第8話 アイドルに何が?

 「何、言ってんの」

 「そして、そのファンを脅して金蔓にするのか」

 「せいか~い」

 「どこまでも、卑劣だな」

 「ボクは、違った見方をしてみたんだ」

 「ほぉ~、聞かせてもらおうか」

 「SNSの裏垢を探っていて、おやっと思ったことがあったんだ」

 「何だ?」

 「調べていく内に、可笑しなことに気づいたのさ」

 「いいねぇ~、続けて」

 「…。一つ目、ある時期から、つぶやきが突然、途絶えた者が、少なくないってこと。二つ目、卒業した女の子の消息がSNSで追跡不能になったこと。三つ目は、これが青い傘の果林ちゃんこと諸原繁子が命を狙われた理由に辿り着くことかも?」

 「ほぉ~、何題、それは?」

 「いなくなったり、オフ会やイベントに顔を見せなくなった者たちの中に、変な兆候が見られるんだ」

 「興味深いね~」

 「彼らの殆どが、急に絶叫したり、虚ろな目で、じ~と一ヶ所を見ていたり、目やに、よだれ、青白い顔、痩せてきていたりとか、見るからに可笑しかったらしいんだ」

 「…、やっぱり、薬か…」

 「そうかもね」

 「それで、どう、その謎を追いかけたんだ?」  

 「彼らの失踪や変貌を、その浅い友人になりすまして質問を拡散すると、そのつぶやきの反応の大半が、行方不明になっている者たちは、ブログやチャットで、事務所や所属アイドルの悪い、きな臭い噂を流していた子たちだったと分かったんだ」

 「やつらに睨まれたのか?」

 「そうかもね、まぁ、続きを聞いてよ」

 「あぁ、済まない」

 「それでも、何とかその一部と接触をしてみたけれど、それ以降は、ブロックされるか、または、閉鎖されるんだ」

  「裏が、ありそうだな」

 「裏の意味が分からないけれど、普通じゃないわね、この状況」

 「それで何に気づいたんだ、言いたげな顔をして?」

 「ふん、分かったと言うか、思ったことだけど、それでいい?」

 「ああ、頼むよ」

 「ビデオを観ていて感じたんだけど…」

 「下手くそ~とか、キモイとか…思ったんだろう、ふふふ」

 「真面目に聞いてよ!」

 「すいませーん」

 「慎司の企画プラン、当たっていると思うの」

 「感謝祭とか、寝取られやとか、虐待ってやつか」

 「そう、ボクが注目したのは出演していた男たちなのさ」

 「タイプでもいたか?」

 「はぁ…」

 「たびたび、すいませ~ん」

 「感謝祭みたいなやつは、女の子は最初こそ、怖ばっていたけど、周りの男たちのお姫様扱いに段々、解れてきたのか、エスカレートする要求を嫌がるふりをしながら、受け入れていくんだ。そして、彼女から、男たちを服従させる興奮の坩堝に誘い込むって、感じ。企画側の誘導もあり、雰囲気とか流れが作られていく。その和やか?…なムードをぶち壊すように、ひとりの男が、もう我慢できない、と彼女を襲うんだ。やめろ、やめろの声は上がるが、誰も彼女を助けない。あれよあれよと言う間に、彼女はその男の餌食になってしまう。グッタリする彼女を尻目に、男が言う。夢に見たまでの○○ちゃんと…うぉぉぉ~。その言葉が、ダムの決壊の合図のように、俺も、俺もって。後はなし崩しのように、入り乱れるって感じ」

 「何かそそるねぇ」

 「ほんと、男って…」

 「すいません」

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