第6話 決戦! 獣人軍団

 静寂な森の中を獣人の一団が警戒しつつ歩いている。

一個部隊5体。リーダーであろう個体を先頭に進んでいるが、その瞳には怯えが色濃く出ていた。

 無理もない。

彼らと同様の偵察部隊が既に5つも消えているのだから。

 森の入口付近で発生する人間との小競り合いでも死傷者は出ている。

戦いがあれば、敵味方に犠牲者がでるのは当然のこと。

 しかし、現在森の中に潜んでいるであろう得体の知れない相手は、遺体すら残さない。

敵の数、どのような手段を用いて攻撃してくるのかすら分からぬ見えない敵。

 そんなものに狙われているかもしれないという重圧は、彼らの精神を少なからず蝕んでいるのであった。


 見えない敵は彼らを狙っている。

瞬く間に一体、二体と血溜まりを残して絶命。

 異変に気付いた時にはもう手遅れだ。

魔物の体は大きく膨らみ、黒塗りに覆われ弾ける。あっという間に5つの命が失われていく。

 魔法使いと表現規制を担当するグロ中尉は、図らずも同時に息を吐いた。

お互い細心の注意が求められる仕事だ。無事に役目を果たせたのなら息も漏れるというものである。

 しかし、一瞬の油断。その隙を突くかのように、隠れていた獣人が森の奥へと駆けだした。

 この偵察部隊は5体ではなく、6体の魔物によって構成されていたのだ。

異変を察知した際に本体と少し離れた位置にいた者が情報を伝えるために。

 魔王軍も偵察部隊が消えていく異常事態に、何の手も打たずにいたのではない。

敵の正体を知ること。それが魔王軍の指揮官が最優先とした事項のようだ。

 脚力に優れた者を配置し、どのような攻撃によって部隊がやられたのかという情報を持ち帰るための6体目。

 未知とは恐怖である。わからないから対処ができず、恐ろしい。

逆に言えば手品の種と一緒で、分かってしまえばどうということもない場合もある。

 敵将は、見えぬ敵を見える敵にするために一手打ったようだ。

魔法使いはしてやられたと、敵将への評価を改める。

 魔王軍は、少なくとも『仲間が破裂して死んだ。短時間の間に。そんな芸当ができるのは魔法攻撃しかない』という情報を得るだろう。

 そのはずであったが……

 

 どんどん遠ざかっていく魔物の背中。

射程外に出られては仕方がない、と追うのを諦める魔法使い。

 逃走に成功したかと思われた瞬間、魔物の首が首が慣性に従い進行方向とは逆側にぼとりと落ちた。

 異世界漫画表現規定に従い、グロ中尉が即座に落ちた首とまだ駆け続けている本体の切断面に海苔を貼り付ける。

 首から上がなくなった体は、やがて制御を失い倒れ込んだ。その傍には戦士の姿が。

 よほどの猛者でもなければ見逃してしまうほど恐ろしく速い斬撃が、魔物の首を撥ねたのであった。


 

 魔王軍が次の手を打ってくるであろうことは、魔法使いも想定していたようだ。

それ故に、間引き作戦に戦士を同行させていたのである。

 自分が仕留め損なった場合に備えて、彼女を予備戦力として投入。

勇者と僧侶が二人きりになるという危険を犯してでも、戦士を連れてきた甲斐はあった。

 しかし、彼女達が合流した際に思わぬ事態が発生したようである。

 

「流石に引く」

「えぇ~、なんで?」


 カジュアルに脳みそくちゅくちゅしちゃう魔法使いをして、ドン引きさせた戦士の行動とは……

 首なしの死体が木の幹に括り付けられ、解剖されていたのである。


「喜々として魔物をバラしているのを見て、引かない人間は少ないと思う」

「どこに刃を入れたら効率的なのかを知るのは大事だよ。ほら見て、首の筋肉が凄い。これじゃあ簡単には斬り落とせないね」

「きれいに両断しておいてよく言う」


 異世界ゴア表現規定に従い、解剖されている魔物の様子は加工がなされ、詳しく見ることはできない。

しかし、戦士の言うように獣人の首は人のそれと比較して、分厚い筋肉で覆われているようだ。

 開腹もされているようで、臓器の位置や数もチェックされている。

どこを斬りつければ致命傷を与えられるかを確認しているらしい。

 人体同様重要な臓器が収められている胴体は防具で覆われているので、狙うならここかなとアタリをつける戦士。

 この情報は、同じく剣を振るう勇者に共有されて魔王軍攻略に役立てられるのだろう。


「だいたい見終わったし、コレも肉片に変えちゃうだろうから幹から外すね」

「いや、そのままでいい。考えがある」

「そうなの? じゃあ、斬り落とした頭を乗っけておいてあげよう」


 白目を剥いている獣人の目を閉じさせ、元あった場所に戻してあげるだけの優しさが戦士にもあった。

魔法使いは「やはりパワー系は怖い」と痛感したという。





 森の奥に存在する魔王軍の城。

その一室に獣人達が集まり、会議を開いていた。


「4つ放った偵察部隊の内、1つが消息を絶ちました」

「そうか。6人目はどうなったんだい?」


 集まった重鎮の中でも一際目を引く、白い毛並みの大きい個体が司会役に質問を投げかけた。

どうやら獣人達の軍団を率いる司令官のようだ。


「惨殺されているのを他部隊が発見。遺体を回収しております」

「ほう……」

「他の5名の遺体は見つかっておりませんが、彼だけは遺体を辱められた状態で残置されていたとの報告が上がっております」


 白狼将軍は詳細を聞くと腕を組んで考え込む。

他の5名は今までと同様に何処かへと消えてしまった。

 しかし、情報を得るために新設した6人目は分かりやすい位置へ死体を括り付けられた上で解剖されていたのは何故か?


「これはもしかしたら、敵さんからのメッセージなのかもしれないね」

「それはどういったことでしょう?」

「僕らは見えない敵に対抗するために部隊編成を変えてまで、情報を得ようとした。」

「我らの部隊編成が5人単位である、という認知を逆手にとった策でございましたな。これなら敵の隙を突いて6人目が帰還できる可能性が高いと」

「まぁ、結果は残念なことになったがね。敵さんに油断はなかったってことだ」


 魔王軍の採った作戦は、概ね魔法使いの予測通りであった。

 迅速に手を打ったにもかかわらず、情報収集担当の6体目が城へ戻ることは叶わず。

白狼将軍の目論見は、見えざる敵によって阻まれてしまったのである。

 しかし、6体目の魔物は今までとは違い死体が残されていた。

襲撃者が伏兵である6体目に気付いていたのなら、何故他の魔物と同じように姿を消してしまわなかったのか。

 魔王軍の指揮官は、そこに何かを感じたのだという。


「6人目はさぁ、首を撥ねられてバラされてたんだろう?」

「ええ、それも見事に捌かれていたと。恐らくサイコパスな相手にやられたのではないかと思います。恨みがあるのなら、もっと遺体が損壊していたでしょう」

「僕は感じるんだよね。敵さんからの警告めいたメッセージをさ。伏兵を増やしても無駄だって言いたいのかもしれない」


 白狼の予想は当たっていた。

魔法使いは、死体処理をめんどくさがったのではなく、ドン引きした光景を魔王軍と共有することで彼らに動いてもらおうと考えているようだ。


「やっこさん達も焦れてきているのかもしれないね」

「我々は将軍の指揮の下、防備を固めて相手が暴発するのを待つ作戦を採っておりました」

「野戦や城攻めだと僕らにも少なくない被害が出る。前哨基地である3つの砦とこの城を連動させて強攻した敵軍に打撃を与える」

「そのつもりでしたが、敵は誘いに乗らず非正規軍による威力偵察に徹しておりました。人間も中々やるものでございますな」

「そう、楽はさせてくれん相手だよ。しかも特殊部隊でも送ってきたのかね。僕らの偵察部隊は忽然と姿を消したわけだ」


 特殊部隊が勇者チームのことを指すのなら正解である。

 実際のところこの国の軍隊が動かない理由は、魔王軍との戦闘による損耗を嫌っての消極論であったり、魔王軍が籠城を選んだことから人的被害が少なかったことも影響しての慎重論であったという。

 縄張り意識の強い獣人の思考では、己の領内に敵性存在が潜んでいた場合、即座に排除しないという選択肢はない。

 しかし、人間にとっては楽観論であったり、損得勘定といったものが合わさって現状維持でいいという考えも存在するのだ。

 魔王軍は潜在的脅威ではあるものの国への被害は現状軽微である。

他国から派遣された勇者が以前と同じように、魔王軍に大打撃を与えてくれるかもしれない。

 そういった思惑や打算が、この国の為政者に慎重論を選ばせているのだろう。


「相手が動いて僕らは困った。だから手を打った。そしたら警告された。さて、どうしたもんかね?」

「ご指示をお願いいたします。我ら一同、どのような策でも白狼様の下知に従います」

「じゃあ、帰ろっか」

「……は?」

「冗談冗談、半分冗談」


 白狼は、重苦しい作戦会議の場を和ませるジョークを飛ばしたようだ。

だが、半分は本気で撤退を考えていた。

 魔王軍の中でも連携を得意とする獣人軍団を、察知されることなく消していく存在など勇者と呼ばれる存在ぐらいしか思いつかない。

 3年前、まだ将軍ではなかった白狼は勇者と対峙したことがあった。

その強さは鬼神が如きであり、瞬く間に仲間が倒されていき当時の将軍の首を撥ねると揚々と去っていったという。

 先代勇者の歯牙にもかけられなかったが故に生き残った白狼。

その苦い経験から、味方の損耗を避ける慎重な戦いを心がけるようになった。

 

 本音としては、得体のしれない何かを感じて被害を最小限に留めるために撤退を選択したいところ。

 3年前の侵攻の際、勇者の手によって多くの将帥がやられ組織的行動ができなくなった戦訓から、魔王軍では城を枕に指揮官が徹底抗戦することよりも撤退を選ぶことが推奨されている。

 しかし、各軍団ごとに種族で纏めらていることから、撤退は種族全体の評判を下げることになる。できればそれは避けたい。

 当代の勇者がアレ級の化け物なら、自分の首は既にどこかに晒されていただろう。

ということは、敵は戦闘力的に考えれば十分に倒せる相手なのではないか?

 真正面からぶつかってこず、コソコソと偵察部隊を狩るのは個の力が低いが故であり、苦肉の策を取らざるを得ない相手ならチャンスはある、と白狼は考える。


「囮作戦で敵さんの特殊部隊を釣ろうと思う。餌は一番いいのを使うつもりだ」

「一番いい餌でございますか? 恐れながら私めに囮の指揮役を任せていただければ」

「君のやる気と手腕は買うけれど、君にはここを守ってもらわなきゃいけないからダメ」

「城主は白狼様でございましょう。もしや、ご自身が御出になるつもりで?」

「そうだよ。敵の大将が少数の供を率いてノコノコ出てきたら絶対食いつくでしょ」

「おやめください! 慎重で丁寧な戦を心掛ける白狼様らしくもありません」

「戦ってのは、慎重なだけじゃ勝てないんだよ。時には大胆にならねば勝機を逃してしまう。これは決定だ。供の人選は任せる」


 部下の引き止めを命令口調で押し切る。

 白狼の目には強い決意と覚悟があった。策が成れば勇者という敵の鉾と士気を同時に崩せるはず。

 そうなれば、この戦の趨勢は大きく魔王軍に傾くという確信があっての決断であった。




 

 翌日以降、獣人軍団の長の姿は森にあった。

 伏兵を迎え撃つにはおあつらえ向きの湖畔。水中に潜伏しているということはないだろう。

 侵攻方向は自ずと限られてくる。選出された精鋭部隊5体に護衛され、湖を背に陣を敷く。

 『餌』としての価値を高めるために護衛の数も極限まで絞った。

立地としても城と3つの砦のちょうど中間地点である。

 『合図』さえ送れば、直ちに多数の援軍が赴き、この場を包囲できる距離感であり、囮作戦を仕掛けるならばここしかないと決めていた場所であった。

 強いて課題を挙げるとするならば、あからさまに罠だとわかることぐらいであろう。

 だが、白狼は相手が罠とわかっていても襲撃せざるを得ないよう、手薄な護衛と大将首という極上の『餌』を用意した。

 ここからは我慢比べである。



 3日目、ついに相手が『餌』に食いついてきた。

 矢が4本飛んできたのである。1本は白狼が咄嗟に構えた戦斧によって弾かれたが、残り3本の内2本は護衛の眉間を貫く。

 更に魔力の刃が襲いかかり、2体の獣人が血を噴いて倒れる。

そして、胴に弓をはめ、矢筒を背負った女が茂みから飛び出てきた。

 白狼は内心舌を巻く。あれだけの速射で外したのが1本だけという驚異的な腕前。

しかし、別の者に白兵戦は任せるべきであろう、とも考えた。

 指揮官としての悪い癖だな、と独りごちるがあれだけの弓の使い手を白兵戦に投入せざるを得ないのは、食いついた魚の頭数に難があるからだろうと読む。

 襲撃者は少数であり、あれだけの射手に隠れたまま援護射撃をさせる余裕がない。

 つまり、『合図』さえ送ってしまえば、あとは攻撃を耐えるだけで勝てる。

白狼は、勝利を確信しながら大きく息を吸い込み、顔を天へと向けて『合図』である遠吠えを響かせようとした。


 しかし、その口から出たのはカフカフと掠れ漏れる空気音だけであった。

 飛び出した射手が最後の護衛を一振りで倒すのを尻目に、白狼の顔には驚愕がこびりつく。

 ナニカされた。しかし、何をされたのかわからない。

 茂みから剣を携えた男が突っ込んでくる。身のこなしを鑑みるに、あの射手に比べれば脅威度は低いだろう。

 そう瞬時に判断した白狼だったが、男の背部から現れた女の壮絶な笑みを見て怖気が走った。

 間違いない。あの女によってナニカをされて声がでなくなったのだろう。

 そして思う。この作戦は失敗し、援軍も呼べなくなった。

護衛も既に全滅し、この襲撃者を自力で倒すしか手がなくなっている。

 相手を罠にはめて詰んだつもりが、罠を食い破られて詰まされていた。

指揮官として完全敗北した以上、1人の戦士として一矢報いるしかないのだ。


 白狼の予測は当たっていた。

壮絶な笑みを浮かべる女は、回復魔法のスペシャリストであり、それを応用して人体をピンポイントで腐らせる。

 僧侶は、戦士や魔法使いが攻撃したのと同時に、白狼の声帯を腐らせたのであった。

 本気を出すと派手に殺ってしまう2人とは違い、僧侶は目立たぬ攻撃ができるので勇者に本性を知られることなくえげつない手法が採れる。

 相手が悪かったとしかいいようがないだろう。


 白狼は突進してきた勇者を戦斧で弾き飛ばす。

どうやら指揮官としてだけでなく武勇も一流のようで、その一撃は威力抜群であった。。

 勇者もたまらず、体勢を崩す。

それを好機と見たか、白狼は追撃を加えようとした。

 しかし、側面から弾丸のように飛んできた戦士の斬撃を受け、その意図は妨害されてしまう。

 良い連携だ、と白狼は敵を心の内で称賛した。

襲撃当初は、その戦い方から多くの偵察部隊を葬った見えざる敵ではないと判断していた白狼であったが、これだけ瞬間的な火力と高い連携を見せられては考えを改めざるを得ない。

 どうやって死体を消したのかは分からないが、多くの獣人を屠ってきたのはこの連中だろう。

 なんとしてでも、ここで倒さねばならない。己が命に替えても。

指揮官として、武人として決死の覚悟を決めた白狼は、身近な脅威である戦士に標的を定め、その右手に持った戦斧を振り下ろした。


 戦士はその一撃を剣で受け止めたが、鍔迫り合いを強いられる。

彼女の何倍の質量を誇る白狼相手に力負けしていないのは、流石としか言いようがない。

 しかし、白狼が突然力を緩めた結果、体勢を崩してしまう。

彼女の左腕目掛けて強烈な噛みつき攻撃。肉食獣が如き凶悪な牙が戦士を襲った。

 幸いにして不意の一撃は彼女の肉を食むことはなく、バックステップで距離を取り、窮地を脱する。

 一方、口を半開きにさせ、その凶牙を見せつけつつよだれを垂らしている白狼の目には、驚愕の色があった。

必殺の一撃をかわされたからだろうか?

 いや、顎が外されてしまったからだ。

 あの刹那に攻撃をかわされただけではなく、下顎に掌底をかまされていたのである。

 左手で顎をハメながら、戦士への警戒レベルを最大に引き上げる白狼。

遺憾ながらあの女と自分では、武人としての格が違うと悟ってのことである。


 戦士に相対し、次なる一撃に備えていた白狼。

しかし、攻撃は意外なところからやってきた。

 茂みの中から大火球が飛んできたのである。

そう、襲撃者は3名ではなくもう1人いたのだ。

 最初の襲撃の際に魔力刃を飛ばしていた者だろう。

白狼の意識からは完全に外れていた。

 完全に虚を突かれた白狼ではあったが、火球の速度が遅いと見て両腕をクロスして顔を守る。

獣人の毛皮は分厚く、少々の攻撃には耐えられるからだ。

 急所である目、鼻、口さえ守れればまだチャンスはあると踏んだのである。

その目論見は奏功し、火球は彼の毛皮と上半身を守る鎧を少し焼いただけであった。

 これには火球を放った魔法使いも困惑の色を隠せないだろうと思ったが、そうではないらしい。

 火球が大きいことにも遅いことにも意味があり、その攻撃の意図は目くらましであったのだ。

 本当の攻撃。それは、火球の影に隠れて突っ込んだ勇者の攻撃にある。

彼の剣は、白狼の足の付根付近を切り裂いたのだ。

 事前に戦士より知らされていた獣人の弱点を狙った一撃。

それは鎧に覆われておらず、かつ獣皮の最も薄い腹部と同等の厚さしかない内腿を大きく抉った。

 足の大きな動脈がやられたせいか、血がものすごい勢いで吹き出していく。

 誰一人として侮るべきではなかった。

格の違いを見せつけられた戦士も、この一撃を決めるための布石を撒いていた魔法使いも、生物的本能が恐怖を訴えた僧侶も、そして、即座に脅威は低いと判断した勇者も。

 彼らは、幾度も偵察部隊を消してきた強力なチームなのだから……


 失血が激しく、即座に治療しなければ命を失うが、敵さんはそれを許してくれないだろう。と白狼は死を悟っていた。

 朦朧とする頭に、先日の部下が惨殺された報告が去来する。

殺された後につけられたであろう、足の付根に深い傷があったことを。

 全てが繋がった。

自身に致命の一撃を与えたあの男が部隊の指揮官であり、遺体を弄んででも獣人の弱点を調べあげたサイコパスであるという事実に、ただただ恐怖を覚える。

 彼は戦士としては二流かもしれないが、指揮官としては冷徹で情け容赦などない本物だ。

 恐らく奴こそが当代の勇者だろう。

薄れいく意識の中、魔王に勇者への警戒レベルを引き上げるように願って、白狼は逝くのであった。

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真の勇者じゃない気がしたので、脱退を申し出たが今更もう遅い 鮟肝 @ankimoyasan

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