Dear K

糸花てと

第1話

 一歩々確認して歩いてはいても、目視だけでは判断しにくい。重さに耐えきれず床板が呆気なく落ちた。宙ぶらりんの片足をどうにか上げ、なんとか呼吸を整え、次の部屋を調べた。


 影の伸びた薄暗い部屋に、壁に張り付けてある紙は、よく目立つ。なにか書かれてある。




Dear K


 早くそこから逃げて。あいつらが来るわ。私は子ども達と先に行って、貴方を待ってるから。必要そうな物を金庫に入れておくから、使って。


 番号は──…


 最期になるなら、もう一度、貴方に会いたい。




 えぇーっと、金庫はぁ~っと。あった。右に左に……ミスった、最初から。よし、ゲット。

 画面の両端真っ赤だから一番欲しいのは、回復だなー。弾も残り僅かだし、欲を言えばそれも。


 出てきたのはアイテムポーチ。まぁ助かるな。ここまで来た途中で拾えなかった、ショットガンが手に入るな。


 戻る最中で敵と会わないのを祈りつつ……、どこだ? どこから呻き声が聴こえる?


 声にならない叫びを背に浴びた。うおぉ~ムリムリ! 大きく開けられた口。ナイフ無かったか? いくらボタンを連打してもアイテムは出てこず。首を噛まれ、そのまま貪るように俺はゾンビの餌食となった。


 あぁ~ハハハ……ここに来るまでにセーブしたっけ?




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