第17話

 話し合いはまだまだ続きアーバーンが提案を行う。

「パンゲア大陸から世界名を付けると言うのは良いけど、通常の星と似た感じにして居たら星を壊すレベルの奴が来たらどうする気?何かしら通常通りとは行かない様な物も必要だと思うわ」

 それにシュライクが答える。

「……。それを考えるとして、要するにある程度以上の広域殲滅の手段メタを世界観として組み込めと言う訳だ。何なら星全部の大半を水霧の制御下の水で包むか?そうしたら水霧の勝てる相手には対処出来るだろ」

 ……。出来なくは無い。出来なくは無いが。俺はそれに問題点を返すことにする。

「ヴィシュヌ様がやっている事の劣化版だし、別にやれなくはないのだろうけども……。俺の制御下の水を全域に常時満たす=俺が全域常時俯瞰して居るって事で、プライバシー侵害検案にも程が有る」

「いやいや、水霧、俯瞰して居るだけなら例えば気象衛星とか既に有るし、俯瞰して居るだけなら問題無い」

「……シュライク、それを機械がやるのと人間がやるのとは大きな隔たりが有るだろうが」

「じゃあ水霧の知覚していないエリアを創れば良い。結果として水霧の守りからも外れるから、水霧に責任が持てないエリアに成るが」

「いやいや、シュライク、其処は外敵からすれば其処は狙い処にも程が有るだろ」

「そう言う事も含めて自己責任エリアと言う前提の場所なら良いだろ、別に」

「シュライク、アレか?つまりはスラム街を意図的に創ろうって?其処を侵略基盤に仕掛けられたらどうするよ?」

「能力的に其処を隔離してしまえば良い」

「……駄目だな。それだと其処に入る奴等は囚人と変わらん。外部との連絡手段も制限する形に成るだろうし、後、公式的な無法地帯に成るだろうし」

「じゃあいっその事、前提と成る事を受け入れられる奴だけ世界の住人にすれば良い。そして後は退去して貰えば良い」

「いや、そうすると監視社会とか管理社会とか言われても割と反論出来ない内容に成るが」

「水霧、じゃあ護衛役の奴すら内情を把握して居ないままで完璧に守れとは、知らないが故の落ち度とか有ってもスルー出来るのかね?」

「……まあ、それはそうか。許容できる奴だけが住めと言う前提の世界、か。……嫌なら見るな……の嫌なら住むな、か。嫌だと言う奴は警備会社が現地の情報碌に知らない状態で居ろと言う事だから割と住む奴は居るだろうけど……文句はさぞかし言われるだろうな」

「此処で問題とされるとしたらそれが一個人に知られると言う事だな。それを警備会社のトップに知られると言い換えると文句は出ないだろうけど」

「いや、シュライク、そんなの言葉の捉え方の問題でしか無いだろ……」

「それでもそれを受け取る側の感じ方は全然違うから。この場合は説明に使われる内容の言葉次第で変わる伝わる事に対する信用性の問題だけどさ」

「……それを創ってみたら誰一人として使わなかったとか成ったらアレだとは思うが」

「もしそれをしてそうなると言うならば、そもそも既にリコールされているだろうよ」

「ならやってみるか……海底に位置するエウミア連合国の国における水の比重をさらに増やした版と考えればエウミア連合国関連の人はそれなりに来てくれるだろうけど、エウミア連合国側から人員を大幅に流れ込ませるのは流石に……」

「……ならエウミア連合国に優先的に移民を頼めばいい。水霧は元と言えば其処の重役だろ?重役って何の役職か解らんけど」

「……そもそもアーバーンがエウミア連合国の前身の団体に協力を要請されて協力して、その流れでアーバーン共々後ろ盾兼エウミア連合国の海底の領土を成立させる為に力を使い、協力して……で、後ろ盾側の内の一つとか、武力の象徴とか言われて……でもさ、最終的には創造主としての力を持つ前の当時の俺の劣化版のドッペルゲンガーを大量に同時に瞬殺している訳で……」

「ケールハイトが、か?マジか?それは」

「マジ。但し、最初は負担が大きいらしいから連発は出来ない……とか言う話だったのに負担が少ない方法とかを考案したりそもそもの負担軽減も出来たりしているらしい」

「……前に見た時と能力が違わないか?守護系統だった様な気がするが、使っていたのはアテナかなんかの神格じゃあ無かったか?」

「そう言う時も有ったな。別にそれだけが彼女の能力と言う訳では無いが」

「……じゃあなんだって言うのか」

「……俺からは言えないかな」

「ならケールハイトに聞きに行くか。どうせケールハイト側には話を通さないと無理だろう。この話をこれ以上進めるのは」

「ま、そうだな。じゃあケールハイト側に会いにでも行くか」

 そして準備をする都合上で二日後にケールハイトにコンタクトを取る事にした。



 そしてケールハイトに話を通すと。

「つまり、創造主としての力では無く水霧の力で世界を覆った世界が創りたい。だが、それをするとエウミア連合国の前提の成り立ちとネタ被りする、と言う事ですね?」

「……確かに創造主としての力を使ってしまえば別の奴も創れるのだろうけど、さ」

「使い慣れた物を使いたいと言う事は分かりますが、ありとあらゆるIFを想定するべき、なのですよね?なら例えば貴方が本当に死んだらどうします?」

「……そう簡単には死なないし、何なら復活手段も有るが、それでもそれらが使えないレベルで死んだら、か?……ふむ、そうだな。簡単に思いつくのは創造主としての力を使って俺が死ぬ場合に行く世界も先に固定してしまうか。そしてそこから現世に戻れる仕様にする。死後の世界と現世が繋がって居てその間を移動出来る世界観と言うのは神話にはある程度有るし、出来なくは無いだろう。そうしたら少なくとも創造主クラス以上の奴を相手にするのでも無ければ、殺されても問題無いはず」

「……ありとあらゆる手段を考えても対策されてアレなら、死んだ場合に行く場所を自分で決めておく、ですか。……魂を奪うとか吸収するとかをされたらアレですよね?」

「そうされた場合そいつは俺の能力の範疇に成る」

「……まあ、他人の糧に成る場合は貴方の能力的にそうなりますね。魂とか存在とかを消すとか、何処か立ち入れない場所に封印するとか。……確か、封印されるパターンなら既に前に経験済みですよね?」

「前提条件上、不完全な物だったがね。手段は兎も角それで通常の死を与える類の物は問題無いとして、特殊な結果に成る死を与える物への対策、か。特殊な結果に成る死に方をさせられた場合に対策不足が有り得るな」

 そして暫くの間話し合って居た所でシュライクに話を止められた。

「おいおいお二人さん、今必要が有る話は、その話じゃ無くて、世界を造る際の仕様の競合の話だから」

「ええ、そうですね。その範疇ですよ、この話は。前提としてなんにでも対処出来る世界を創りたい。そしてそれを水霧の力を前提にしたい。これはその一環として、想定外として有り得そうな事を潰す話をしています。水霧の力を前提に世界を造るなら水霧が死んだらアレですから、死んだ場合のIFは潰さないと駄目だと思いますし」

「……仮に此処でどんな完璧な仕様の世界を提案して創ろうが、水霧を前提とする以上は、水霧を殺せば崩せる世界……と言う事を潰すために水霧がどの様な手段で死んでも大丈夫な様にする、かよ……水霧が死んでも大丈夫な世界にすれば良いじゃないか」

「そうしたら消し去りたい奴では無く略奪者にすれば都合が良く成りますので」

「……手法毎に目的が違う奴には都合が良く成る、か。終わっているな。全IF潰しと言う意味では全部潰せないとアレなのだが……」

「そもそもの話として、正史から外れる時点でパラレルです。何なら他世界からの外敵は強制パラレルワールド送りにすれば並行世界干渉レベルの事が出来る奴以外はそんな奴は居ないで度外視出来ますが」

「……つまり、此方の関与しない外敵がこの世界に入る際に入る事に成る代わりの世界を用意して置く、と?」

「そうすればある程度未満の奴はそもそも無視で良いですので」

「……いや、それは確かに良いのだろうけどさ、ゲームで言うならばアレだよ?雑魚敵が侵入出来ない常時の結界を張ります=レベル上げ用のイベントの大幅スキップだ。それでも問題が起きたらヤバイ事にしか成らない」

「別に敵を倒す事でしか経験値を得られない訳でも無いですし、問題は無いかと思います。そもそもそれで問題になる奴はヴィシュヌ様とかが介入して来る検案に成ると思いますし」

「俺が力を他から集めた大義名分自体がアレに成る話だが、……ゲームで例えるならルール違反者を強制的に別サーバー送り、か……その先の世界は世紀末な世界に成りそうだな」

「この世界がそうなるよりかはマシです。どうせ荒らされる事が変わらないのならそれがパラレルワールドで有る方が私達には実害が無いですし」

「解った。じゃあそうしよう」

 そして諸々の調整を行った。

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