第49話 最終決戦11 北の帝国軍は全能神の兄の攻撃によって壊滅しました。

「何故効かん」

ゼウスには信じられなかった。今まで雷霆はどんな不届き者でも退治してきたのだ。それが効かない奴がいるなど信じられなかった。


「ふんっ。貴様の力が余よりも劣っているからではないのか」

シャラザールは言い切った。


「な、何だと」

ゼウスは切れていた。シャラザールを許せなかった。

切れたゼウスは無詠唱で爆裂魔術をシャラザールに浴びせる。


シャラザールは避ける。

その逃げた先に次々と爆裂魔術を浴びせる。


それを次々とシャラザールは避けた。


その度に地上には凄まじい爆発が起こる。

そして、その爆炎の収まった跡には巨大なクレーターが出来ていた。


「おのれ、何故当たらん」

ゼウスは次々に繰り出す。


「当たれ!当たるのじゃ!食らえ!」

ゼウスは必死に魔術を繰り出す。今までこんな事はなかった。

ゼウスは全能神なのだ。シャラザールなどという末端で新米の神に当たらぬ訳はないはずだった。


しかし、尽くシャラザールに避けられた。


「嘘じゃ嘘じゃ、こんな馬鹿な」

ゼウスは息を荒げて叫んでいた。




「シャラザール!」

少年が叫ぶ

「シャラザール!」

皆が唱和する。


「イケイケシャラザール」

少年が叫ぶ


「行け!行け!シャラザール!」

皆が唱和して応援した。


「たーーおせ!たーーおせ!シャラザール!」

「倒せ倒せシャラザール」

子供達は応援歌を歌い出した。


「わあるいゼウスをやっつけろ!」

「悪いゼウスをやっつけろ」

その応援する声は天界を揺るがす大合唱になっていた。




地上界ではゼウスの息が荒くなっていた。

尽くシャラザールに避けられてゼウスは次の手が無くなってきた。


「ゼウス。ではそろそろ余から行くぞ」

言うや、シャラザールは爆裂魔術をゼウスに向けた。

1発めはゼウスは避けた。


しかし、2発目をモロに食らって弾け飛ぶ。


更に3発目4発目をシャラザールは容赦なくゼウスに浴びせた。




それを見ていたポセイドンは流石に焦った。

「ゼウスは何をやっておるのだ。これは援護せずばなるまい」

ポセイドンは槍を構えた。

このままではゼウスがやられる。


それを見てジャルカは慌てた。

本来ならばポセイドンなんて相手にしたくない。

何しろ天界No.2なのだ。絶対に相手にはしたくない相手だった。

しかし、流石にシャラザールといえども2人相手には難しかろう。

ジャルカは覚悟を決めた。


「シャラザールよ。食らえ!」

ポセイドンが最終魔術大地の怒りをその愛用の槍から出そうとした時だ。


「大地の精霊よ。我に力を」

ジャルカは渾身の魔力を込めて杖を握ってポセイドンに向けて放っていた。


凄まじい光の奔流が今まさに魔術を放とうとしたポセイドンの後ろから襲いかかった。

たまったものではなかった。ポセイドンは後ろから思いっきりジャルカの魔術によって叩きつけられて地上に叩き落された。


閃光が走り爆発が起こる。

その爆炎の跡には巨大なクレーターが出来ていた。


「お、おのれ、ジャルカめ。今までの態度は嘘だったのか」

怒りに震えたポセイドンがクレーターから這い出した。


「げっ、これはまずい」

ジャルカは全力で逃げ出した。


「おのれ!待て!ジャルカ!」

怒りで我を忘れたポセイドンはジャルカを追い始めた。

次々に大地の怒りをジャルカに浴びせる。


ジャルカは必死にそれを避けて逃げ回った。

ポセイドンは形振り構わず必死に追いかけた。

ジャルカに当たらなかった魔術が敵味方構わず、地上に降り注ぐ。

地上ではもはや戦どころではなかった。

皆必死にとばっちりを避けようとする。

ジャルカはそれを見てわざとノルデイン軍の中を駆け回った。

怒りに我を忘れたポセイドンの雨あられの攻撃がのルディン陣営に降り注いだ。

凄まじい爆発がノルディン帝国軍に襲いかかる。

「ギャアアア」

「ウワァァァ」

兵士達が必死に逃げるがその間をジャルカが走る。

次々にポセイドンの攻撃がノルディン兵士たちを倒していった。


劣勢に立っていたノルディン軍はポセイドンの攻撃によって殆ど壊滅した。


これで地上軍の最終決戦の勝敗は決まってしまった。

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