第7話 【舞side】
私は他の人からハブられている。
それも教師に見つからないような陰湿なものだ。
その原因は去年の文化祭にあった。
文化祭にはファッションショーというものがある。
これは学年から男女三人づつ推薦でえらばれるものだ。
私はこれに選ばれた。
推薦は断ることができるが、断ってしまうとハブられてしまらしい。
当時の私はそれが怖くてことわることが出来なかった。
他の女子メンバーは理事長の孫娘の月宮さん、北川さんだ。
結果私と北川さんは入賞してしまった。
しかし月宮さんだけは入賞出来んなかった。
そのことが月宮さんには気に食わないらしい。
そこから私と北川さんは、ハブりの対象になった。
月宮さんは理事長の孫娘という立場なので学年の女子のまとめ役みたいなものをしていた。
なのでそれが学年の全体に広まるのは遅くなかった。
夏休みあけに転校生がやって来るらしい。
私は学級委員なので先生から先に聞いていた。
先生が言うには、転校生に色々教えてやってほしいとのことだ。
私は面倒な人ではないことを祈るばかりだ。
始業式が終わり先生が教室で転校生が来ることが伝えられた。
朝に転校生を見かけたらしく、噂になっていた。
噂によるとかなりのイケメンらしい。
「一ノ瀬入ってこい」
名前は一ノ瀬というらしい。
「一ノ瀬優馬です。夏休みにここに引っ越してきました。これからよろしくお願いします」
転校生がそう言うと、クラスが固まった。
私は彼に見惚れてしまった。
私は簡単に惚れるような女じゃない、でも万人が見惚れてしまう顔だった。
」
先生は彼を私の席の隣に案内した。
彼と近くで話していると、声もカッコいいことがわかった。
顔も声もいいなんて正直反則だと思う。
私はわからないことがあったらなんでも頼ってと彼に言った。
そう言うと彼は教科書を見せてくれ、と言ってきた。
私は彼と机を繋げた。
彼の顔が近くにあるととてもドキドキした。
私はそれがバレないように気をつけて。授業を受けた。
彼はイケメンだから、必ず月宮さんが目をつけるはずだ。
だからそれまではこの時間を楽しみたい。
次の日私が教室に行くと、一ノ瀬くんがいた。
これまで私より早く来る人はいなかった。
「一ノ瀬くんおはよう」
「黒瀬さん、おはよう。早いね」
「あなたも早いじゃない」
「今日だけね」
それから私たちは他の生徒が来るまで、雑談をした。
私はそれがとても楽しかった。
私はこんな時間がもっと続いてほしいと、らしくないことを願った。
<放課後>
私は学級日誌を書いていた。
本来は週番が書くものだか、いつも押し付けられていて、もう私がやることが決まっているようなものだった。
その時彼が話しかけてきた。
「黒瀬さん何してるの?」
「学級日誌書いてるの」
私は淡々と答えた。
「これって黒板にある週番の人がやることじゃないの?黒瀬さん今週週番じゃないでしょ」
「誰もしないから私がしてるの」
私はもう話たくなかった。
これ以上話してしまうと、もっと話したくなってしまうから。
だから、彼を突き放した。
「もう、私に関わらない方がいいよ」
「なんで?」
私はいつも私が1人でいることの理由を話した。
さすがに彼でもこれを言ってしまえば月宮さんに従わざるを得ないだろ。
これ以上彼の優しさに触れてしまうと、もう戻れなくなってしまう。
その前に関わりを絶たないと。
「だからさ、もう私と関わらない方がいいよ」
「俺は、黒瀬さんと友達になりたいんだけど、ダメかな?」
それでも彼は離れてくれなかった。
月宮さんに屈しないと言ってくれた。
それがとても嬉しかった。
初めに決して惚れた訳では無いと言ったが、惚れてしまった、いいや私は一目見た時から惚れていたんだ。
そう思うと私はもっと彼と仲良くなりたかった。
「一ノ瀬君、私たち友達なんだよね」
「えーと、いやだった?」
「ううん、嬉しかった。だからさ私のこと舞って呼んで」
「舞って、黒瀬さんの下の名前だよね」
「ダメかな?」
「ぅー、わかった、その代わり舞も俺のこと優馬って呼んでね」
「わかった優馬くん!!」
今はまだ友達たけど、あくまで''今は''だ。
初めは名前で呼び合うところから初めて、いずれは付き合えるように頑張ろう。
そのためにはもっと彼のことを知らないといけない。
これからたくさん話して、もっと彼のことが知りたい。
これ程他人のことを知りたいと思うのは初めてだった。
無自覚ハイスペックイケメン学園生活を無双する かなかなき @Atuki0305
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