第25話 姫、決意の咆哮

「攻撃をするのだわ!」

「こ、う、げ、き、を!!」


絶叫する彼女を尻目に私は考える。

(攻撃せずにずっと焦らせばいいんじゃないかしら?)


チラッとイザベラを見る。

彼女は視線に気付き、静かに頷く。

(よかった。考えてる事は同じね。)


「今なら勝てるかもにゃ!」

ミレーナは言うと共に走り出した。


「おい! ミレーナ!!」

イザベラは彼女を制止するが、持ち味のスピードでエイダに近づいたミレーナは既に空中に飛び上がり攻撃態勢を取ってしまっている。



「うにゃああぁ!!!」

爪を尖らせ、斬りかかる。


エイダは口端に不敵な笑みを浮かべ、ミレーナの攻撃を受ける。

「ふぅん....。」

「その程度でして? 蚊に刺された程度の痛みですわね。」

「気持ちよくありませんわ。」

「ニ"ャ"!」

ミレーナは掌底で吹き飛ばされる。


「うそ! 強すぎるでしょ!?」

エイダの頬にはミレーナが傷つけた爪痕が残っているが、やがて血は止まり完治した。

「マリアどうする??」

「こちらの攻撃が通用する気配がないぞ!」

「わーかってるわよ!」

「こんな時、アスタが居てくれれば....」



エイダはストレッチをしながら言う。

「攻撃してくれないのであれば...」

「こちらから行きます...っわ!!」

(は、はや!!)

「ちょ...あんた速すぎ....」


「ああっ!!!」

腹周辺にとてつもない痛みが広がる。

私の腹に氷魔法で創られた剣が刺さっている。

「...何これ私死ぬの...?」

「死にますわ。」

「嫌だ...」

突如、エイダの小さな体に炎の矢が刺さり炎が彼女を包み込む。

イザベラの攻撃だろう。しかし、これで2回魔法を使用してしまった。

「中々いいですわ。矢が身体の中に残留する快感と、身を焦がされる快感....」

「でも、物足りないですわ。」


エイダが一瞥したイザベラは弓を地面に突き刺し何とか立っている状態だ。

息も絶え絶えの中彼女は絶叫する。

「マリアから離れろ....!!」

「封印を解いたのは私だ! ガーデンベルク家の血を引く私が!!」

「殺すなら私だけにしろ!」

「マリアとミレーナは無関係だ!!」


「貴女...本当にガーデンベルクの血統なのでして?」

「...は?」

「ガーデンベルク家は元より王家に魔術師を排してきた名門中の名門。」

「貴女の魔力は多く見積もっても平均以下ですわ。」

イザベラは目に涙を貯め、小さく呟く。

「....やめろ」

「本当にガーデンベルクのおっさんの末裔ですの?」

「やめてくれ!!」


「私はイザベラ ガーデン...」

「ガーデンベルク家も地に落ちたようですわね。」


イザベラは失意の念に押し潰され、気絶してしまった。

私はエイダを見て、発破をかける。

「あんた最低ね!!」

「よくも私の仲間を愚弄してくれたわね!!」

エイダは広角を上げ囁く。

「事実を申した迄のことですわ。」


土埃に塗れたミレーナが姿を現し、爪をエイダに向ける。

「いーにゃ。お前はイザベラを、にゃたし達の大切な仲間を傷つけたにゃ。」

「絶対に許さない!!」



私はエイダに宣言する。

「私達2人でお前を倒す!!!」





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指揮官マリア様は平和に暮らしたい! 桜子 さくら @Someiyosino

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