第18話
話し合った結果、ケールハイトが軽く呆れながら言う。
「水霧、正直な話、悪い結果には成りようが無い、では無く、悪い結果に成ってもどうとでも成る、と言うのは、そうならない自信がないとか言われてもおかしくはないですよね」
「悪い結果に成りようが無い。だからそう成った際の為の対策をしない……と言うのはメタ創作的にはそうなるフラグでしか無いし。そうさせる訳が無い物を考えた上で、それでもそう成った際の事も考えて置くだけ」
「万全を期すのを基本にすると言えば聞こえは良いとは思いますが、考えなくても良い所まで考えて居る気がしますが」
「創作的には確かに都合が悪い分岐なんて無視出来る。アンチ・ヘイト的な二次創作では採用されるような分岐なんてそもそも無い物として扱える。だが、それはあくまでも作者視点での都合で有って、作中のキャラ視点の都合じゃ無い」
「それでも貴方は自分の世界の事は全部決められる立場ですよね?全てを知ると迄は行かなくともある程度なら先の事も分かるはずです」
「……解らない事の方が多いのだが」
「十数年何事も無く平和だった……なんて時間飛ばしは創作では良く有る事ですよね?」
「日常物でも無いのにイベントを描写するのが目的の作話で何事も無い時を何年も何年も描写してもアレだからしゃーないだろ……」
「そう言う事を言いたいのでは無くてそれで描写を跳ばされるような時間を創れば良いのです。いえ、実際に時間を跳ばすと言う意味では無く」
「何事も無く平和だったという前提の世界を創ろうではなく、作れたとする、と言う事か?」
「はい、そう成りますね」
「……それが出来るなら苦労はしないと言うか、もしそれが出来るとしたら、流石に基本的に俺より格下相手しかいない世界でだけだろ。世界としてそれが事実と言うのは格上を度外視できる創作なら有効だろうけど、あくまでも現実なのだし、そうしても俺の力で全部調整出来る範疇以上の格上の奴が介入して来る展開を否出来る物では無い」
「その問題と成る介入を貴方が対処すれば良い。違いますか?」
「だがしかし、平和な世界を年単位で創造主としての力で強制的に実現する。つまり、世界中の奴を年単位で継続して操るって事だ。其処に個々の自由意思なんて存在しない」
「……それじゃ意味が有りませんね……あ、そうだ。要するにどんな事をされようが死なないで居れば良いのだから、ゲームで言うなら計算式改編で、ダメージとして算出される値を経験値加算へと変更する能力と言うのも有りですよね。どんな事をされようが、それが原因でレベルアップして今より強くなる能力ですが」
「……それはゲーム的世界ならではの能力だと思うけど、何をされようがダメージに成らず、それが原因でむしろ強く成る、か。反則にも程が無いか?」
「前提と成る計算式を変えるなり追加するなりする事はゲームでは良くある事ですけど」
「そうだけどさ、それって通常のダメージを与える系の奴全部を無効化する能力な訳で」
「相手の物をどう受け取るかを変えただけなので、別に相手がどんなのを出そうが関係無いと思いますが」
「……いや、全部無効化は無理だろう。例えば最低ダメージ保証とか有るだろ?」
「いえ、ダメージを受けてその結果HPゲージが減る際にそれを別物に変えると言う事ですから、固定ダメージもそもそもダメージとして受け取らないと言うだけです」
「ダメージは受けましたが、それで私のHPゲージが減るかどうかは別問題ですってか?」
「はい、そう言う事ですね。それがむしろ強く成る要因なだけで」
……理不尽だな……。ゲームなんかだと敗北イベントで敵のHPゲージが幾ら攻撃しても減らないなんて事はたまに有るし、後、攻撃される事で経験値獲得もゲームで見た事あるけど、その二つを複合しちゃうか……。
「ハハハ、本当にアレだな」
「ゲームの理屈がそのまま適用出来るなら、特殊条件に依る勝利以外負けない理屈ですし」
「あー、そうか、HPゲージを減らすと言う手段以外で死亡させる効果の攻撃が有れば良いのだから、カードゲームならライフ削りじゃ無くて相手の山札を枯渇させる事で勝つ様な事をすれば良い訳だ。……逆に言えばそう言うのを用意されないと負けようがない、か」
「そうですね。そもそも特殊条件勝利を常に狙って居る様な奴にはあまり関係無いですね」
「事前に情報が有ればそう言うのを事前に用意してから行くだけで済むけど、カードゲームにおける特殊条件勝利って通常勝利より簡単に可能だったらゲームシステム自体の根本否定に成りかねないのだよな。皆それを使う様な環境だと通常勝利のルールが意味無いし」
「そうですね。故にゲームのバランス崩壊が起きてない環境でなら特殊条件勝利は通常よりも成立させる為の難易度は高くて当然です。……ルールがちゃんと機能している世界では、ですが」
「……そうじゃないとゲーム性が別物に成るしね……」
「ま、ゲームバランス破綻上等な世界なら話は別でしょうが、正直な話、存在として規模が大きければ大きいほどどこからでも攻撃されますよね」
「それはそうだな。……それに、水を操る能力なんてとてもじゃないが専売特許とは言えない物では有る。無効じゃ無いと精神干渉とかも含めてとうの昔にアーバーンなんて他の誰かに操られているよ」
「正確にはダメージ無効ではなく規模の足りない攻撃ではダメージが考慮し無くて良い範疇でしか発生しない、です。サイズ差を補える程の大規模な攻撃をすれば良いだけですが」
「……まあ、規模を攻撃が効かない根拠にするならそれはそうだな。全員がシステムに従うゲーム世界なら世界その物がどうこうして来るだろうから世界その物を相手にするなら規模は効かない根拠たり得ないけど。創造主の力は持って居るのだし、そう成るパターンが有り得るとしても卓袱台返しはさせて貰うけど」
「そう言えば疑問なのですが、通常細菌はウェルシュ菌の芽胞を除けば百二十度を暫くの間当てれば大抵の殺菌は出来ますが、全身が炎とかの明らかに常時百度を身体が超えている奴の内在菌は皆無と言う事なのでしょうか?」
「能力強化の過程で内在菌がそもそも百二十度処じゃ無いレベルに耐える様に変わって居るか、能力的に保護して居るか、内在菌が皆無レベルに居なくても問題無い身体をしているのじゃ無いか?」
「対策自体は色々と有るとは思いますが、そう言う物がないと内在菌が役目を果たす物関連の物が身体から無く成りますよね。ある程度以上の炎系の能力者でそう言う言及をしている奴って探せば居るかも知れませんが、私が見た限りだと絶無に近いですね」
「うわぁ……なら身体から炎を生み出すだけの奴ってその炎が大体百度以下の炎じゃ無いとアウトじゃ無いか」
「大抵炎に強い身体を得た等で詳しく言及されて無いだけだ……で済む話では有りますが、能力を造る能力系の奴はそこまで能力がカバーされて居るとは思えませんね。それでも扱う炎が百度以下ならある程度は問題有りませんけど」
「本当アレだな……」
シュライクがそこで再び会話に割り込む。
「今必要が有る話は他人の体の仕組みじゃ無くてどんな物を使われようが問題無い世界を造るための話だろ」
「とは言え、手法を変えれば別の奴に都合が良く成るのが有る訳で、全員殺したい奴には俺が死んだら全員死ぬルートは最高俺が死んでも世界その物や住人は残るなら奪いたい奴には最高。うん、なら折衷案だ。誰か一人が寿命以外で死ぬなり何なりの不都合な結果に成ったら全員が並行世界へ移動する。そうは成らなかった世界へと世界を分岐させる。それなら殺したい奴には殺せて無いし、奪いたい奴も奪えない事に成る。……まあ、それだと追い払いたい奴には都合が良いが、殺されも奪われもしない」
「……いや、言いたいことは解るが、その、例えば殺人事件が一つや二つで済むか?それとも頻繫に時間巻き戻しを使う気か?それにこの世界の奴の事件には何も解決策には成らないだろ」
「まあ、パラレルワールドを無限に造れればそれを使って不穏分子全員を気付かぬ形で此方に都合が良い形で住み分けさせれば良いけど、流石にそれをやる上で必要な創る世界の数が多過ぎてまだ無理だしね」
「いや、別に個々に専用の世界を与えるレベルの事はしなくて良いと思うが」
「世界の分岐は収束するとか言うが、要するにアレだ、小さい単位でアレコレやっても世界単位の事件には結局は巻き込まれる様な物だ……と個人的には思う。つまり、並行世界を超えられるレベルの奴が育つと並行世界の話でも他人事では居られない訳だ」
「いや、それじゃ駄目じゃ無いか」
「だから、それを潰したいから個々それぞれに此方に都合が悪く成らない調整した世界へ送りたい。だが、俺にそれをやるだけの力が足りないと言う訳」
「……解った。ならやるべきは力の底上げだな。……全員を此方側の都合が悪く成らない程度に全員接待する為に力を付けるなんて気が乗らないが、……まあ、この世界で欲望が満たされない奴が犯罪しまくるよりかはましか。じゃあ用意する事にする。少し待て」
そしてシュライクに用意して貰う事にした。
未定5(仮) @azeru1000
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