(Au revoir)

 雷鳴がとどろき水煙みずけむりのたつ駐屯地。


 まどは曇っていてなかの様子はよく見えない。


 更衣室にはもう彼の迷彩服はない。


 寮にも私物はひとつもない。


 彼の生活の痕跡はここにはありはしない。


   ――――――


 その後の彼の消息は定かではない。


 彼はさまよえる人となった。彼の思い描いた無差別の正義は幽霊となった。いや、もともとそれは実在していなかったのかもしれない。


   ――――――


 


 少女の全身を、ななめに走る雨が襲っている。


 少女の隣にも、彼の姿はなかった。


   ――――――


 正義らしさは、絶えず、正義によって


 正義、それは不正義と永続的な闘争を続け


   ――――――


 ただし、無差別だけは、差別と手を取りあえる

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maison 紫鳥コウ @Smilitary

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