Au revoir(?)
この日は少女の方が先に来ていた。バイクを少女の
ジャリマナは赤色の包装のビスケットを差し出したが、少女はそれをなかなか受けとろうとはしなかった。
思えばこの熱さの中で、
だったら持ち帰って食べたらいいと、ジャリマナは無理やりビスケットを持たせようとしたが、少女は激しく嫌がった。
少女は大きな声で泣き出してしまった。
ジャリマナは気づいた。
どこからこのお菓子を持ってきたの、盗んだんじゃないの、はやく返してきなさい、謝りにいきなさい、違う違うってなにが違うの!――少女の母親の怒鳴り声が聞こえてくるような気がした。
ジャリマナの正義は、
村の前に着いた。
少女はバイクから飛び降りると、あの時のドロップの空き缶をジャリマナに押しつけた。それは
ジャリマナは少女を抱きしめた。
――――大丈夫だよ
――――もう
――――お菓子をもってこないからね
――――痛かっただろう
――――大人になったら家を飛び出して
――――幸福に暮らすんだよ
ジャリマナの
少女はジャリマナの肩の向こうの、軽自動車のヘッドライトを見つめていた。
そして車から、迷彩服を着た男たちが降りてきた。
――――幸福を追い求めるんだ
――――絶望なんて
――――ほとんどないはずなんだ
それは、ジャリマナが自分自身に向けて
――――絶望に見えるもの
――――それだけがあるんだ
ジャリマナの両腕は四本の手によって
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