月面戦争:ExtraRound

43.ExtraRound チーム「TENJIKAKU+お姫様」

 こんにちは。十流九トルクトルクや。

 今日は、2030年2月14日。日本時間、午後7時35分や。

 月面戦争:ExtraRound、開始25分前や。(ついでに僕の20歳のお誕生日や)


 僕は今、月におる。月面基地におる。

 前の月面基地は、ぶっ壊してもうたから、作り直してもろた。


 あっちの地球の葛城かつらぎイルカのお父ちゃんに造りなおしてもろうた。

 汎用月面作業マシン、オルカMarcIIIに、作り直してもろうた。


 でもって、僕は月面基地で、チャラっとオルカMarcIIIをハッキングして、オルカMarcIIIに、軌道エレベーターを作ってもろうた。


 せやから僕は、こっちの地球からロケット乗って、一足先に月面基地におる。でもって、人を待っとる。3人待っとる。


 人を待っとる間に、月面戦争が終わってからの話をざっくり話そう思う。


 月面戦争:FinalRoundで、僕と蘇我そが、でもってパーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女の葛城かつらぎイルカは、ガッツリ怒られた。どえらい怒られた。


 でもまあ、世間的には、そんなに怒られんかった。

 世間的に、というかSNSで怒られて大炎上したんは、こっちの地球の葛城かつらぎイルマと、こっちの地球とあっちの地球の2つの会社や。同名の2つの会社や。


 炎上した結果、人が3人死んだ。3人も死んでもうた。


 死んだのは、葛城かつらぎイルマに悪事を指示したの、大炎上した会社の人や、あっちの地球とこっちの地球、同じ名前の会社から、2人自殺者がでた。


 でもってもう1人死んだ人がおる、こっちの地球の葛城かつらぎイルカちゃんや。

 つまり、こっちの地球の葛城かつらぎイルマのお嬢さんや。


 誹謗中傷に耐えきれんで自殺してもうた。


 僕と蘇我、そしてあっちの地球の葛城かつらぎイルカはがっつりへこんだ。

 僕たち3人が殺したようなもんやからや。

 僕たちが、こっちの地球の葛城かつらぎイルマを炎上させたからや。


 あっちの地球の葛城かつらぎイルカは、「ぼーっと」した、どんくさいパーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女のやけど、こっちの地球の葛城かつらぎイルカちゃんは、の少女や。


 お父さん、ついでに自分に向けられた誹謗中傷に耐えきれんようになって、自殺してもうた。


 僕と蘇我、そしてあっちの地球の葛城かつらぎイルカはがっつりへこんだ。

 僕たち3人が殺したようなもんやからや。

 僕たちが、こっちの地球の葛城かつらぎイルマを炎上させたからや。


 ちなみに、こっちの地球の葛城かつらぎイルマは、チャラっと雲隠れしとる。どこにおるんか誰も知らん。

 あ、正確には、僕がチャラっと居場所を特定して、24時間監視カメラまわしとるけど、世間的には、だれも知らん場所に雲隠れしとる事になっとる。


 昨日チャラっと、監視カメラのメモリ見たら、キーボードに向かってガチャガチャガチャガチャ言わせとった。

 なんや、物書きしとった。

 タイトルには「私と娘はSNSに殺された」って書いてあった。


 僕は、心底胸糞悪くなったけど、蘇我そがには黙っておく事にした。あいつに言ったらアホみたいに飛び出してもうて、アホみたいに葛城かつらぎイルマをぶん殴って、蹴り飛ばすに決まっとるからや。(アホや)


 あと、あっちの地球の、「ぼーっと」した、どんくさいパーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女、葛城かつらぎイルカにもだまっておく事にした。あいつはなんでも自分で抱えようとするから、「私が代わりに死ねば良かった」とか言い出しかねない。(蘇我そがとは別の意味でアホや)


 はぁ、2人ともめっちゃめんどい。


 2人とも、ええヤツ過ぎてめっちゃしんどい。

 僕みたいに、適当にズルくてコスくないと、色々めんどい思うんやけどなぁ。

 ホンマ、ええヤツは色々めんどい。(アホや)


 ま、この話は重すぎるんで、どうかこれくらいで勘弁してほしい。

 こっからは、僕が待ってる3人について話す。


 まあ大体予想できると思う。最初の2人は簡単に予想できると思う。


 そう、来るんは、アホの蘇我そがテンジと、「ぼーっと」した、どんくさいパーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女、葛城かつらぎイルカや。


 蘇我そがテンジの操縦する宇宙船で、葛城かつらぎイルカを月まで連れてくる。


 でもって、もうひとりは、ユウリちゃんや。遊梨ユウリちゃんや。

 2人にとって、とっても大事な遊梨ユウリちゃんや。


 ユウリちゃんがペストに感染して、あと、ウイルス性の病気に感染して、もう1年と3ヶ月ちょっとや。

 ユウリちゃんは奇跡的に助かった。

 こっちの地球のお薬バサバサ投与して助かった。

 僕が、札束バサバサ言わしてかき集めたお薬で、どうにかこうにか助かった。


 でも、いまだに意識不明や。寝たきりや。

 遊梨ちゃんはずっと隔離病棟におる。


 でもって、今は、隔離病棟ごと、蘇我そがが操縦する宇宙船に乗っとる。「ぼーっと」した、どんくさいパーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女、葛城かつらぎイルカに看病されながら乗っとる。


 僕と蘇我そが、あと「ぼーっと」した、どんくさいパーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女、葛城かつらぎイルカの3人はチームや、医療チームや。


 ずっと重体で横になっとる、ユウリちゃんを助ける医療チームや。

 意識不明の眠り姫を助ける、医療チームや。


 僕と蘇我そが、あと「ぼーっと」した、どんくさいパーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女、葛城かつらぎイルカと眠り姫のユウリちゃん……僕たち4人は、これから、約25年間を月で過ごす。


 予定だと、2055年4月5日まで、月で過ごす。


 約25年間、月で行う壮大なプロジェクトに参加する。(参加するんはたった4人やけど)

 プロジェクトの概要は大きく分けて3つ。



【プロジェクトA:遊梨ユウリを健康にする】


 まずは、こっからや、すべてはこれをやらんことには始まらない。

 けどまあ、これについてはもう結果がほぼほぼシミュレートできとる。

 ユウリちゃんは、あと半年もすれば目覚めて、1年もすれば体力も回復するはずや。


 それに、そもそもユウリちゃんが元気にならんと、後のプロジェクトが全く進まへん。



【プロジェクトB:遊梨ユウリから抗体ワクチンを作成する】


 ユウリちゃんは、あっちの地球とこっちの地球、2つの抗体を持つ、地球上唯一の人間や。めっちゃ貴重な人や。

 せやから、その体を隅から隅まで調べ上げて、抗体ワクチンを作成する。めっちゃ便利なワクチンを作成する。


 めっちゃ面倒なプロジェクトやけど、ユウリちゃんの卜術ぼくじゅつがあれば、開発もめっちゃ楽になる。

 ホンマ、このプロジェクトは、いっさいがっさいユウリちゃん頼みや。


 で、それが解決したら最後のプロジェクト。



【プロジェクトC:両地球間のデザインベビーを誕生させる】


 なんや物騒な感じやけど、内容は至ってシンプルや、あっちの地球とこっちの地球、2つの地球の男女にに結婚してもらって、に生殖行為して、に子供産んでもらうだけや。


 そう、や。至っての夫婦の営みや。


 で、結婚するのは、2組のカップルや。

 誰と誰かは、もう、想像つくやろ?


 そう、蘇我そがテンジと、遊梨ゆうりユウリ。

 あと、十流九とるくトルクと葛城かつらぎイルカの2組や。


 僕は、「ぼーっと」した、どんくさいパーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女、葛城かつらぎイルカと結婚することになった。

 でもって、に生殖行為して、に子供産んでもらうことになった。


 あかん、めっちゃ動揺する。もうすぐ葛城かつらぎイルカが来る。

 蘇我そがとユウリちゃんのついでに、「ぼーっと」した、どんくさいパーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女、葛城かつらぎイルカが来る。


 僕は今、めっちゃ動揺しとる。

 僕は今、めっちゃ混乱しとる。

 僕は今、めっちゃ狼狽ろうばいしとる。

 僕は今、めっちゃ緊張しとる。


 僕は、葛城かつらぎイルカをめっちゃ意識しとる。

 僕は、葛城かつらぎイルカを異性として意識しとる。

 僕は、葛城かつらぎイルカを蘇我そがの時から意識しとる。

 僕は、葛城かつらぎイルカを大好きやから意識しとる。


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 月面基地のドアが「ぱっかーん」て開いた。

 感染症対策バッチリの防護服に身を包んだ、めっちゃ背が高いヤツと、めっちゃ背が低いヤツ、あと、お姫様を入れた眠りのお部屋が、ふわふわと浮かんで入ってきた。


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 あ、説明遅くなってすみません。僕もいま、感染症対策バッチリの防護服に身を包んでいます。

 プロジェクトBを達成しない限り、プロジェクトC、つまり結婚する2人は濃厚接触者になれないんです。濃厚に接触はできないんです。

 せやから、みんな防護服着ています。


 いきなり説明はさんですみませんでした。話し続けます。


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 めっちゃ背が高いヤツは、めっちゃニヤニヤ僕の事を見ながら、無言で僕の前を通り過ぎて行った。ふわふわと浮かんだ、お姫様が入ったお部屋と一緒に、とっとと別の部屋いってもうた。


 僕は、「ぼーっと」した、どんくさいパーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女と、2人っきりで取り残された。


 美少女はおもむろに駆け出してきた。


十流九とるく〜!」


 美少女は駆け出したと思ったら、なんもない所で、おもむろに「ていん」と転んだ。

 僕は、大慌てで美少女に駆け寄って、手を差し伸べた。

 美少女は、僕の手をとって、テレテレもたもたと立ち上がった。

 そして、めっちゃ笑顔で話しかけてきた。


「えへ、これからは、ずっと一緒だね!」


 僕は思った。


 可愛い! めっちゃ可愛い! 可愛すぎて死ぬ! 


 こんな幸せ、あってええやろか。


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 ドッキリちゃうか?


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2つの地球は月をのぞむ 〜少女は浮いて少年はバズる〜


これにて、おしまいや。


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2つの地球は月をのぞむ 〜少女は浮いて少年はバズる〜 かなたろー @kanataro_

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