感情

@inori0842

第1話

「おい、お前声掛けてこいよ」

「お前がいけよ」

「普通に可愛いよな」

教室の隅らへんで男子達がヒソヒソ話している。

「確か、あの子のお父さんがこの学校の理事長なんでしょ?」

「あの怖い理事長の?まじ??」

「まじまじ。全然似てないよねー」

うう・・・。絶対みんな私の事喋ってる・・・。まあ、転校初日はだいたいこんなもんよね。はは・・・。

私がパパの娘ってこと、もうみんな知ってるんだ。はやいな。いやはやすぎやろ。

そんなどーでもいいことを思っていたら、

「如月さーん、理事長室に来てくれる?」

知らない先生が私を呼んだ。

「あ、はい」

理事長室ってことは、パパに会える!最近全然家に帰ってこないから、すごく久しぶりな感じがする。でも、私になんの用なんだろ?

そう思っていたらいつの間にか理事長室の前に立っていた。

なんか緊張するな。

ガチャッ

「パパ・・・?」

扉を開けてひょこっと覗くと、そこには・・・

パパ!・・・と、知らない男子4人がいた。

4人は驚いた顔をして私の方を見ている。

え、どういう状況??

「き、如月さん!せめて理事長って呼びなさい!」

一緒にきた知らない先生がものすごくあせあせして私に言った。

先生もパパのこと怖いのかな。

「・・・琴子、久しぶりだな」

パパが喋った。

うわぁ・・・。ほんと久しぶり。

「パパ、久しぶり。どうして私を呼んだの?」

パパに会えて嬉しいが、周り(男子4人と先生)の視線が少し痛いので、私は控えめに話した。本当なら今すぐ抱きつきたいぐらいなんだけど。

「ああ、琴子に頼みがあって」

「?頼み?なになに??」パパが私に頼み事なんて珍しい。どうしたんだろ?

「実は、お前に生徒会に入って貰いたいんだ」

・・・生徒会??なんで??

私はハテナでいっぱい。

「今そこにいる4人は全員生徒会メンバーだ。お前はコイツらと一緒に仕事をしてやってくれ」

「え、まってまって。なんで私なの?私今日転校してきたばっかで、この学校のことあんまり知らないんだけど・・・」

「詳しいことは、そいつらから聞いてくれ。・・・お前達、娘をよろしく頼むよ」

めっちゃ話し流された。てゆーか生徒会メンバー私以外みんな男だし。てゆーかみんなイケメンやん。あ、茶髪の人タイプかも。

「分かりました。・・・如月、ついてこい」

1人の男子が喋った。

「は、はい…。パパ、ばいばい(。・ω・)ノ゙」

「ああ、またな」

「「「「!?」」」」

男子4人がまた驚いて見ている。怖いと有名なパパにバイバイは、さすがにやばかったかな。

ガチャッ


「お前、理事長にいつもああなの?」

1人の男子が私に話しかけてきた。

「え?うん、そうだけど」

「まじか・・・娘だけには優しいってか」

「そんなことないと思うけど・・・みんなには優しくないの?」

「優しいわけねーだろ。目が合っただけで殺されそーだわ」

「へ、へぇ・・・」

パパってば、一体みんなにどう接してるんだろう・・・。

「みてみて、生徒会!」

「かっこいい〜❤」

生徒会室に向かう途中に廊下を歩いていると、周りが騒ぎはじめた。やっぱりイケメンよね。うんうん分かる。顔面偏差値凄いよね。

「ねぇ、生徒会と歩いてるあの子、誰?」

「また新しい子が入ったんじゃない?」

「どうせすぐいなくなるでしょ」

私のこと、かな?女の子達の視線が痛い・・・。

イケメンくん達の話してるときと大違い!泣

すると、前の方もなんかざわついている。


「あ、長谷川くんだ・・・」

「やば、怖」

「でもかっこいい!」


誰だろう?・・・うわっ、あの人もすごいイケメン・・・。

そんなことを思っていたら、私の前に歩いていた生徒会メンバーの1人が立ち止まった。

「あてっ」

その人の背中にあたってしまった。

なんで止まった??

「お前、またなにか騒ぎになることしてないだろうな?」

騒ぎ・・・?

私の前にいる人が長谷川くん?て人に話しかけた。

「はぁ、なんもしてねーよ。あん時だって、したくてした訳じゃねーし」

「・・・っ!お前・・・!」

生徒会のみんなが怖い顔をし始めた。

え、なになになに。何が起きてるの?

その時、

パチッ

長谷川くんと目が合ってしまった。

「へぇ、もう新しいやつ見つけたのか。一体何日もつんだろうな」

そういって私の方に近づいてきた。

「え・・・」


クイッ


私は長谷川の手で顎をクイッとさせられた。


「・・・」

「・・・」


私と長谷川くんはかなり近い距離で見つめ合っていた。


「おい!なにをする!」

バシッ

生徒会の人が、長谷川くんの手を振りほどいた。

長谷川くんは、ボソッとなにかいった。

「・・・お前・・・」

「?」

長谷川くんは私のことをじっと見つめている。

ほんとに状況が理解できない。

「ふん。じゃーな、生徒会長」

そういって長谷川くんは行ってしまった。


私の前に立ってた人、生徒会長だったんだ。




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