体育2

 菊池君は死んでしまいましたが2時間目も体育です。一二時間目が連続で体育なのは、まあよくある事です。


 キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン


 チャイムが鳴りました。しかし、またしても村活先生はやってきません。


「ちっ、村活の野郎舐めてんのかよこんちくしょうが。」


「virus、イライラ、virus、イライラ。」


 virusくんまでイライラしています。


「virus、イライラ、virus、イライラ。」


 チッチッチッチッ、チッチッチッチッ


 時計の針だけが進んでいきます。


「virus、我慢の限界だ。virus、村活呼んでくる。virus、村活呼んでくる。」


 virusくんは村活先生のことを呼びに行くことにしたようです。なんだかイライラしている感じが伝わってきます。


「virus君、気をつけたまえよ。」


 学級委員の竹蔵君が注意をします。眼鏡をかけて、モサキリしている男の子です。


「virus、virus、virus、virus......。」


 virusくんはぶつぶつ呟きながら体育館の入り口へ進みます。そして体育館の通路に差し掛かったその時、


「はい!!体育を始めまーす!!」


 ズギューーーーーン!!


 村活先生がやって来ました。相変わらずすごい速さの側転です。


 ズギューーーーーン!!


 ドガーーーーンッ!!


 あっという間に壁をぶち抜き、遥か彼方へ行ってしまいました。


(村活の野郎、相変わらずだな.....。元気がいいやつだよ...。)


 みんなそう思い、感心していました。しかし


「ああっ!!virus!!virusーっ!!」


 大変です。今度はvirus君が真っ二つに!!頭から股まで真っ二つです。これはもう死んでいます。本当に真っ二つですもの。


「ああっ保健室の先生を読んでこなきゃー!!」


 タタタタタターッ!!


 たかしくんが走って行きます。しかし、virusくんはどう見ても死んでいます。


「はい♪はい♪はい♪はい♪」


 保健室の先生がやって来ました!!


「ああっこの子ね!!」


 ブブブブブブーッ!!


 信号は、青!!青は元気です。


「ええーっ!!元気だってー!!」


 クラスのみんなはびっくりしました。だってvirus君、頭から股まで真っ二つなんですもの。


「はい♪はい♪はい♪はい♪」


 診断をすると先生は元気に帰って行きました。


「おいおいおい、virus元気なわけねーだろ。まじかよ。」


「まさか、あの保健室のトラフィック先生が間違えるなんてことがあるのか.....。」


「ええ、えええ、怖い!!怖いよ!!」


「怖い!!トラフィック先生が間違えるなんてー!!これから何が起こるってんだー!!」


 クラスのみんなが恐れ慄いているその時です。 


 ゾゾゾゾゾ、ゾゾゾゾゾゾ


 真っ二つvirus君が動きました。


「えっ...。」


「んんっ.....。」


 一瞬で静まる体育館。


 ゾゾゾゾゾ、ゾゾゾゾゾ


 右側のvirus君と左側のvirus君が、それぞれ独立して動いているように見えます。


 ゾゾゾゾゾ、ゾゾゾゾゾ


 な、何ということでしょう。virus君の左半身からは右半身が、右半身からは左半身が、なんと、なんと、生えて来ています.....。


 ゾゾゾゾゾ、ゾゾゾゾゾ


 あっという間にvirus君は二人になり、そして、立ち上がりました。


「えっ.....これは、これはどういうことかな......?えっ.....。」


 動揺する竹蔵君。


「ああ、僕は増殖ができるのさ。何てったってvirusだからね。ははははははは。」


「す、、、すげー!!」


「virusすげー!!」


「そんなことできるのかよー!!」


 体育館には歓声が溢れます。


「すげー!!すげー!!」


「わー!!わー!!」


 しかし、快く思っていない人物がいました。たかしくんです。


「ぼ、僕だってできる!!僕だって!!」


 たかし君が言いました。


「今から分裂するから見てて!!」


 タタタタタターッ!!


 そういうとたかしくんは体育館の入り口に立ちました。


「お、おいたかし!!」


「本気かー!!」


「辞めとけ!!辞めとけー!!」


「はい!!体育を始めまーす!!」


 ズギューーーーーン!!


 村活先生がやって来ました。相変わらずすごい速さの側転です。


 ズギューーーーーン!!


 ドガーーーーンッ!!


 あっという間に壁をぶち抜き、遥か彼方へ行ってしまいました。


 ああ、たかしくんは頭から股まで真っ二つです。これはもう死んでます。死んでしまっています。


「ああ!!保健室の先生を呼びに行かなきゃー!!」


 タタタタタターッ


 竹蔵が駆け出し、体育館を出ようとしたその時、


「はい!!体育を始めまーす!!」


 ズギューーーーーン!!


 村活先生がやって来ました。相変わらずすごい速さの側転です。


 ズギューーーーーン!!


 ドガーーーーンッ!!


 あっという間に壁をぶち抜き、遥か彼方へ行ってしまいました。


「た、竹蔵までっ!!」


 竹蔵くんは頭から股まで真っ二つです。これはもう死んでます。死んでしまっています。


 もう怖くて誰も体育館から出ようとはしません。みんな泣きながら、立ち尽くしています......。


 キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン


 授業終了のチャイムは、悲しみとともに迎えられたのでした。


「virus、悲しい....。virus....virus...。」


 完

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コンピュータvirusくん 鮭さん @sakesan

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