百合の花 ー14ー
A(依已)
第1話
「シェシェ」
わたしは息も切れ切れ礼をいい、残された力のありったけをふり絞り、またもやおじさんについて歩いた。
おじさんは、わたしの体力のなさを察したのか、今度は、時折ちゃんとわたしがついて来ているかを振り返り、確認を怠らなかった。充分すぎるほどに、ゆっくりと歩いてくれたのだ。
疲れすぎて今まで気づかなかったのだが、道端のあちこちには、色とりどりの高山植物が、可憐に花を咲かせている。蝶達も、花のまわりを優雅に飛び交った。心なしか、日本の蝶達よりも、幸福度が高いのではなかろうかと感じるほどに、楽しげだった。
百合の花 ー14ー A(依已) @yuka-aei
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