スーパーのレジ係
(スーパーに買い物に来たおじさんと、*:レジ係のおばさんのコントです)
*「次の方、ど~ぞ~」
「はい、お願いします」
*「あっ、あなたなんですか!」
「えっ、僕じゃまずいんですか?」
*「いえぇ~~~」
「えっ、僕ってこのお店でなんかまずい事になってるんですか?」
*「いえいえ、時々お見掛けするんですけど、私が担当するのは今日が初めてだなって思いまして」
「そんな事ですかー。もう、紛らわしい!どきっとしましたよ」
*「すみません、、 で。今日はどんなご用件で?」
「『ご用件』って。このスーパーに買い物に来たんですよ!」
*「そうなんですか。それはわざわざありがとうございます」
「そんなに丁寧に挨拶してくれなくたって、、この状況を見ればわかるでしょう! 早く会計してくださいよ。後ろも混んでるし、、」
*「いえいえ、挨拶はほんの形ばかりですから、、」
「なにをぶっやけちゃってんですか! 『形ばかり』の挨拶だったらいらないですよ!」
*「あっ、間違えちゃった!『形ばかり』じゃなくて、『心ばかり』!『心ばかり』の挨拶ですよ、お客様!」
「もう、『形ばかり』でも『心ばかり』でも、どっちでもいいから、早く会計して下さいよ!」
*「すみません、、早速始めさせて頂きますね」
「『早速』じゃないですよ。もう、ずいぶん経ってますよ」
*「はいはい、、あー、もう!切れやすいお客様に当たっちゃったわ!」
「聞こえましたよ!私のどこが切れやすいんですかー!もう、これでもだいぶ我慢してるんですからね!」
*「あら、聞こえちゃいました?すみませーん!ほんの、私の心の声ですからね。聞かなかった事にしてくださいね」
「『心の声』なら話さないで下さいよー。聞いちゃうと気分悪いじゃないですかー」
*「あら、お客様!気分が悪いんですか?お医者様をお呼びしましょうか?」
「そういう気分が悪い、じゃないですよー。大丈夫ですから、早く会計して下さい!」
*「そうですか、、では、どの部位から始めましょうか、、」
「『部位』って、、肉の解体じゃないんだから!目の前にあるのから始めればいいじゃないですか!」
*「そうでもないんですよ、お客様。いろいろ都合がありますからね」
「まあ、カゴにうまく移し替えるとかあるんでしょうからね、、いいですけど」
*「よくご存じで、お客様!宜しければ、レジやってみます?」
「結構ですよ!想像してみただけですから!なんで、ここで私がレジ打たなきゃなんないんですか!」
*「冗談ですよ。でも、最近はセルフレジなんかもありますからね。慣れてらっしゃるなら、って思って」
「そこまで慣れてないですよ。いいから進めて下さい」
*「では、いきますよ。ナス、すじこ、コーラ、ラーメン、、、あ~、だめだ!お客様、らっきょも買って頂けます?」
「何やってんの、私の買い物で!それ、しり取りでしょ! 買い物でしり取りしないでくださいよー!これだけ買い物があるんだから、繋がる訳、無いじゃないですかー!」
*「そうですかー?一見、出来るかなって、思ったんですけど、、、」
「思わないで下さいよ!大体、思い違いですよー!そんな事しないで、早く会計して下さい!」
*「はいはい。もう、遊びに理解の無いお客様、、、」
「そんな遊びを理解してくれるお客なんていないですよ!」
*「そうでしょうか?」
「まさか、いたんですか?」
*「いえ、いないですけど」
「でしょう?当り前じゃないですか!なにを一瞬、いたようなそぶりをみせるんですか!」
*「はいはい。ではですねー、会計は4680円と思われます」
「何ですか、『思われます』って。それじゃあ、困るんですけど」
*「そうですか? では、たぶん4680円です」
「いやいや、言い方の問題じゃなくて。断言してほしいの、断言!」
*「そうですか。では、残念ながらあなたは2枚目ではありませんねー、、」
「そんな断言はいらないですよ!言われなくたって、分かってるし!そうじゃないでしょ、金額ですよ、会計の!」
*「仕方ないな~。じゃあ、4680円です」
「もう、初めからそう言ってくださいよ」
*「もういいですか、お客様。私だって忙しいんですからね!」
「僕だって忙しんですよ、全く!」
*「そうですか? そうも見えないけど、、」
「それは、今は買い物してるからでしょ! でも、忙しい中、買い物に来てるんです! それで、今日の支払いはカードでお願いします」
*「あっ、お客様。うちは現金だけの扱いなんです!」
「そうなんですか!じゃあ、もういいです!」
*「えぇ~!」
「『えぇ~』は、こっちが言いたいよ!」
(最後までお読み頂き、ありがとうございました)
【コント】短編 ハリー @hurryup1
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