再会③ side Kanata *

 2人きりの部屋で途端に気まづくなるが、とりあえず即席ルールを伝える。

「こっからこっち、入って来たら駄目だかんな」

 ベッドの真ん中を双子のお昼寝用の抱き枕を借りて区切ると、恋がフッと鼻で笑う。

「ガキかよ」

「うるさいッ! 兎に角、駄目なもんは駄目───」

 だが、そんな悪足掻きは無駄で抱き枕はヒョイと退かされた上に腕を捕まれ、恋の身体の方へと引き寄せられる。

「折角のこんな機会、俺がみすみす逃すと思うのか?」

「やめろッ、離せよ!」

 抵抗するも、20cm以上ある体格差では到底敵うはずもなく、抱きすくめられた。

 髪も身体もお揃いの香りなのに僅かに恋の匂いも混じっていて、懐かしさからかドクンと心臓が脈を打つ。その音が聞かれていないかなんて考えていたら、闇夜を溶かしたみたいに黒い瞳に見つめられていた。


 あ、キスされる。


 恋とは付き合っていた頃に数回キスをした事があったから、そういう流れに持っていきたい時は彼の雰囲気で何となく分かる。

 こうなるともう抗おうにも抗えない。


「ん……んん!? んぁ、ぅんん……んぅぁ」


 でもあの頃のキスとは全然違った。あの頃や生徒会室にて不意打ちでされたのは、ただ唇が触れるだけだった。


 けど、今は溺れてしまいそうな深いキス。


 恋の舌が僕の唇を誘うようにノックすると、身体が勝手に反応して閉じていた唇が開き彼の舌を受け入れる。舌が歯列をなぞる感覚の擽ったさに気を取られていると、今度は僕の舌に恋の舌が絡み付いた。

「ぅん、ん……は、ぁんん……はぁ」

 キスが終わりお互いの舌が離れるとそれを惜しむかの如く、唾液が糸を引く。

「キスは俺以外の誰かとしたのか?」

「ッ何で……そんなこと聞くの」

「だってほら、こんなになってる。キスだけで」

 パジャマのズボンの布を押し上げるモノの存在に気付かれ、僕はテンパって余計な事まで言ってしまう。

「違っ! キスはした事あるけど大体こんなキスの経験ないし、今までこんな風になった事ない! ……あ」

「へぇ。恋人いたんだ」

 恋との思い出を早く忘れ去りたくて躍起になっていた時期があった。それで、何人か恋人と呼ぶ相手を作ったんだけど。


 結局、記憶は塗り替えられなかった……。


「男? 女?」

 あまり知られたくない過去なので話したくないのだが、彼から鋭い視線を向けられると話さざるを得ないし嘘も吐けない。

「ど……どっちも」

「ふーん。でもまぁ、エッチなキスも俺とが初めてで、それでココが固くなったのも俺の前でが初めてか。ついでに俺とだからこうなった、だともっと嬉しいんだけどな」

「う、自惚れるな!」

「愛は誰とでもこうなるのか? 違うだろ。俺だからだろ」

 耳元でそう囁かれながら片方ずつ脚を立てさせられたかと思った瞬間、固くなった大事な部分を布越しにツゥーっと指で撫であげられる。

「あぁっ」

 何度かそれを繰り返していた恋はまた何かを思い付いたようで、ニヤリと笑う。

「じゃあコレは? その俺以外の誰かに触らせた?」

「ん、あッ……そんなの知らなッ」

「知らないわけないだろ? 自分の事なんだから。触らせたのか?」

 勿体ぶる僕に対して、指先だけを使って焦らしていた恋の大きな手がギュッと竿を握る。

「ひゃ、ぁッ!」

「言って。言わないと俺、そのいるかどうかも分からない相手に嫉妬するから」

「……な、い」

「ん?」

「触らせて……ない、からッ。だからお願っ、手……離、して」

「そっか。それならご褒美あげないとな」

 恋はそう言うと、僕からズボンを剥ぎ取って固くなった所を直接触り始める。

「やッ!?」

 そして一頻り擦りあげると、次は先走りを垂らす先端に口付けをしてその液を吸い取った。初めての行為に驚いていると、恋はそのまま僕のモノを銜え込み舌で裏筋をなぞる。

「ダメッ! ダ、メ……口でしちゃ……やぁ」

 余りの快感に恋の頭を抑える手に力が入らない。

「やば。そんな可愛い言い方されたら止めるに止められねぇだろ」

「ふ、うぁッ……あ、あ、あ、ぁん……ああ。んあ、あ、ぅん……んぁ」

 初めての行為に驚きつつも、今まで経験した事がない刺激の強さに声を抑えられない。

「ゃあ……! やっ。もう……」

「もう、何?」

 優しく聞き返され、既に達してしまいそうになっている事実を告げる。

「も……無理……、出る。……出るからぁ、口……離してぇ」

「出せよ、このまま」

「んあッ……ダ、ダメ……出る。出ちゃう! イッちゃうのぉ!」

 いっそう激しくなる動きに限界が訪れる。

「ぁっ、んああ……イヤ。ヤダ、や……やめッあぁ、イッちゃ……イ、ク───!」

 恋の口の中に白濁した欲望を吐き出した。すると彼がそれを飲み込む。

「あー美味しかった」

「ッ」

 赤面しているのを見られたくなくて体育座りの姿勢で腕と膝を駆使して顔を覆うと、今度は恋が要望を口にする。

「俺のも触って」

 撃沈している僕の手を取った恋は、スウェットの上から自分の昂ったモノを触らせた。逞しい程のソレについ本音を漏らしてしまう。

「大ッき……」

 自分の発言に恥ずかしくなって顔がまた蒸気する。

「バカ。そんな事言われたら余計に増すから」

 言葉通りまた恋のモノが大きくなる。

「手、動かしてみて?」

 今まで聞いた事の無い甘い声で囁かれ、何かで痺れたようになった脳はその言葉に従う。

「ん、気持ち。もしかして……こういう事、するのも初めて?」

「……う、ん」

 途切れながら話す恋は色っぽくて僕までドキドキしてしまう。反応してしまいそうになるソレを、気付かれないようにパジャマの裾で隠そうとしたが彼は見逃さなかった。

「俺のを触っただけで、勃ったのか?」

「違ッ! 何か恥ずかしいから隠しただけ!」

「本当に? じゃあ裾、捲って見せて」

「無理。嫌だ」

「じゃあ俺が無理矢理足を開かせるけど、良い?」

「ヤダ」

「強情な奴。あ。なら俺も下見せるから愛も捲って見せて? 決まりな」

「ちょ、ちょっと! まだ良いなんて言ってな───」

 恋はスウェットを少しずらして何の躊躇いもなく自身のイキり勃ったモノを取り出す。

「ほら、次は愛の番」

 拒否すれば良い話なのだが、何故か先程から結局恋の言う事を聞き入れてしまう。震える手でパジャマの裾を掴み少し持ち上げると半立ちのソレが顔を出す。

「良いね。良い眺め」

「も、良いでしょ……? 恥ずかしい」

「恥ずかしいのが良いんだろ」

「そんなの、訳わかんない」

「あ、そうだ。ちょっとこっちおいで」

 そう言って軽々と僕を持ち上げた恋は、自身の上に跨らせお互いの中心部をくっつけ合わせる。

「な、に……?」

「こうすれば2人分触れるだろ」

「あッ」

 恋のモノと擦れ合っただけで、僕の分身はまた完全に固くなってしまった。

「俺のが擦れたので完勃ち?」

「……だって」

「だって、何?」


 だって、恋のが擦れて気持ちよかったから、なんて口が裂けても……


「や。言えない」

「あ、そう。ま、言わんとせん事は何となく分かるけど。いつかそういう事もちゃんと言えるようにならないとな?」

「ならなくて良い」

「なった方が得だぞ? 色々と。……それより今は目先の快楽が先だな。一緒に触ってみて?」

 完全に麻痺し始めた僕は言われた通りに2本のモノを扱く。

「は、ぁ……。ふぅ……ん」

 自分でシてるのを見られているようで、恥ずかしい。なのに、どうしても声が出てしまう。

「気持ち良い? 言ってみて?」

 また低く甘い声で囁かれる。でも何故かそこだけは素直になれずに、フルフルと首を横に振ってしまう。

「ホンットに強情。ならコレは?」

 僕の手の上から恋が手を重ね、2本が交差するように動かす。

「やぁッ、あぁ」

 幾度かそれを繰り返したり先端を擦り合わせたりしていると、2人分の先走りでモノ全体がヌルヌルになってきた。

「ぅうん……っふぁ」

「愛……腰、揺れてる」

 僕は無意識の内に恋の手の動きに合わせて腰を動かしていたらしい。

「いやッ、これはその……違くて」

 言い訳しようにも何にも思い付かず、ただただ吃る。

「誰にも何にも教わらずにこんなにエロく育つなんて反則だろ」

 深くため息を吐いてそう言った恋に押し倒された。

「?」

「本当はココに入れたいんだけど」

 後ろの蕾を指で撫でられ身体がビクリと反応してしまう。

「えっ!? ぃや……ぁ」

「分かってる。流石に今日は何の準備もしてないから、コレで我慢する」

 僕の両太ももをピタリと閉じて出来た股の僅かな隙間に、恋が自身のモノを挿入する。

「ぁ、んぁぁ……」

 恋はゆっくりと腰を前後させ始めた。

「あ、あ、あぁ。……んゃ、あ」

 股を通ってお互いのモノが擦れ合う感覚を快楽だと認識した僕はどんどんそれに溺れて行く。それに合わせる様に恋の息も上がって行く。

「は、愛……気持ちいって顔、してるけど?」

「してな、い。ぁんん」

「嘘吐き」

 そんなやり取りの後から恋の腰の動きが徐々に激しくなり、僕の中心部に恋のモノを強く擦り付ける。

「いゃ、ダ……メ、激し、いよ。ああ、んぁ、やぁあ」

「あ。ヤバ、コレ……めっちゃイイね」

 どんどん激しく厭らしくなっていく恋の腰つきに僕は、2度目の限界を迎えようとしていた。

「ヤ、ダ。また、イッちゃぅ、んん……、んぅ」

「イこう。ッもう1回、見せて。イくとこ」

「ダメ、見ちゃやぁ。ッひゃぁ……あ、ぁああ、ふ、あぅ、ん。……イく! また、イッちゃう……イッちゃ、ぁああん、あぁ───」


 お互いの欲望を荒々しい程擦り付け合い、僕達はほぼ同時に絶頂へと達した。




 ◆❖◇◇❖◆


 汚れてしまった僕の身体を綺麗にしながら恋が声を掛ける。

「お〜い愛。下履いとかないと腹壊すぞ」

「ん? んー」

 ウトウトしながら返事をするも、パジャマのズボンを履くという動作にまでは至らない。

「眠いのか?」

 微睡みの中、質問した恋から結局ズボンを履かせて貰った。

「ぅん……眠い。恋も、早く一緒に……寝よーよ」

 半分寝ている脳みそは自分が何を話しているのか把握してくれない。けれど、恋が驚いた表情を浮かべたのは目に見えた。

「!? ったく、普段もそれだけ可愛けりゃ良いのに」

「ぅ? なぁに?」

 聞き取れなかったので聞き返すも、サラッと躱される。

「何でもねー。電気消すぞ。おやすみ、愛大」

「……ん。おや、すみ、恋」


 そうして僕は久方ぶりに恋と同じベッドで就寝する。

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愛し恋 蒼唯 AoiYui @yu1_129

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