幕間劇

21:美少女の父親の独り言。

 こんにちは。遊梨ゆうりユウリです。

 ここまで読んでもらって、ホンマありがとうございます。めっちゃ嬉しいです。


 この回の話は【幕間劇】ちゅうやつらしいです。ドラマ古畑任三郎で、よくやる手法らしいです。


 でもこの幕間劇、の幕間劇と違うてなかなかの長さらしいです。

 理由は、なんやわからん話を、まとめてやっつけたいから。らしいです。


 今、ワタシは、タブレット? ちゅう、なんやまな板みたいなモンに向かって、厳しく指導しています。

 絶妙に珍妙な格好したイルカちゃんを、厳しく指導しています。


 もう、女の子になって1年以上経っとるんやから、ホンマ自覚してほしいです。

 ほんのちょっと自覚さえすれば、全宇宙可愛いランキングで殿堂入りできる、めっちゃ尊いミラクルハイパーウルトラスーパーロリータ美少女なんを、ええ加減に自覚してほしいです。


 せやから私は、可愛い尊い殿堂入り間違いない、ダイヤの原石のイルカちゃんを、厳しく厳しく指導しています。



 ちなみに、こっから先は、イルカちゃんのお父さんのお話です。イルカちゃんのお父さんの、あっちの地球との、なんや政治的? な、お話らしいです。

 確かイルカちゃんのお父さんは、学者さんや思うんやけど、なんで政治の話なんやろ。


 ま、おっさんの話はようわからんです。

 せやから、こっから先は、おっさんのなんやわからん話に興味ある人だけ読んでください。

 一応、おやくそくなんで、これも言っときます。


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       【注意書き】



この回を読むのはいたします。


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 わたしは今、イルカちゃんに、立派なロリータ少女になってもらうため、厳しく厳しく厳しく指導するんに忙しいんで、そろそろ失礼します。


 そんなわけなんで、こっから先は、読みたい人だけ、ながおもんない話を読んでください。



こっから始まります。


 ↓↓↓

 ↓ ↓

 ↓べ↓

 ↓つ↓

 ↓に↓

 ↓読↓

 ↓ま↓

 ↓ん↓

 ↓で↓

 ↓も↓

 ↓え↓

 ↓え↓

 ↓で↓

 ↓す↓

 ↓よ↓

 ↓ ↓

 ↓↓↓ 



 気まずい、とても気まずい。私は今とても気まずい。

 なぜか。


 私の愛娘まなむすめが、私のすぐ横で、下着姿になっているからだ。

 愛娘まなむすめが、愛娘まなむすめの友人に、服のコーディネートの相談しているからだ。


 愛娘まなむすめは変わった。変わってしまった。


 昔はこうではなかった。私の前でこんなに無防備な姿をさらす愛娘まなむすめではなかった。

 一緒にお風呂に入ったのは、6歳の時のクリスマスプレゼントに、スケボーを渡した時が最後だ。

 洗濯物を一緒に洗うの拒否られたのは、13歳の誕生日だ。

 そして、最後に口を聞いたのは、中学三年生の時のバスケの全国大会で、優勝した時だ。


 そう、私の愛娘まなむすめは、絶賛反抗期だったはずだ。


 それが、突然変わってしまった。去年の、2025年4月5日から突然変わってしまっ

た。


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 さてここで、あらかじめ断っておく必要がある。

 私は、こっちの地球の常識しか知らない。そう、こっちの地球ののことしか知らない。

 だから、もし、私の言っている事が「頭がおかしい」と思っても、軽く受け流していただきたい。なぜなら、それがこっちの地球のだからだ。


 何卒、ご了承いただきたい。


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 ・


 さて、中座した私の愛娘まなむすめの話に戻そう。

 忘れもしない、2025年4月7日深夜、私の書斎にいた娘のことを話そう。


 私の愛娘まなむすめは私の書斎に無断で立ち入っていた。なら、口を聞くどころか、目すら合わせてくれない私の愛娘まなむすめが、なら、絶対に足を踏み入れないはずの私の書斎に無断て立ち入っていた。そして、私の論文を読みあさっていた。夢中になって読みあさっていた。

 あまりに夢中になっていたものだから、私がすぐそばまで近づいても、全く気づく様子がなかった。


 私は、愛娘まなむすめに声をかけた、明らかに様子がおかしい愛娘まなむすめに声をかけた。普段は、一切本を読まない、漫画しか読まない愛娘まなむすめに声をかけた。


「イルカ?」


 愛娘まなむすめは「ビクッ!」と体をふるわせた。本当に、もう本当に、私の気配に気づいていなかったようだ。愛娘まなむすめは、震える声で答えた。


「父……さん?」

 

 私は、見逃していた。この段階では見逃していた。愛娘まなむすめが疑問形なのを見逃していた。

 私は、違和感を見過ごしたまま、愛娘まなむすめに聞いてみた。


「何をしているんだい?」


 愛娘まなむすめは沈黙した。手で口もとを押さえたまま、しばらく黙りこくった。そして、手を口元から外すと、ポツリとつぶやいた。


「……おかしくない?」


 私は、理解ができなかった。全く理解ができなかった。ちょっとなにいってるか、わからない。わからなかったから、そのまま聞いた。


「なにがだい?」


 すると、私の愛娘まなむすめは突然早口になった。ぶっちゃけちょっと気持ちが悪い早口になった。私の愛娘まなむすめの早口は、ぶっちゃけちょっと気持ちが悪いから、どうか、に読み飛ばしてほしい。


「この【特殊相対理論とくしゅそうたいせいりろん】おかしくない?

 なに『6.02214076×10^23』ってこれって【特殊相対理論とくしゅそうたいせいりろん】じゃなくて【アボガドロ定数】だよね。そもそもなんで【相対性理論そうたいせいりろん】がないの? 『E=mc²』がないの?

 まあこっちの地球では科学が秘学ひがくだと扱われているのは大体理解できたけどなんで『E=mc²』がないの? なんで代わりに『6.02214076×10^23』で重力制御ができていて並行世界との計算処理の回数及び結果の解離が定義されていて約60年周期であっちの地球との座標軸がずれることを証明できているの? 2025年4月5日、22時14分40.76秒に、同じ並行線状に並ぶと証明できているの? あとそれから……」


 私は、愛娘まなむすめの約6分の怒涛の質問攻めを、約22分で説明し、その直後に放たれた愛娘まなむすめの約14分の怒涛の質問攻めを、約76分で解説した。


 解説した結果、愛娘まなむすめは「うん」とうなづいた。そして、


「うん、わかった。ありがとう父さん」


と微笑んだ。気絶しそうなほど可愛い笑顔で微笑んだ。


 ああ、こんな可愛らしい、純粋無垢な笑顔が、私に向かって放たれたのはいつ以来だろう……ああ、そうか、最後に一緒にお風呂に入った時だ。6歳のクリスマスに、スケボーをプレゼントした日の時だ。

 私の子供の頃にはなかった、モノポール重伝池じゅうでんち式のホバリングスケートボードを、サンタさんに扮してプレゼントした時以来だ。


 可愛い……可愛すぎる……私の愛娘まなむすめはどうしてこんなに可愛いのだろう。


 私は、子を持つ親なら至っての感情を抱きながらも、私の愛娘まなむすめに生じた違和感を確信した。目の前にいる愛娘は、私の知っている愛娘まなむすめではない。誰かと入れ替わっている。

 私は、少し考えたが、私の仮説など一切無意味だと悟った。無意味だと悟ったのでそのまま聞いた。


「君は誰だい?」


 愛娘まなむすめは沈黙した。手で口もとを押さえたまま、しばらく黙りこくった。そして、手を口元から外すと、ポツポツとつぶやいた。


蘇我そがテンジです。2025年4月5日22時14分40.76秒まで、あっちの地球にいた高校一年生です。

 おそらく……娘さんは、あっちの地球で僕になっています」


 ・

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 ・


 さて私の愛娘まなむすめが、見知らぬ少年と入れ替わった事実をお分かりいただけたところで、私がその後、どうなったか告白しよう。


 私は、愛娘まなむすめを、変わらず愛し続けた。無条件で愛しつづけた。


 何故か?


 それが親だからだ。それが親と言う生物のだからだ。


 そして、最も重要なことなので、あえて説明するのだが、この状況で最も不幸なのは誰か? 決まっている。目の前の愛娘まなむすめだ。未曾有みぞうの不幸がその体に降りかかって翻弄ほんろうされている、蘇我そがテンジという、あっちの地球にいた見ず知らずの少年だ。


 不幸な人物、困っている人物にまず最初にすることとは何か? 決まっている。それはだ。だから私は助けた。

 私の愛娘まなむすめと入れかわってしまった未曾有みぞうの不幸がその体に降り注いでしまった少年に対して、私の愛娘まなむすめと同じくらいの愛情を注いだ。それが人間と言う生物のだからだ。


 ・

 ・

 ・


 さて、私が私の愛娘まなむすめを変わらず愛しつづけている事実を告白したところで、今現在起こっている、未曾有みぞうの状況について話そう。

 2つの地球の状況について話そう。


 あっちの地球とは早々に連絡がついた。何せこっちの地球では、すでに証明できているからだ。

 2025年4月5日22時14分40.76秒に、同一の並行世界線上に、今後約『6×10×23』、つまり1380年間、2つの地球が存在し続けると、私が証明済みだからだ。


 2つの地球が同一世界線上に発露はつろした直後、すぐさまあっちの地球とコンタクトを取ったところ、あっちの地球は驚愕していた。

 だが、すぐに、相互コンタクトが可能な状況を整えてきた。


 


 いくらなんでも早すぎる。何故あそこまで早く、相互コンタクトの環境を整える事ができたのだろう。私は全く理解ができなかった。私以外のメンバーも全く理解ができなかった。

 日本に設置された対地球対策たいちきゅうたいさく機構のメンバーは、あっちの地球の早すぎる対応に困惑した。その理由について、仮説すら、誰も立てる事ができなかった。


 一切、理由が推測できないまま、まる2日間をいたずらに消費し、4月7日の深夜、日付けが変わる頃に帰宅すると、私の愛娘まなむすめが私の書斎にいた。

 そして、愛娘まなむすめの約6分の怒涛の質問攻めを、約22分で説明し、謎がすっかりと氷解した。


 つまり、解釈が違うのだ。


 2つの地球では、『土の精霊エレメント』の解釈と『風の精霊エレメント』の解釈が、違うのだ。

 こっちの地球は『土の精霊エレメント』の解釈に勝り、あっちの地球は『風の精霊エレメント』の解釈が勝っているのだ。

(正確に言うと、こっちの地球は『水の精霊エレメント』の解釈にやや勝り、あっちの地球は『火の精霊エレメント』の解釈がやや勝るのだが、そこまで説明の裾野を伸ばすと、話が長くなってしまうので非常に残念だが割愛をする)


 さて、私と私の愛娘まなむすめは、2つの地球の差異を完全に理解した。

 そして、その直後に放たれた愛娘まなむすめの約14分の怒涛の質問攻めを、約76分で解説したことにより、ある2つの結論に達した。


 〜 1.2つの地球は、当面、非接触交流しかできない。 〜

 〜 2.2つの地球は、月面戦争を避けられない。 〜


 まずひとつめ『2つの地球は、当面、非接触意外の交流は不可能』これはシンプルだった。ある程度予想できていた。愛娘まなむすめは、あっちの地球で発生した様々な感染症を説明した。私は、こっちの地球で発生した様々な感染症を説明した。


 結果、反対の地球に人類を送り込むのは、殺戮さつりく兵器を送り込むのと同義だと言う結論に至った。互いの地球の感染症に対する抗体こうたいが、お互い、あまりに脆弱だ。


 接触交流を可能にするワクチンを開発するには、慎重かつ膨大なテストが必要だ。

 長い長い年月をかけ、様々な抗体を獲得するため、少しずつ、辛抱強くやっていくしかない。少なく見積もっても30年はかかるだろう。


 

 厄介なのはふたつめ『2つの地球は、月面戦争を避けられない』これが非常に厄介だった。

 聞けば、あっちの地球は2024年に本格的に月開発に乗り出したと言う。ちょうど、こっちの地球にも、2024年に【軌道エレベーター】が完成したばかりだ。本格的な月の開発が始まったばかりだ。


 果たして、どちらの地球が、月の利権を握るか……おそらくどちらも譲らないだろう。


 理由は簡単だ。人の命がかかっていないからだ。


 感染症は、生死に関わる。だが、月の利権は生死に関わらない。

 人の生死で世論はいとも簡単に動く。

 だが、テクノロジーには世論は思いの外疎ほかうとい。その事実を、あっちの地球の日本国で起こった事実を、私の愛娘は約14分の怒涛の質問の最中に教えてくれた。

 あっちの地球の日本国が、日本国以外のテクノロジーで埋めつくされている事実を、資本主義で侵略されている事実を教えてくれた。


 おそらく、あっちの地球は、月に人類が踏み入れる事を禁止する条約を持ちかけるはずだ。そして、月面に無人の作業機器を送りつけ、作業機器をリモート操作して月面開発を続けるだろう。

 こっちの地球よりも30年程進んだ、通信テクノロジー、すなわち『風の精霊エレメント』の解釈があれば可能だ。


 ではどうすればいい? こっちの地球はどうすればいい?


 作ればいい! こっちの地球も作れば良い!


 30年程遅れた通信テクノロジーに、可能な限り追いつけば良い。それを、私と愛娘まなむすめで実行すれば良い。


 ・

 ・

 ・


「じゃ、僕は【相対性理論そうたいせいりろん】を秘学ひがくバージョンに書き換えた論文を書くから、父さんは根回しをお願い」


「わかった。それが一番、イルカにとって都合がいい、イルカにの高校生活を満喫させてあげる事ができる」


 私がそう答えると、私の愛娘まなむすめは、飛び切りの笑顔で返事をした。


「えへ、ありがとう! 父さん!!」


 尊い……尊すぎる……私の愛娘まなむすめはどうしてこんなにも尊いのだろう。


 ・

 ・

 ・


 とは言え、物事は想定どうりに行かなかった。


 私の愛娘まなむすめが夏休み中に書き上げた論文、【単一世界線上たんいつせかいせんじょうにおける相対性理論そうたいせいりろん】を発表するのにてこずってしまったからだ。

 世界各国の政府、及びマスメディア折衝、及び、対地球対策たいちきゅうたいさく機構の資本拡大に時間をかけすぎてしまった。

 結局、時間も予算も足らず、私と愛娘まなむすめが直接、月面基地の基礎システム構築をする羽目になった。


 私の責任だ。私が世間に『E=mc²』を理解させるのに時間が掛かりすぎた。私のプレゼンテーション、及び、ネゴシエーション能力の低さが悔しくて仕方がない。


 とは言え、私は今、罪の意識が少しだけ和らいでいる。

 リモートとは言え、今、愛娘まなむすめが、友人とおしゃべりを楽しんでいるからだ。

 服をとっかえひっかえお着替えをしながら、それはもう、友人と楽しくおしゃべりしているからだ。


 可愛い……可愛すぎる……私の愛娘まなむすめはどうしてこんなに可愛いのだろう。


「まあ、ええやろ。今日はこんなところで許したる! 明日は、もっとビシバシ指導するから、覚悟しときぃ!」


「えへ、ありがとう遊梨ゆうり↓!」


 ……友人との会話が終わったようだ。愛娘まなむすめがタブレットを一旦スリープさせる。

 そして、愛娘まなむすめは、私の方を向いて、私に向かって、私の為だけに、とびきりの笑顔を放った。


「えへへ、遊梨ゆうり↓に可愛くしてもらっちゃた!」


 とても女の子らしい、去年までは絶対に着る事がなかった、スカート姿だった。

 両手でスカートの裾を握って、可愛らしくあいさつをしている。

 とても可愛らしい、まるでお姫様のような、とてつもなく可愛らしい姿だった。


 尊い……尊すぎる……私の愛娘まなむすめはどうしてこんなにも尊いのだろう。


「それじゃあ、父さん、オルカ Mark-II! 今日も頑張ろう!」


 イルカは、私と、イルカが「オルカ Mark-II」と名付けたスーパーコンピーターに飛び切りの笑顔で語りかけた。


 可愛い……可愛すぎる……私の愛娘まなむすめはどうしてこんなに可愛いのだろう。


「ガンバリマショウ、イルカ」


 スーパーコンピーターに返事を返されたイルカは、飛び切りの笑顔で返事をした。

 

「えへへへ、頑張っちゃう!!」

 

 可愛い……可愛すぎる……私の愛娘まなむすめはどうしてこんなに可愛いのだろう。

 尊い……尊すぎる……私の愛娘まなむすめはどうしてこんなにも尊いのだろう。


 私は、命をかける。そう。命をかけるのだ。

 この可愛すぎる尊すぎる愛娘まなむすめを護るため。自分の全てを捧げるのだ。

 そしてそのついでに、こっちの地球を救うのだ。

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