第拾八階層 血と汗と時々夢
「主ったら急にセッキョクテキになって、恥ずかしかったよぉ。」
「何がどうなったんだか・・・。」
「ナニが何したんだよ。」
モジモジしているソフィアをスルーして。
「まあ、憑依すると俺とソフィアが精神的に合体して強くなるってことだな。」
「主、ちょっと違うよ。ニクタイテキ・・・。」
スルーされても変わらずそっちの方へ持っていこうとするソフィアをさらにスルーする。
「はぁ、その周りに聞かれたら間違するような言い方を勘弁してくれ・・・。」
疲労と相まって頭痛までしてきた。
肩に負った傷はもう跡も探すのが難しいぐらいに治りかけている。
ただ、ぱっかりと切れた防具と血がべったりと付着したジャージとTシャツが大怪我だったと今更ながら実感させられる。
その後は、その場に少し休憩してからギルドを目指してゆっくりと慎重に帰路へと向かった。
慎重に移動したおかげなのか不思議とモンスターに出会わなかったので特に問題もなく無事にギルドへ帰還できた。ソフィアは疲れたと言ってイヤリングになったままだ。
ギルドに到着して、血だらけの俺は目立つという事で奥へ通された。
奥の部屋で、今回の事を報告する。急遽高レベルの攻略者数人で捜索隊を編成して救助に向かうことになった。まあ、既に問題のモンスターは俺が倒しているが一体と限らないという事で俺よりも数段レベルの高い攻略者を呼んだとのことだ。
全員無事だったらいいけど、少なくともタナカさんはヤラれてるだろうな・・・。
赤い魔石と血だらけの壊れた防具を渡す。
魔石は珍しいという事でかなり割高な値段で買い取ってもらえた。防具の弁償を含んでも相当高額な値段が付いた。
出来れば専用の防具を勧められ明日休息がてら紹介してもらったお店に行く事になった。
どうやら一回目の来店はギルドの紹介が必要らしい。
その後も詳しい話とさせられて、血だらけのジャージで帰りの電車に乗り込む。良くも悪くも平日の終電近く、ほとんど誰も乗っていないのが幸いした。
もちろん、残念ながらスーパーも締まっている。
ソフィアもずーっと黙ったままなので、きっと相当疲れたのだろう俺もシャワーを浴びて血と汗を流して、その日の夜は泥のように眠った。
夢だろうか、顔は柔らかい何かで挟まれている。
気持ちが良いのとめちゃくちゃいい匂いがする。ふと顔を上げると妖艶な笑みを浮かべる美女の口元だけが見えた。どうやら俺はこの美女の胸に挟まれているようだ。
気持ち良さもあるが美女の顔が気になるので胸から顔を放そうとする。
抱きしめる美女の腕に少し力が入り、上手く抜け出せない。
まあ、恥ずかしいのか分からないが、逆に見てみたくなり少し首に力を入れて離れようとする。
が、アレ・・・。
さらにぐっと頭を強く抱きかかえられて、動けない。
身体を動かしているが、ジタバタしているだけで俺の顔が頭がギチギチと締め付けられる。
苦しい・・・、息が出来ない・・・、頭が割れる・・・。
はっと、目が覚めるとベットの上でソフィアが俺にヘッドロックを掛けていた。
もう少しで寝ながら落とされるところだった・・・。
ソフィアはソフィアでもう少しオとせたのに・・・、と意味不明な事をブツブツ言っていた。
こいつ本当に俺の事主だと思っているのだろうか、心底心配になった朝となった。
おっさん、ダンジョン、幼女と時々悪魔 団子虫 @DangoOsamu
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