第26話 奇抜過ぎる潜入捜査、開始!
「そうね、そうしよっと」
花は、早速、いすずに連絡を取った。花といすずは、交通量は多くても人出が少ない鴨川の上流の河川敷で、再会した。
「こんにちわ、連絡、貰って嬉しかったよ」
「こちらこそ、お世話になります」
「ダンスの経験は?」
「皆無、本日の空のように快晴で御座います」
「ふふふ、花さんって、面白いわね」
「え~、そんなこと言われたの初めてぇ~」
「あははははは」
二人は、直ぐに、和んで、課題に取り掛かった。いすずは、日菜子のダンスプランを直ぐに理解し、曲に合わせて、花に説明しつつ指導に熱を込めた。
「ちょちょちょっと、待ってー。頭と体が着いていかないんだけど…」
「御免、御免。そうね、じゃぁ、少しずつ、やりましょう」
花は、まさに手取り、足取りで、いすずの指導を受けた。一週間が過ぎ、二週間が過ぎた。日菜子は花が踊れるとは、最初から考えておらず、コスプレイヤーの日菜子と花は、チアダンのいすずの引き立て役に回る振り付けを支持していた。そして、三週間が、あっと言う間に、過ぎ去った。
相変わらず綾小路絢香からは、連絡はなかった。同時に、第一発見者であり、重要参考人の慎司にも警察からの連絡がなかった。余りにも音沙汰のなさに違和感を花は、感じていた。広瀬いすずは、真剣にアイドルを目指していた。いすずにとって連絡のない期間は、今回の歓喜が糠喜びになるのではないかと、不安に感じていた。踊れなかった花も要約形になってきていた。今日も不安の中、花と河川敷でダンスレッスンに勤しむことで、不安を搔き消していた。そこへ、思いがけない来客がやってきた。
「やってるわね」
綾小路絢香だった。
「あ・は・はい、お疲れ様です」
いすずは、驚愕して、焦りまくっていた。
「噂になっているはよ、河川敷でのダンス」
「そ、そ~なんですか」
「日菜子さんは?」
「日菜子は、当日合流です」
「大丈夫?まっ、いいか」
「日菜子さんなら大丈夫です。動画のやりとりもしていますから」
花の冷静さは、いすずと対応的だった。
「前座の日程が、決まっわよ。一週間後の土曜日、Cat's-Ccat'sのその日の午後六時の二回目公演の前座にね。当日、遅くても午後一時に公演場所に来てくれる。そこで、ダンスを見せてくれる。チェックしつつ、修正すべき点は改善させるわよ」
「あ、はい」
「衣装は間に合わないから、以前の衣装で宜しくじゃ、当日ね。あっ、幻滅させるなよ」
そう言うと、きびを返し赤い日傘を挿し、くるくる回して、去っていった。
「こわ~い」
「ふふふふ、いすず、時間ある?」
「うん」
「じゃ、私の止まり木的場所に、来ない」
「うん」
いすずは、サプライズの興奮から、一人ではいたくはなかった。それを花は、感じ取っていた。
「ここよ」
「殊更探偵事務所?」
「いいから入って」
「お邪魔しま~す…はっ、こん、こんにちわ」
扉を開けると、真正面のデスクの椅子に後ろ向きに座る男性が、いすずの目に入り、緊張感が高まった。
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