19:肌身離さず持っていたかったからや。byユウリ

 こんにちは。遊梨ゆうりユウリです。

 ここまで読んでもらって、ホンマありがとうございます。めっちゃ嬉しいです。


 今日は、2026年8月10日です。ワタシの17歳の誕生日です。

 ワタシは、今、お布団の中でウトウトしています。


 今は、夏休みです。

 夏休みなんで、朝寝坊していました。そしたら突然、声がしました。突然、イルカちゃんの声がしました。


「しもしも〜」


って声が聞こえてきました。可愛い可愛いイルカちゃんの声がしました。シャチのぬいぐるみの「オルカ」ちゃんから、いきなりイルカちゃんの声がしました。


 ワタシがびっくりしていると、シャチのぬいぐるみの「オルカ」ちゃんが、イルカちゃんの声で、


「お別れした時、私が渡した、タブレットの電源入れて!」


って言いました。


 タブレット? 何……それ? 


 ワタシがパニックになってると、


「ほら、お別れの時に渡した銀色の……」

「ああ、!」


 ワタシは、イルカちゃんが言っているタブレット? が、なんやと「ぴっかーん」ってひらめきました。

 今、おっぱいに挟んでいる、なんやわからん銀色のまな板みたいなもんがなんやと「ぴっかーん」ってひらめきました。


 なんやわからんけど、イルカちゃんからもらった大事な大事なモンやから、大事にせなあかん思って、なんやわからん銀色のまな板みたいなん、ワタシは四六時中、肌身離さず持っていました。


 なんやわからん銀色のまな板みたいなんを、ワタシはイルカちゃんや思うて、四六時中、肌身離さず持っていました。


 なんやわからんけど、なんやわからん銀色のまな板みたいなんは、ひんやりしています。

 せやから、気だるい夏の夜には最適でした。

 おっぱいに「ぎゅ!」って挟んで寝ると、ひんやりして最適でした。


 ワタシは、おっぱいに挟んだなんやわからん銀色のまな板みたいなんを、コンセントに挿しました。

 なんやわからん銀色のまな板みたいなんは、なんやわからんけど、コンセントがあったので「がしゃこん!」って、ベットのワキっちょにあるコンセントの穴におもむろにブッ挿してやりました。


 すると、なんやわからん銀色のまな板みたいなんは「ぶーん」って音が鳴りました。


 そして、


 そして!


 なんやわからん銀色のまな板みたいなモンには、可愛い可愛いイルカちゃんが写っていました。


「えへ、遊梨ゆうり↓! 17歳のお誕生日おめでとう!」


 138日ぶりや! 138日ぶりのイルカちゃんや!

 可愛い! めっちゃ可愛い! 可愛すぎて死ぬ! 

 尊い! めちゃ尊い! 尊すぎで死ぬ! 悶え死ぬ!


 ワタシは、めまい起こしそうなん必死でこらえて、あくまでを装って、のんびりとトーンの高い声でしゃべりました。


「ねえ、なんなん?」

「えへへ、タブレットだよ」


 いや、それは聞いた。だからなんなん? タブレット? ってなんなん、知らん言葉や。初耳や。

 ワタシはイルカちゃんが、ちょっとなにいってるか、わからないので、思ってることをそのまま聞きました。


「ちょっとなにいってるか、わからない」


 ・

 ・

 ・


 イルカちゃんは、そっから1時間くらいかけて、早口で、タブレット? の事教えてくれました。

 ぶっちゃけ、ちょっと気持ちが悪い早口で、タブレット? の事教えてくれました。

 なんや、要するにタプレット? は「めっちゃ便利なモン」らしいです。

 シャチのぬいぐるみの「オルカ」ちゃんもめっちゃ便利やけど、なんや、オルカちゃんではできんことを、このタブレット? がやるらしいです……知らんけど。


 そしてワタシは、イルカちゃんのぶっちゃけちょっと気持ち悪い早口を聞きながら、ようやく冷静になってきました。ずいぶん冷静になってきました。


 冷静になったワタシは「むむむ」ってなりました。

 早口でしゃべり続けるイルカちゃんのことを見て「むむむむ」ってなってました。

 お別れに時に、ワタシがプレゼントした、淡くて青い、襟に「オルカ」ちゃんのワンポイントが入った、オーダーメイドのあっまあっまのフッリフッリのロリータドレスを着たイルカちゃんを見て「むむむむむ」ってなってました。


 あんまりにも「むむむむむむ」ってなったんで、ワタシは、語気強めで言いました。ビシィ! って言ってやりました。


「イルカちゃん! その格好はありえん!」


 なんで、淡くて青いフワッフワッのドレスに、原色バリッバリのネオンカラーのブラウスなやねん! なんでよりにもよって、真っ赤なネオンカラーやねん!

 なんで、淡くて青いフワッフワッのドレスに、よにもよって、ゴリッゴリッにゴシックな、黒のヘッドドレスやねん!! 


 そんでもって、ヘッドドレスが表裏も後前も反対や! いっさいがっさい反対や! ありえん! 絶対ありえん!! 考えられへん!!!


 コーディネートが、ホンマもう驚異的にガッチャガッチャや! ありえん!!


「はぁあああぁぁん……」


 ワタシは思わずため息が出ました。ため息がダダもれました。


 イルカちゃんは、ホンマわかってません。

 自分が圧倒的に奇跡的な美少女なん、全然わかってません。

 絶望的に究極的に、めっちゃ尊い美少女なん、わかってません。

 可愛さ宇宙ランキング17年連続第1位なん、全くもってわかってません。


 せやから、ワタシは厳しく厳しく指導することにしました。


「イルカちゃん! 今からすぐに服を脱ぎぃ!」


「え?」


「え? やない! ええから全部服脱ぎぃ!! 今日から、イルカちゃんの服のコー

ディネートは、いっさいがっさいワタシがやる!!」

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