第2話 真実

「へぇーそんな感じかぁ」

一言、少年は言い終えるとアイマスクを外した。

その少年の前に学校の屋上で横たわっている奴がいる。

「心中観太かぁこいつの頭の中は、すごいことになってるな。こいつの妄想力には驚くよ、こいつの頭の中では僕はこいつの親友って設定で今から船に乗って学園島ってとこに行くことになってるし、こいつはこいつで自分のこと“露骨に何かを感じさせる名前”とかいってるし。」

少し笑みをうかべた少年は、ドアを開けて屋上を後にした。

少年が屋上を出た数分後横たわっていた‘自称’心中観太が目を覚ました。

「あれ僕何でこんなとこで寝て.....」

キーンコーンカーンコーン

「やっば!学校が閉まる!急いで出なきゃ!」

急いで階段を降りていると誰かがいた。

「長門くん!」

彼の名前は長門悠一くん、同じクラスでそれほど親しくもないが仲が悪いわけではないクラスメイト。

「急ご!長門くん、学校閉まっちゃうよ!」


「あ、あぁ」

校庭に出ると先生が校門の門扉を閉めようとしている。

「先生!待って待って!」

二人は、校門を走り抜けた。

「セーフ、よかった〜間に合って。」


「お前たち遅すぎるぞ。もう少し早くこい。」


「すいません。」

「すいません。」

二人は謝ると同じ方向に帰っていった。

「長門くん家こっちなんだ。僕もこっち方面なんだ

。」


「へぇー。」

興味の無さそうな長門の返事に対し少し嫌悪の表情を見せた。

「長門くんは何で残ってたの?」


「特に理由は、ない。」


「僕は、何でか知らないんだけど屋上で寝てたんだよ〜。」


「へぇー。」

長門からは、淡白な返事しか返ってこない。

「長門くん、もしかして僕のこと嫌い?」


「いや、別にそんなことを思ったことはないな。」


「そ、そうなんだ。」

長門のはじめての相槌以外の言葉を聞いて少し考えた。


「長門くん、これも何かの縁だもしよかったらだけど今度から一緒に帰らない?」


「いや、俺は...」


「えぇーいいじゃん帰ろうよ。」

そうこうしているうちに家に着いた。

「あ、じゃぁ僕ここだから。バイバイ。」

家の表札には、中野と書いてあった。

「あ、そういえば」


「どうしたの?」


「いや、名前なんだったけと思っただけだ。」


「あ、僕の名前知らなかったっけ?僕の名前は、中野光樹。これからよろしくね!」

そういうと中野は家の中に入っていった。

中野が家に入ったのをみた後悠一は、コンビニに向かった。店内でコーヒーとメロンパンを買って外に出た。

歩いているうちに少し年季の入ったアパートがあった。

「ただいまぁ」

悠一は、今ここに一人暮らししている。

「さてと、これであいつの頭の中の続きを見る手立てはできたな。」

そう呟くと彼はポケットに入れていたアイマスクとコンビニで買ったものを手に持ち中野の家の方に向かった。





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覗き日記〜〇〇の日常〜 妄想のむし @nanamikon

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