第4話 依頼

「で、何か御用でしょうか。片岡さん。

 僕に会いにくるなんてよっぽどでしょ。」

「実は頼みがあってな。

 翔くんにしかできんことなのだが。」

「僕にしかできないこと?」

「あぁ、そこのドアの裏にいるお嬢さんを

 どうにかしていただけるかな。」

「あぁ、彼女がいるとまずいですか?」

「二人とも気付いてるんなら言ってよ」

扉から伽耶が顔を出した

「いや、頑張って、尾行してたから。」

「初めまして。お嬢さん。申し訳ないが

 翔くんと大事な話があるんだ。

 テニスコートに戻ってもらえるかな。」

「私がいるとダメなんですか?」

「すまん。伽耶コートで待っててくれ。」

「なんでよ。」

「大事な話なんだよ。」

そこへ池田先生がやってきた。

「加藤さん。進路のことで少し話があります。

 翔くん、加藤さんを借りていきますよ。

 いいですね。」

「はい。」

片岡が翔に尋ねた。

「あの方は?」

「テニス部の顧問で池田先生です。」

「池田・・。そうですか。」

「それより話ってなんですか?」

「あぁ、そうそう、実は君に依頼が

 来たんですよ。まだ、修行中の身とはいえ

 君の能力は有名ですからね。」

「どんな依頼なのですか。」

「あぁ、とある機関に入り込んで情報を

 盗んで欲しいそうだ。」

「とある機関?」

「詳しい内容はうけてもらわないと

 話すことはできない」

「情報の漏洩を防ぐためですか?」

「そうだ。どうする?」

「両親はなんと?」

「別に構わないと。ただ一つ条件

 があると。」

「条件?」

「君のお父さんはちょうど君と同じ歳の頃に

 初めての仕事を受けた。その時は、一人で

 受けるのではなく、熟年の者に同伴を

 頼んでいた。つまり、君に誰か熟年の

 同伴者をつけてほしいとのことだ。」

「で、その同伴者は決まっているの

 ですか。」

「まだ決定しているわけではない。」

「では、父にしていただけませんか?」

「構わんが」

「いや、初仕事は家族と一緒に受けたいと

 思っていたので。」

「わかった。では、そのように手配

 しよう。詳細はまた後日話す。期日に

 ついてはお父さんを介して伝える。」

「はい。」

その日、翔は久しぶりのテニスを楽しんで家に帰った。道中、伽耶にいろいろ聞かれたが

なんとか誤魔化して帰った。

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秘密の知 らく @raku1025

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