって来てはお祈りを続けました。願いごとが叶う時を夢みながら。

 女の子もそんな機械の願いごとを、お祈りを聞き続けます。ただ聞き続けます。毎日毎日、毎日毎日……

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