第27話 奇妙なチームの活動

 「いらっしゃい、好きな所に座って」

 「あ、はい」

 「こいつが、殊更慎司太郎、こちらは、広瀬いすずさん」

 「フルネームで呼ぶな、慎司でいい。あっ、これからはそう呼んでください」

 「あっはい、広瀬いすずです、よろしくお願いします」

 「おっ、で、何をよろしくすればいいのかな、お付き合いの申し出かな」

 「もう、いきなり、かますと、ほら…」


 広瀬いすずは、呆気に取られた表情で固まっていた。


 「済まない、まぁ、リラックスマン、でよろしく」

 「だからぁ~、まぁ、変人だけど、悪い人じゃないから」

 「あっ、タメ口でいいよ。敬語って時間かかるから」

 「あっ、はい」

 「それで、練習明けの休憩場所ってとこか?」

 「まぁ、それもあるけど、絢香さんに会ったんだよさっき、それで、その態度が狡猾で、いすずちゃんが、ビビリまくちゃってさ、慎司に絢香さんの心理を説明して貰おうと思って」

 「で、鑑定料は?」

 「身内同然の私らから、金を取る気かよ」

 「そらそうだよ、鑑定料ってやつだからな」

 「幾ら払えばいいんだよ」

 「花は、ここでこき使うとして、いすずちゃんは・…」

 「いすずは僕の客人だぞ、僕が払うよ」

 「こういう物は、自分で払わなきゃ有り難みがなくなり、説明が頭に入らないものさ」

 「い、い、幾ら何ですか…」

 「そうだなぁ」

 「法外な金額だと、ぶん殴るからな」

 「怖い、怖い」

 「花ちゃん、そんな乱暴な言い方はダメよ」

 「御免、つい…それで、幾ら何だよ」

 「大いにおまけして、花の友達価格を採用して…」

 「ああ焦れったい、早く言えよ」

 「そうムキになる。じゃ、発表しま~す」


  花は、まさか料金を請求するなんて思っても見なかった。いつもの冗談として付き合ってみることにした。一方、いすずは、いきなり、金を出せと言われて面食らっていた、それぞれ、違った意味で困惑していた。


 「いすずちゃんへの請求額は…」


 そう言うと、キャスター付きの椅子に座っていた慎司は、床を足蹴りにして、いすずの目の前まで移動してきた。いすずは、思わず仰け反った。


 「請求額は、握手とウィンクでいいよ」

 「何よ、それ?」

 「だって、将来の大スターかも知れないんだぜ。そんないすずちゃんと握手とウィンクをしてもらえるなんてファンには堪らないもんじゃないのか」


 花は、余りにも馬鹿馬鹿しくて言葉を失っていた。いすずは、顔を朱に染め、心拍数が高鳴っていた。


 「いすずちゃん、この馬鹿に握手してやって…もう」

 「う・うん」

 「それでは、改めて、慎司です、しがない探偵です、よろしく」

 「こちらこそ」

 「あれ、ウィンクは、ウィンク」

 「いすずちゃんが、戸惑っているじゃない」

 「まっ、いいか、貸しってことで」

 「あっ、はい」

 「それで、何を解説して欲しいんだ」

 「突然現れた絢香さんの行動と、捨て台詞のような威圧的な発言の内容についてよ」

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