1話

 玄関のドアを開けると


 ─────従姉妹がいた。


 玄関のドアを閉め、深緑色の祖父の車へと向かう。


 

 圓入えんにゅう のどか。肩まである焦げ茶色の髪の毛。ぱっちり二重の幼い顔立ち。雪のように白く、綺麗な肌。


 誰が見ても可愛いと思わせる容姿だけではなく、人懐っこい性格と生活委員長であり生徒会という完璧な人。


 それは勿論、皆から愛される存在な訳で───────


 だけど私は彼女がキライだ。


 彼女を見る度、私は自分がキライになる。


 本当は血が繋がっていないのかと疑うくらいに。


 

 スッとした二重の目にふっくらした唇、少し角張った輪郭。私の顔を見ると「二重の顔は勝ち組」ではない事が分かるだろう。彼女とは正反対の人見知りな性格。勉強が出来なければ運動も出来ない。


 友達は居るけれど、彼女のように皆から愛される存在ではない。


 毎日、玄関のドアを開け、彼女を見る度に比べてしまう訳で───────



 

 車の中では大概会話はナシ。


 車の中でもスマホを弄る彼女の姿がイラつく。


 読書でもしようかと思い、本を手に取ると───────


 和が私に目を向けた。

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従姉妹 濫觴 @ranSyo

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