03
バイトから帰宅すると、ソファに、女が座ってテレビを見ながら、不機嫌そうにしていた。帰ってきたことに気づいたのて、俺を見てくれたと思ったら、怒りの表情が浮かんでいる。
「なんで、食べ物の一つも買ってこないわけ」
知るわけがない。
「ほんと、使えない奴」
いつも、女を満足させることができない。
「何、気持ち悪い顔でこっち見てるんだよ」
じゃあ、どういう顔をしていれば、女を満足させれるのだろう。
「何が欲しいの。今から買いに行くよ」
「はぁー、そんなこと、てめぇで考えろよ」
何なんだろうか。そのまま、外に出て、コンビニ向かう。たぶん、何を買っても、文句を言われることは分かっていたも、女を満足させてたい。
コンビニに入ると、カゴに、おにぎりやパン、500mlのパックのミルクティーを入れた。レジで会計を済ませて、女の顔を浮かべる。昔はミルクティーを買うと喜んでくれていた。今は、当たり前のように、無視され、飲んでいる姿を見るだけになっている。
アパートに戻って、自分の部屋の前に行くと、中から口論する声が聞こえてきた。
「出て行けよ」
ドアが開き、女がボンバーを突き出すように、外に追い出していた。
女は俺を見て「なんだよ。この女わよ」
そう言われて、驚いてしまい、茫然と立ち尽くしたしまった。
「朝倉さん、こんな人と別れた方がいいですよ」
ボンバーが無神経に言葉を放ってくる。
「ほっといてくれない」
そして、玄関のドアを閉めた。
女は俺を睨み。「私出て行くわ。あの女に、お前と別れてろって言われたし。うっとしいわ。」
女は無造作に、荷物をまとめて、俺がリュックサックに荷物を入れていく。
「ちょっと、待ってよ。」
引き留めようとするも、もう終わったとも感じた。女は俺の鞄も取り上げられて、財布を取り出した。
「3万しかないのほんと、使えないわ」とお金を抜き取って、リュックサックを背負い、「じゃあ、さようなら。」と俺を睨み、部屋、出て行こうとする。「待って」
「はぁ」と振り返り睨まれ、目線が下がったと思ったら、コンビニの袋を引っ張るように奪い取られた「もう話してくるなよ。お前ってホント、女々しい男だな」
女は出て行った。
何でだろう。必要なモノはいつも呆気なく奪われて、不要なモノは、しつこく俺の必要なモノの邪魔をしてくる。
部屋で、水槽が壊されて、床に金魚が目を開けたまま動いていなかった。
必要なモノと、不必要なモノの狭間。 一色 サラ @Saku89make
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