あさがおは がんばりや
春の終わりにのんちゃんが朝顔の種を蒔きました。
双葉が芽吹いて、つるがすくすく育ち、葉っぱがいっぱいになったけど、ちっともつぼみが付きません。のんちゃんはちょっと寂しそうです。
「ねぇねぇ、あさがおさん、なんでおはなさかないの?」
のんちゃんは朝顔に話しかけますが、何も答えてはくれません。
「のんちゃん、お花にお話しするなら、もっと優しいお話するといいよ。のんちゃんも、優しくお話しするの好きでしょ?」のんちゃんはにっこりと「うん!」と大きくうなずきました。
花は人の心に応える、と聞きます。なにか変わったことが起こるかもしれません。
それからのんちゃんは毎日、「あさがおさん、かわいいね」「きょうはこんなことがあったよ」、と朝顔に話かけるようになりました。そうしたら、なんということでしょう。ある日、小さなつぼみが恥ずかし気に付いていました。「
「わぁ!あさがおさん、すごいすごい!!」のんちゃんはとっても嬉しそうな顔で、僕につぼみがついたことを話してくれました。
のんちゃんに連れられて、朝顔のつぼみを見てみると、うっすらと青いつぼみがついていました。
「青い朝顔って、ちょっとのんびり屋さんが多いんだよ。でもね、毎日のんちゃんが優しいお話してくれるから、朝顔さん、頑張ったんだね。のんちゃんも優しいお話されたら頑張ろう、っておもうでしょ?」
「うんっ!!」笑顔いっぱいでのんちゃんはうなづきました。
「ねぇねぇ!!ねぇねぇ!!こっちこっち!!」
朝早くに、のんちゃんが僕を急き立たせて朝顔の方へ連れていきます。
「あさがおさん・・・こんなおはなさいてる・・・」
その朝顔は青い・・・のですが、ちょっと変わっていました。水色で、花の縁が白く縁どられ、花びらにもうっすらと白いすじが入っています。いわゆる「変種」というものです。
「とってもきれいなおはな・・・」のんちゃんはこのきれいな花にうっとりとしていました。
「のんちゃんが毎日かわいいね、きれいだね、って話してくれたからこんなきれいな花が咲いたんだよ。」
やっぱり花は人の心に応えるんだ、と、思いました。
人も花も同じ。優しい気持ちで育つとそれに応えてきれいになる。そして、一生懸命に咲く姿が綺麗なんだ、と。
夏のはじめの雨の日のおはなし。
ゆめのはな さいた せりりん @Nonchan0061
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