第2話二人の会話

俺が帰り支度をしていると後ろから涼梨の低い声がした。

「早くしてくんない。遅刻して怒られるのは勘弁してよ。私まで巻き添えなんだから」

「さきに行けよ。遅れるような時間じゃないだろ。遅刻が多いのはそっちだろ」

「余裕をみて動くの。体力だけが取り柄のバカはこれだから」

帰り支度を済ませ、彼女と並んで教室を出て、駅まで急ぐ。

「ほんとっ、可愛げのないやつだな。涼梨」

こいつの見下している態度が気に食わない。一発殴りたい衝動がわきあがるがそれをしたら、人間じゃなくなると思っているのでしない。

オーディションのときと同じだ。

いつからこのようなのか、気にはなっている。

「あんたって態度でかいよね。彼女なんていなかったんじゃない?」

「......」

言い返したいが、実際に彼女がいたことがない。

彼女はこれ以上何も言わず、駆け出す。

駅に到着した俺らは改札を抜け、ホームで電車を待つ。

電車がスピードを落とし、停車する。ドアが開いて、乗り込む。

座席に腰をおろし、太ももにスクールバッグを置いて、スマホを弄る。

検索バーに素早く、『Dreamofthesummit』と入力し、スクロールしていく。

「エゴサなんて無駄でしょ。やる価値ない」

つり革を握っている彼女がスマホを覗き込み、きっぱりと言う。

彼女の意見もわからなくはない。誹謗中傷のことだろう、彼女が言いたいことは。

俺らのユニットは、男女二人組のアイドルユニット『Dreamofthesummit』として活動している。彼女が押し通そうとした名前は、『Dreamtobloom』だった。略称があるスポーツの技と被るので却下された。他にあるだろうとは思った。

デビュー曲の『いじられフィアンセ』は、ユーチューブにあがっている。実写のMVではなく、イラストのMV。

再生回数は、徐々に伸びている。

「もう着くよ、神影」

電車はスピードを落としていた。

電車が停車し、ドアが開いてホームにおりて、マネージャーさんが車を停めている場所まで走り出す。


マネージャーさんに挨拶をして、車に乗り込む。

俺は、流れる景色を眺めている。

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アイドルユニットの相方が高校もクラスも一緒で度々ケンカが起きる 闇野ゆかい @kouyann

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