web小説家+女子高生


 web小説家になるために、親友と別れた。


 web小説家になるために、恋人と別れた。


 web小説家になるために、バイトを始めた。


 web小説家になるために、Vtuberになった。


 web小説家になるために、食費を抑えた。


 私はスマホで血反吐をしながら、これを記している。この指を対価に、様々な関係を犠牲にしてきた。


 なんでそこまでするか?私にはこれしかない。学生時代……多分これしか褒められたことがない分野。


 それが小説だ。


 特別な賞など貰っていない。人より冴えた才能などないが、これだけは先生に褒められた記憶がある。あの二重丸は、今でも忘れられない。


 その時の私は、世界で1番の特別な存在だと思っていた。今でも、そう思っている。



 「なのになんで読者が増えないんだ!!」



 私は自暴自棄になりながら、スマホを投げつける。増えない数字、反応が薄い評価。私は一体、何のために生まれてきたのかと頭の中でグルグルして苦しんでいる。



 「異世界転生なんて嫌いだ!!ラブコメなんて嫌いだ!!みんなみんな嫌いだ!!」



 どうしてなんだ。指を犠牲にしてまで、読者を増やせというのか。足までも切断しろと言うのかよ、神様。



 「……私、何言ってるんだ」



 ここで私は気づいた。



 どん底だからわかる、地獄を見た者にしかわからない景色が広がっていた。



 私は友達なんていない。


 私は恋人なんていない。


 私は人が怖くてバイトしたことない。


 私はVtuberなんて知らない。


 私はストレスで食べ物が食べれない。



 「はははっ、そうか」



 思わず、笑っちゃう。小説の私と現実の私と架空の私を、ごちゃ混ぜにしてるんだ。


 現実の私がこんなバカでクズな有様じゃ、何にも書けないし無理だよね。



 そして、私がやろうとしていることは、無駄じゃないことを証明するにはこれしかない。



 「そうだ。これを、遺書にしよう」



 さようなら私。こんにちは私。



 


 死んでしまえ。


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女子高生物語(短編集) 龍鳥 @RyuChou

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