第5話 所詮は噂?
本当に俺は嫌われているのか?
嘘の噂なだけであって、
別に嫌われていないのでは...?
嫌いな相手にはこんなことしないだろ。
沈んだ心が少し回復して、
心が軽くなるのを感じた。
そう思ったら、思うように書けなかった字も
書けるようになった気がして、筆をとる。
さっきまでの字が嘘みたいに、
生き生きとしたいい字が書けた。
「うっんま、さすが特待生」
「ありがと。」
俺は学生としては最高峰の、
特待生の段位を持っていた。
って言っても書道には、いくつもの流派とか会派があるから、経歴書にも書けないし、あんまり参考にはならない。
でも俺は自分の腕に自信を持っていた。
全国のコンクールだって特選賞やら金賞を取ったこともある。
「私もなりたいなー特待生。」
桃は今、八段。
うちの流派は八段の次は準特待生、その次に特待生に上がれる。
段位を上げるために審査を受けるのだが、
ここからは中々上がらない。
特に、準特から特待生は厳しい。
「八段でも十分凄いと思うけどな」
「それって嫌味〜?」
「そんなことはない、本当にそう思ってる」
「ほんとかなぁ?」
桃はジト目で、
可愛らしく疑うように言ってきた。
筆でちゃんちょんつつかれる。
最近は同じ時間帯になることが無かったから
分からなかっただけで、
普通に楽しく話せるな。
俺も直接言われた訳じゃないし、
やっぱり噂だったのだろう。
「出来た!」
桃が清書を先生に確認に言っている間。
「普通に話せてる...よな?」
「おでこに手当てて確認とかラブコメか」
「って言うか話しかけてこないで」
俺と菖は小声で話していた。
「そんな冷たいこと言うなよな」
「ラブコメとか知ってるんだな...もしかしなくても菖もオタクコンテンツ触れてるだろ」
ラブコメか、なんてツッコめるのは普段からそういうコンテンツに触れている証拠だ。
「だから話しかけてこないで」
目を逸らされてしまった。
上手いこと話をそらされたかな。
そして思いもよらなかったことが起きる。
桃が確認を終え、アドバイスを貰って戻ってきた時。
「お姉ちゃん、こいつきらいなんじゃないの??」
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こんばんは
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幼なじみの妹に恋をした話 asai @aruru_rara12
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