第19話 意外にスペックが高い煌星くん

「聞き間違いかな。もう一度言ってくれないか」


「だから、もうとっくに悪目立ちしてますよ?」


百合は当たり前だという顔をして、そう言い放った。


確かに百合が転校してきたばかりの頃は興味本意で僕に絡んできたやつもいたが、いざ僕と百合が何の関わりもないことを知ると。手のひら返すように僕に興味がなくなりすぐに散っていった。

そういう奴らは決まって百合に直接話しかける勇気がないことが多い、そんな奴ら百合の友達になる資格もない。僕を通してくれた分むしろ好都合だ。

しばらく考えを巡らせていたが、僕自身に悪目立ちするような要素なんてない。・・・はずだ


「そんなわけないだろ、僕は日々できるだけ争いごとを避けて健気に生きているんだ」


「健気に・・・ってよく言いますね?誰に話しかけられても無視の一点張り。なのに勉強も普通にできて、運動神経も上から数えて3本の指には入るし。私が話しかけた時は普通に話すでしょ?」


「間違ってはいないが。それがなんだ」


おかしい・・・僕はできるだけ目立たないように学校生活を謳歌していたはずだ。無視していたのが良くなかったか?それとも教室で堂々とぼっち飯を食べていたことか?治せることならできるだけ早急に治したい。


「今まで、目をつけられたりトラブルになったりしてないことがもはや奇跡なんですよ?」


「……そうなのか?」


「そうです」


別に今までもわざと無視していた訳ではない、ただ少し人見知りなだけだ。今後は話しかけられても、ちゃんと答えるようにしよう。


「ならそんな奴が百合と付き合うなんて、それこそ大問題じゃないか?」


「大丈夫です!手は打ってありますから。というか煌星くんって別に見た目もスペックも悪くないんですから。もっと自信を持った方がいいですよ?」


「僕ってもしかして顔もスペックもいい??そんなに褒めてくれるなんて珍しいな。いや〜てれるてれる」


「調子に乗らないでください」


「そんな冷めた目で見なくてもいいだろ!?僕はダメダメな陰キャです!!一瞬でも調子にのってすみませんでした」


「私そこまで言ってないよ?!――――――煌星くんは私だけに心を開いてくれていればいいんです」


「ん?なんか言ったか?」


「いいえ、なにも!」


そう言い百合は花が咲いたように笑うから、僕もそれ以上追求しないことにした。

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初恋の彼女がウザかわ系美少女になって帰ってきました 枝咲 @mameeda12

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