陽に呑まれる
白川津 中々
■
窓から射す西陽が眩しく悲しい。
狭いワンルームが黄昏色に染まる。流しに置いたお茶碗や湯飲みがどこか寂しい。一人しかいない部屋に漂う薄さ寒い黄金の反射は孤独の色をしている。
何もない机に置かれたメモは白紙。何かあればを書き出すつもりだったが、今日まで何も書かれる事はなかった。慰めにペンを持つも、白紙が汚れる事はない。
昨日も何もなかった。明日もきっと、何もないだろう。
黄金がくすみ、薄鈍色となっていく。何もないまま一日が終わる。いつもと同じように、変わらない一日が。今日も、何もなかった。
窓を見る。空の間には夜の一部が差されていた。
私は肩を抱き震える。けれど、夜は必ずやって来る。
平等に訪れる月日の流れは、とても、理不尽なものだ。
陽に呑まれる 白川津 中々 @taka1212384
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