最終話

家に帰ると、いつものメールアドレスに「翔吾から」メールが来ていた。

―ありがとう。

 それだけが書かれていた。誰が送ってくれているのか分からない。怖い。恐怖が背中をそっと撫でる。でも、私は、意を決してメールした。

−どういたしまして。

 あれから、翔吾のアドレスからメールが来ることはない。例のサイトからの依頼メールも来ない。いつものように、薄い化粧して、大学に行く。メールが来ないことがわかっているのに、来ないほうがいいとも思っているのに、メールを確認してしまう。−”Re:”の文字から始まるメールを。




以下〇〇県内にある無人のアパートに遺されていたP Cに保存されていたメモ。

―ずっと、下書きのまま保存されているメールがある。

―そのメールを送ることが本当に正しいのかどうか分からない。

―だから、返事をしないでおこうと思っている。

―送らないことは悪いことではないはないと思うから。

―須山翔吾

―僕はここにいたよ。お姉ちゃん。

―お姉ちゃんは話を聞いて、全てを受け入れてくれた。

―だから僕は死ぬことができたんだ。

―僕が最後の依頼人になりますように。

―僕が書いたノートを遺していてね。

―僕が書いた『僕は死ぬことにした』を。

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Re:frain θ(しーた) @Sougekki

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