リョウ君とケイコお姉さん

アイスティー・ポン太

第1話 隣のお姉さん

 僕の父さんは働き者だ。いつも僕が家を出るより早い時間に家を出るし、僕が家に帰るのより遅い時間に帰ってくる。

 

 母さんはもっと働き者だ。朝は、僕と父さんが起きる前に起きて朝ごはんを作ってくれるし、僕らを起こしてくれる。母さんは自分の化粧や身支度を済ませると、父さんと同じく、僕より早く家を出る。家に帰ってくるのは父より早いことが多いけど、夕飯の支度や洗濯・部屋の掃除などで忙しそうだ。夕食後には食器類を洗ったり、明日の準備に追われていたりする。

 

 僕はそんな両親を見て、えらいなぁと思う。


 二人とも仕事が忙しい時期には、僕より帰ってくるのが遅くなる。だから母さんはあらかじめ夕飯を冷凍したものを冷蔵庫に入れておいてくれてる。そんなとき、僕は二人よりも先に夕飯を食べる。もちろん一人だ。テレビを観ながら食べるけど、やっぱり少し寂しい。

 僕の住んでいるマンションが、友達の家と近かったら友達の家で遊んでもすぐ帰れるけど、僕んちのマンションはみんなの住んでる地域からちょっと離れている。

 なので、時間を気にせずに遊んだことはあんまりない。親が心配しちゃうからね。


 こんな感じの毎日を過ごしていたんだけど、今年はちょっと変なんだ。


 僕が小学校の高学年に上がる年の4月、隣の部屋にきれいなお姉さんが引っ越してきた。母さんから聞いた話によると、母さんと同じ職場らしく、隣の埼玉から転勤で引っ越してきたそうだ。朝の出勤がほぼ同じタイミングなので、通勤途中はよくお話しするらしい。うらやましいなぁ。


 僕はお姉さんと特に話すことなく過ごしていたんだけど、5月に入ったあたりのことだったかな。突然お姉さんが僕んちにやってきたんだ。その日は確か夕飯を一人だけで食べる予定の日で父さんも母さんもいない予定だったんだけど。


 お姉さんはお皿をテーブルに並べている時、僕に気づいて喋りかけてきた。

「あ、リョウ君? 初めまして。私ケイコっていうんだ。」

「……初めまして」

 僕はこの時、初めてお姉さんと話して、お姉さんの名前を知った。


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リョウ君とケイコお姉さん アイスティー・ポン太 @icetea_ponta

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