休息を



「行きます!」


「いつでも」


「たよりにしてるで」



セツが結界を解きセツとサカは後ろへ

 サイはまっすぐ呪いへ走った


呪いはまっすぐ向かってくるサイへ蔦をすべて向けた



__





『サイさんは正面の蔦にだけ集中してください

長物なので焔は振りにくいと思います...

でも呪いに近づけるのはサイさんだけですから...

突っ込んでいくのはお願いしたいです

それでサカさんはその援護を、

見てて分かりました。サカさんは護衛に長けてる

このくらいどうってことないですよね...?』


『もちろんや、任せときぃ』


『ありがとうございます、サイさんは進むことだけを考えてください、近づきさえすれば...』


『あいつの茎は硬い、それでもいけるんだな』


『はい、サイさんと焔であれば...いけます!』



__




前から、横から、後ろから蔦が一斉にサイを狙う

前から来る蔦は全て断ち切る

横と後ろから来た蔦は___




「させへんで」




サカの後ろから援護

 進むことに集中させ護衛に徹する

さすがというべきか百発百中で撃ち落としていった


そして、


呪いの前までたどり着いたサイが大きく振りかぶり斜めに振り下ろした




「セツ!」


「はい!」




『サイさんはなるべく強い力で叩きつけるように切りつけて欲しいです...できますか...?』


『もちろんだ』


『よし、じゃあ絶対切れます!

サイさんの振り下ろす力に焔の炎、そこに僕の最大火力の護を爆発させます』


『大爆発させるんかい、エライ事考えよるなぁ』


『それで切れるのならやるさ、頼りにしてる』


『!...はい!』




サイに呼ばれたセツは両手を前に出しサイの持っている焔に意識を集中させた



_サイさんの力に...!___


強く願った。

 焔は振られ茎に届くその瞬間だった



「『爆仰札 烈』!」




セツが唱えるとサイの持っていた焔はさらに温度を上げ、文字通り爆発した





[ヒギァァアアアァァァァアァァアァァァ!!!!]




焔は呪いの茎を両断し燃やす

煌々と燃える呪いはひどい悲鳴を上げながら朽ちていった



__



呪いがすべて燃え火も収まった

サイは二人に合流し軽く手を挙げた




「おつかれさん」


「かっこよかったでぇ?」


「っるせぇ」




サカにはハイタッチ




「うまくいった。流石だった」


「お見事でしたよ!」




きゃっきゃと騒いでいるセツは頭を撫でた

少し照れ臭そうにしていたのは無視だ




「いやでも、ほんとすごかったで『焔にさらに火力を加えてそのうえで爆発させてその勢いと炎で焼き払う』なんてなあ、二人の力があってこそやで」


「お前もすごかっただろ、よくあんな後ろから弾全弾外さず撃てるよな…こっちのほうが化け物じみてたわ」




こわいこわいと肩をすくめる

 任務が無事終わった後の空気はなんだかいつもより軽い




「さて、これからどうする?」




時間は夕方6時 

 日も落ちてきたころだ


今から本部に戻ると2時間はかかる

3人のお腹はそれまで持ちそうもなかった




「近くにいい中華街があるって話聞いたぞ」




Kalanchoeが発達すると同時に戦いに行けない宝石に選ばれなかった者たちは何か自分にできることがないかと考えた。


ある者は動きやすい服を作り、ある者は料理を振舞った


そしてそんな人々が集まったKalanchoeと同じ有志を抱くものたちの街、「イキシア」が出来上がった




「おっ、えぇなあ、行こか」


「楽しみです!」




任務後の食事はそれこそ大切な栄養補給の時間だ

 力を使うとすごい勢いでカロリーを消費する

それが力を使う糧になっているのだとか。


だから朝昼晩欠かすことはできない

任務後なんて猶更だ


3人はこれからの夕食に心躍らせ帰路に就いた



___




「ん~腹いっぱいやわ」




満足そうな顔で店を出てくる

 後ろには二人もついてきている




「おいしかったですね」


「あぁ、ほかのやつらにも教えよう」




どうやら今回の店は3人の舌に合ってたらしく

満足そうな顔で店から出た


美味しかったと余韻に浸っていると

前の方から見知った顔が歩いてきていて




「あれ〜?サイじゃん!おひさー」


「お久しぶりです〜」



「あぁハツとツイか」




Kalanchoeのハツとツイ。

どうやら2人も任務後のようで

所々に汚れが見える




「お疲れか?」


「そーでも?でも砂埃巻き上げられたのは萎えたなぁ...見て!!この汚れ!!ほんと最悪!!」




ハツが服を叩けば未だに砂埃が出るようで

プンスコと怒っている




「ハツの力は動かないことが条件だから仕方ないよ

今回も怪我なしで帰ってこれたんだからいいじゃない


それより、サイ隣にいる子は?サカとペアだったはずだけどもしかして浮気?」


「とんでもねえこと言うなよ

コイツはセツ、新しく最近入ったんだ

俺達のベハレンシスやってくれてんだ」


「そーやで〜?目の前で浮気とか許さへんもん」




悪ノリしたサカがセツの頭を撫でながら言う

セツは嫌そうな顔をしながらも為す術なくやられている




「拗らせんなよめんどくせえ」


「あはは〜、すまんて

そういやハツちゃんツイちゃんどんな任務しとったん?」




確か2人に最後会ったのは一か月前

長期の任務でもそんなに長くなることはそうそう無い





「それはね___」




ツイが話し始めたのは呪いの元凶が人間である可能性の話、そして




「人と花が混ざった呪いがいたの」




そんな話だった

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『 Kalanchoe 』 @youhoubako

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