42.FinalRound チーム「TENJIKA」

 現在の年月日及び時刻は、2027年11月1日。日本時間、午後8時01分。

 月面戦争:Round6、月面戦争の開始時間の1分後だ。


 でも、そんなことはどうでも良い。

 今のボクにとっては、本当にどうでも良い。

 理由は、ボクがいたっての高校生三年生だからだ。


 今日は、ボクの誕生日だ。


 ひょっとしたら、何かあるんじゃないかな? って思った。

 運命の出会いなんて、あったりしないかな? って思った。

 パンをくわえた少女と、ぶつからないかな? って思った。


 でもまあ、特段なんの変哲もなく、いっさいがっさい、な〜んにも起こらず、に平穏無事に誕生日を過ごした。


 でもまあ、今はちょっと面白い。面白いことやってる。


 高校生YouTubeの「TENJIKU」が、めっちゃオモロイことをやっている。

 じゃないことやっていた。生配信で、月からライブ中継をやっている。

 生配信で、Side「アルテミス」の月面基地の映像を、バッチリハッキリ映している。


「……と、言うわけで、今日は月の上空、そんでもって、最大4箇所と中継を繋いじゃうスペシャル回です!

 そんじゃ、ひとつめの中継現場に繋いでみよう!

 あっちの地球の、パーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女の葛城かつらぎイルカちゅわ〜ん!」


 ボクは、蘇我そがテンジの、毎度毎度うっとうしいしゃべり方に「ケッ」ってなっていると、いきなり画面が切り替わった。


 いきなり、浮世離れした、ロリータ服の女の子を映し出した。

 いきなり、パーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女が、スマホのちぃちゃい画面に大映しになった。


「えへ、はじめまして、葛城かつらぎイルカです」


 可愛い……めっちゃ可愛い……可愛すぎて……死ぬ!


 誰なんなんだ? このパーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女!

 葛城イルカちゅわ〜ん?? めっちゃ可愛い!!

 誰なんなんだ? このパーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女は!!!


 僕は、スマホを無意識のうちにフリックしていた。フリック入力しまくっていた。

 僕は、ものすごい勢いでフリックしまくって、「TENJIKU」のYouTubeのコメント欄に書き込みをしまくった。


「好き!」

「イルカちゃんかわいい!」

「可愛い!」

「ぎゃんかわ!」

「世界一可愛い!!」


 一生懸命フリックでイルカちゃんへの愛を書き込んでいると、スマホのちぃちゃい画面は、2分割された。

 イケすかないイケメンの蘇我そがテンジが割り込んで、可愛い可愛い葛城かつらぎイルカちゃんは、スマホのちぃちゃい画面の中で、蘇我そがテンジと2分割されてしまった。


 イケすかないイケメンの蘇我そがテンジは、パソコンの画面をチラッと見て、イケすかない口調で、パーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女の葛城かつらぎちゃんに話しかけた。


「スゴい! イルカちゅわ〜ん、コメントが沢山きているよ?

 えっと……『ぎゃんかわ!』『世界一可愛い!!』だって」


「えへへ、照れちゃうよぉ」


 尊い! めっちゃ尊い! 尊すぎで死ぬ! もだえ死ぬ!


 ボクは、イケすかないイケメンの蘇我そがテンジにコメントを2つも読まれて舞い上がりながら、パーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女の葛城かつらぎイルカちゃんの尊さに、めろんめろんになっていた。浮き足立っていた。


「あ、ちなみに、今日はトルく↑はお休み!

 だから今日は、パーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女の葛城かつらぎイルカちゅわ〜んとの一夜限りの特別チーム『TENJIKA』でお送りします!

 じゃ、イルカちゅわ〜ん。「せーの!」で、行くよ」


「えへへへ、私、がんばっちゃう!」


 パーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女の葛城かつらぎちゃんは、テレテレしながらうなづいた。


 可愛い……めっちゃ可愛い……可愛すぎて……死ぬ! 


「それじゃあ、どーも! 高校生YouTuber……せーの! 『TENJIKA』です!」


 イケすかないイケメンの蘇我そがテンジが、イケすかなく腕を「バッ!」とあげると、パーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女の葛城かつらぎイルカちゃんも、モタもたモタもたモタしながら、腕を「ていん」って上げた。

 淡くて青い、フリッフリッであまっあまっのロリータドレスのスカートが「ふわりん」と浮き上がった。


 可愛い! めっちゃ可愛い! モタもたモタもたモタして可愛すぎて尊すぎて死ぬ! 


 僕は、スマホを無意識のうちにフリックしていた。フリック入力しまくっていた。

 僕は、ものすごい勢いでフリックしまくって、「TENJIKU」のYouTubeのコメント欄に書き込みをしまくった。


「好き!」

「イルカちゃんかわいい!」

「可愛い!」

「ぎゃんかわ!」

「世界一可愛い!!」


 イケすかないイケメンの蘇我そがテンジは、僕の魂のコメントを華麗にスルーして、イケすかなく腕を「バッ!」とおろすと、おもむろに、ちょっとなにいってるか、わからない話を始めた。


「じゃ、早速今日の企画行ってみよう!

 じゃん!

 『月面戦争おわらせてみた!』

 ひゅー! パチパチぱち!!」


 イケすかないイケメンの蘇我そがテンジは、ちょっとなにいってるか、わかんない話を続けた。


「はい、実はもう企画始まってます!

 あと一分で月面戦争終わります!

 オレの方はとっくに準備出来てるから、イルカちゅわ〜んも頑張ってね!!」


「えへへへへ、私、がんばっちゃう!」


 パーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女の葛城かつらぎちゃんは、可愛すぎる返事をすると、おもむろに、ちょっとなにいってるか、わかんない事を叫び始めた。


「Hey!オルカ!

 オルカMarcIII、ウンディーネNo.3を強制起動!」


 パーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女の葛城かつらぎイルカちゃんが叫ぶと、ちょっと誰だかわなんない、機械的な声がした。


「OK!

 キドウ、カイシシマス」


 その声のタイミングに合わせて、スマホのちぃちゃい画面は、おもむろに3分割されて、おもむろに月面基地? の中にある、淡くて青いロボットを映した。

 ロボットは浮いていた。

 淡くて青いロボットは浮いていた。

 そしてロボットの後ろには、まるでクレヨンの様にカラフルな12色の物体が浮いていた。


 パーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女の葛城かつらぎイルカちゃんは、ちょっとなにいってるか、わかんない事を叫び続けた。


「Hey!オルカ!

 ウンディーネNo.3のビット機関をソーサリーで起動!

 土精霊三角形マザードーター! 威力は、6.02214076×10/23!」


「カシコマリマシタ ショリヲ ジッコウ シマス」


 ちょっとなにいってるか、わかんない機械的な声がすると、淡くて青いロボットの

後ろに浮いていた12色の物体のうち、黄色い3つの物体がおもむろに光り始めた。

 そして、おもむろに半透明に黄色く輝くサイコロ? みたいなものが現れた。黄色いサイコロ? は浮いていた。


 そして、おもむろにちぃちゃいスマホの画面が4分割されて、半透明に黄色く輝くサイコロ? が、もう一個映し出された。黄色いサイコロ? は浮いていた。

 黄色いサイコロ? の後ろには、ぶっちゃけちょっと気持ちが悪い、四足歩行のロボットが、ガッチョンガッチョンと歩いていた。


 ちょっとなにやってるか、わからない。

 いっさいがっさい、意味がわからない。


 僕は、あんまりにも意味がわかんないので、ボケーとスマホを見ていたら、イケすかないイケメンの蘇我そがテンジが、おもむろにカウントダウンをはじめた。


「月面戦争終了まで……5……4……3……2……1……お疲れ様でした!」


 イケすかないイケメンの蘇我そがテンジが、カウントダウンを終えると、画面に映し出されている黄色いサイコロ? は、より一層強く光り輝いた。

 そして、光の中に、全てが吸い込まれていった。


 月面基地にいた、淡くて青いロボットも、その後ろにあった、12色の物体も、月面基地も、あっという間に光の中に吸い込まれていった。そして、おもむろに画面は砂嵐になった。


 もう一つ映し出された黄色いサイコロ? も、光の中に、全てを吸い込んでいった。

 ぶっちゃけちょっと気持ちが悪い、四足歩行のロボットが、ガッチョンガッチョンと吸い込まれて行った。そして、おもむろに画面は砂嵐になった。


 4分割された、ちぃちゃいスマホの画面のうち、ふたつの画面に砂嵐になると、ちぃちゃいスマホの画面は、おもむろに2分割になった。


 2分割された画面の片割れで、イケすかないイケメンの蘇我そがテンジは、めっちゃ爽やかな顔して叫んだ。


「そんなわけで、勝者ノックアウトで、月面戦争終了です!

 お疲れさまでした!!

 イルカちゅわ〜んも、おつかれちゃ〜ん!!!」


「えへへへへへ、私、頑張っちゃいました!」


 2分割された画面の片割れで、パーフェクツに可愛すぎる絶世の美少女の葛城かつらぎちゃんは、可愛くガッツポーズをした。

 淡くて青い、フリッフリッであまっあまっのロリータドレスのスカートが「ふわりん」と浮き上がった。


 可愛い……めっちゃ可愛い……可愛すぎて……死ぬ!


 僕は、スマホを無意識のうちにフリックしていた。フリック入力しまくっていた。

 僕は、ものすごい勢いでフリックしまくって、「TENJIKU」のYouTubeのコメント欄に書き込みをしまくった。


「好き!」

「イルカちゃんかわいい!」

「可愛い!」

「ぎゃんかわ!」

「世界一可愛い!!」


 イケすかないイケメンの蘇我そがテンジは、僕の魂のコメントを華麗にスルーすると、めっちゃ爽やかな笑顔で話した。


「でなわけで、今日のライブは終了です!

 最後まで見てくれてありがとう! チャンネル登録よろしくね!!」


 そう言って、イケすかないイケメンの蘇我そがテンジは、キザっぽくウインクすると、おもむろに生配信は終了した。

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